商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2023/09/29 |
JAN | 9784093567398 |
- 書籍
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イスタンブル、イスタンブル
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イスタンブル、イスタンブル
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商品レビュー
3.5
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人間は、自身を取り巻く自然を発見しつつその中に生きるのでなく、自ら創造したものの中で生きる。それが自らの生を空虚にすることもあれば、耐えがたい痛みに耐えられる力を与えもする。世界は、都市は、イスタンブルは、そんな人間の在り方が折り重なってできている。そんなことを哲学的かつ詩的に物...
人間は、自身を取り巻く自然を発見しつつその中に生きるのでなく、自ら創造したものの中で生きる。それが自らの生を空虚にすることもあれば、耐えがたい痛みに耐えられる力を与えもする。世界は、都市は、イスタンブルは、そんな人間の在り方が折り重なってできている。そんなことを哲学的かつ詩的に物語っている。 p195「僕らはイスタンブルに暮らす当たり前の住人たちと同じだった。昨日を理想化し、明日について空想した。今日は存在しないふりをしようとした。過去の物語をする一方で未来の物語をし、現在を、過去と未来の間に架かる橋だと思っていた。その橋が崩壊し、その下の無の空間に墜落することが怖かった。僕らは絶え間なく同じ問いを反芻し、頭から追い払えない ー 今日を所有するのは誰だ、今日は誰のものだ?」
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著者のバックグラウンドを知らないと、なかなか理解が進まないはずだ。 クルド系トルコ人のソンメズ氏は、1980年の軍事クーデターの混乱のなかイスタンブルで法律を学び、人権弁護士として活動していたが、その活動中に警察に襲撃されて瀕死の重傷を負い、その後英国へ亡命。現在はトルコと英国...
著者のバックグラウンドを知らないと、なかなか理解が進まないはずだ。 クルド系トルコ人のソンメズ氏は、1980年の軍事クーデターの混乱のなかイスタンブルで法律を学び、人権弁護士として活動していたが、その活動中に警察に襲撃されて瀕死の重傷を負い、その後英国へ亡命。現在はトルコと英国を行き来しながら作家活動をしているが、イスタンブルの街への痛切な思いが、この小説に込められていると言う。 イスタンブルの地下牢獄の一室に、学生のデミルタイ、温厚なドクター、気難しい床屋のカモが閉じ込められていた。苛烈な拷問を待つあいだ、彼らは互いに物語をして時を過ごす。そこに激しい拷問を受けたばかりの老人キュヘイランが加わる。彼は幼い頃から父が影絵で物語ってくれたイスタンブルに憧れていた。彼らはまるで疫病を避けて家に閉じこもり物語をし合った『デカメロン』のように物語り合い、空想の世界でお茶を飲み、煙草を味わう。やがて彼らの過去が少しずつ明らかになり、と同時にそれぞれがまた拷問へと連れだされていく。 創作物語ではなく、これに似た経験から書かれたものではないかと思って読むと、心が騒ぐ。 ただ暗いだけではなく、嘲笑を誘う皮肉も込められている。そして芯にはイスタンブルへの愛が感じられた。
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