日野日出志ベストワークス

日野日出志(著者)

• 販売会社／発売会社: 太田出版
• 発売年月日: 2023/11/20
• JAN: 9784778323264

商品レビュー

2025/07/22

漫画短編集です
ホラー漫画界では恐らく金字塔、レジェンドクラスの方と思います(あまり詳しくないので)
僕はまったく世代でありません
子供の頃父親の本棚にズラリと単行本があり、オドロオドロした絵と子供が恐怖を覚えるのに充分なわかりやすい恐怖漫画という印象でした
(当時の僕は魔法陣グルグル、ロトの紋章に夢中でした)
2025年6月、本屋へ行きいつものようにウロウロしているとこの本の表紙を見つけ、「あ、子供の頃
おやじので見たな」と手に取り、懐かしという気持ちだけで購入しました
家に帰り読了
いや、おかしい
子供の頃の僕はませていたと思うのですが、子供にわかりやすく恐ろしい漫画だと認識していたんです
でも今読むと、作者の恵まれなかった少年時代、体験してきたことをエンタメに昇華したたホラーエッセイ漫画だったのかと改めたのです
ホラーなゆえ内容を述べるのは野暮でしょう
こんな時代を経験してきた人がそれを想像で創造し漫画化した作品がある
それは現代漫画にも何ら衰えたところなどなく、まさに先駆者であり、万人には受け入れられないものでもあると思いました
ただ注釈がきちんとついてるとはいえ、あと何十年かするとこの漫画は叩かれるような気もしました

2023/11/23

怪奇漫画家･日野日出志の傑作選。
血や異形の表現に、まず、ぎょっとさせられるけど、『藏六の奇病』や『水の中』などの作品は、突き詰めたおどろおどろしさの中に、底から滲み出るような美しさがあって、淡々とした語り口には不思議に上品さすら感じられた。

長編『地獄変』は満州で産まれたという作者の現実の過去と、妄想上の一族、家族そして住む町の様子とが渾然一体となって渦巻いていて、作品に充溢した狂気に終始圧倒される。

おぞましいながらポップな表紙のアートワークに目を惹かれ手に取ったのだけれど、濃厚で読み応えのある作品集だった。