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故事成語教材考

樋口敦士(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文学通信
発売年月日 2023/08/25
JAN 9784867660157

故事成語教材考

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2025/01/30

中学一年生の授業で、近々、定番の「矛盾」を教えるので買った本。直近の必要上、前置きと「矛盾」、「臥薪嘗胆」のところしか読んでいないけれど、とても面白かった。 故事成語の教材的な価値を考えるときに、単純に今の日本語でも使われている言葉の語源学習ではなく、元の出典が日本に入り、日本...

中学一年生の授業で、近々、定番の「矛盾」を教えるので買った本。直近の必要上、前置きと「矛盾」、「臥薪嘗胆」のところしか読んでいないけれど、とても面白かった。 故事成語の教材的な価値を考えるときに、単純に今の日本語でも使われている言葉の語源学習ではなく、元の出典が日本に入り、日本語として定着する過程に着目するべきであるという主張が、とても新鮮だった。例えば、「矛盾」一つとっても、どうしても『韓非子』の故事が語源になっていることがメインになってしまうが、本書を読めば分かる通り、「矛盾」の言葉自体は、『韓非子』の受容とともに使われるようになったわけではない。だからこそ、その受容過程で、時代によって、日本語での読み方や意味も変わりながら、今の「矛盾」の語になったという。 言われてみれば当たり前だけれど、無意識のうちに語源と現在の意味をダイレクトに結びつけて、間の受容過程を忘れがちということに気付かされて、面白かった。ただ、そうした受容過程の教材研究が、実際の授業で子どもたちに教えるうえで、どういう風に教育的な価値があるのかについてはやや曖昧。色々な可能性があると思うので、このあたり、自分でも考えたくなる。 これも本に書いてある通り、生徒がよく知っている言葉を取り上げることで漢文に入門しやすくするくらいの意図で使われがちな故事成語。どうしても語源を知って、へぇ、で終わりがちなので、もっとその言葉が生まれた文脈から、思考力を鍛えるような教育的価値を探るべきということには、すごく共感した。 教育に携わる人でなくなとも、その故事成語の受容過程の研究自体が、教養として面白い一冊。教育関係者でない人も、日本における故事成語の成立過程が知りたい人にも、おすすめできる。

Posted by ブクログ