私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない 田中有芽子歌集

田中有芽子(著者)

• 販売会社／発売会社: 左右社
• 発売年月日: 2023/10/04
• JAN: 9784865283884

商品レビュー

2025/03/30

この歌集のタイトル『私は日本狼アレルギーかもしれないがもうわからない』も著者が作った短歌である。本書の著者は、俺が投稿している日経歌壇に今でも短歌を投稿していて、とてもユニークで面白い短歌が多い。

この歌集に掲載されている短歌もとても好きな短歌が多く、特に好きな短歌に付箋をつけていったのだが貼った付箋の数は２９にもなった。

そのうちいくつか紹介したい。

私しか出場しない五輪なら公式飲料はミルクティー

ガラス越し新生児らの歳を足すみんな合わせて56日

きらきらの夏に生まれて生きてみる今度の脚は2本なんだね

生涯に何度名前を書くだろうその度「愛」と書く人強し

千手観音がさあねえって肩をすくめる動作思い浮かべて

動物の全てがツボを持ってても押す術(すべ)のない者数多(あまた)なり

譜面台は果実の果の字に似てる開演前の果果果と果と果

6回転のジャンプした後ぼんやりと立ってたら何点ですか

さよなら勝ちしたチームの数だけこんにちは負けしたチームがいること

2025/02/16

タイトルからして、なんとも面白い。
本の構成も、なんていうか、短歌の暗黙のルールを一刀両断という感じでかっこいいなーと思った。
笑ってしまうようなお茶目な歌から、
しんみりと味わい深い歌までいろんな味がする。

以下すきな歌

白イノガ　ハミ出タダケナラ戻ルハズ　ひそひそ話すぬいぐるみ達

原作を読まないとよく分からない映画みたいな君の寂しさ

さよなら勝ちしたチームの数だけこんにちは勝ちしたチームがいること

2024/11/15

穂村弘氏の解説を読むまで、何が良いのかピンとこなかった。その割には好みの短歌としてチェックした作品はけっこうあったけど。
子どもの視点など、普段とちがった物の見かたによる発見などを詠んだ作品が多い印象。