商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2023/07/30 |
JAN | 9784560093597 |
- 書籍
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スターリンの図書室
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スターリンの図書室
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商品レビュー
4.5
2件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「嫌っているだけでは、彼がなぜ、いかにしてあのような所業に走ったのかを説明することはできない。」 これは著者による非常に重要な指摘です。スターリンを単なる大悪人と片付けてしまったらそこで思考は終了です。 なぜスターリンは独裁者となれたのか、その背景となったものは何だったのか、それを「読書」という観点から見ていく本書は非常に刺激的です。「読書」というある意味独裁者と結びつきにくいマイナーな切り口から攻めていく著者の勇気には驚くしかありません。非常に斬新です。
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本書はスターリンの読書家としての一面に光を当てている。スターリンの蔵書は二万五千冊にも及び、彼の知識欲と活字への崇拝は並々ならぬものがあったらしい。そして、その膨大な蔵書に残された書き込みからスターリンの内面に踏み込んでいる。 しかし、スターリンの精神を覗くために、なぜそんな面...
本書はスターリンの読書家としての一面に光を当てている。スターリンの蔵書は二万五千冊にも及び、彼の知識欲と活字への崇拝は並々ならぬものがあったらしい。そして、その膨大な蔵書に残された書き込みからスターリンの内面に踏み込んでいる。 しかし、スターリンの精神を覗くために、なぜそんな面倒な手続きをする必要があるのか? それは、スターリンが自分について語らないからだ。政治家というのは自分の話ばかりしたがる人々である。しかしスターリンは自伝も日記も回想録も残さなかった。本書でも触れられているとおり、自分について語る言葉に対して非常に禁欲的で、その結果、意外とスターリンのまともな評伝はないのである。 蔵書への書き込みは、スターリンが残した数少ない活字であり、限りなく正直な言葉でもある。 スターリンは教条的なマルクス主義者だが、思いのほか度量はあり、さまざまな思想に触れている。著者を非難しても、書物の内容は受け入れる。こう書くとソ連の悲劇的な顛末がふしぎに思えてくるが、そもそもマルクス主義者たちは活字への傾倒が顕著なものである。 本書の紹介にあるような、スターリンによる本への書き込みからの洞察は、思ったよりも少なめなのだが、そもそも本への書き込みなどメモ程度のものである以上、致し方ないのかもしれない。ただ、それを補って余りあるリサーチがされているので、一読の価値はあると思う。
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