復讐は合法的に 宝島社文庫

三日市零(著者)

• 販売会社／発売会社: 宝島社
• 発売年月日: 2023/07/06
• JAN: 9784299044815

商品レビュー

2024/06/27

「このミス」隠し玉。
ブクログのレビューを見て、読んでみたくなった作品。
レビューを見ていると、賛否両論あるようだが、個人的には面白かった。
性別不明（本当は男）のエリスと小学4年生のメープルのタッグによる、合法的復讐。
復讐と言うと、もっとグロいイメージがあるが、相手を叩き潰すのではなく、グレーな手段を使って、追い込んでいく様子が今まであったようで、なかった手法。
物語も主人公二人のキャラのせいで重くなく、それでも、それなりの悪の裁きを行う。
短編4作からなる作品だが、どの作品もサクッと読める。
「このミス」と言うよりは、ラノベの印象も強いが、同時に文庫賞を受賞した「レモンと殺人鬼」よりは、個人的にはこちらの方が好み。

2024/06/22

六年付き合った彼氏に手酷く裏切られたＯＬ・麻友が出会ったのは「合法復讐屋」エリス。
弁護士資格と法律知識を活かして麻友の復讐を代行したエリスは、その後も様々な依頼をこなす。
妄想じみた依頼から辿りつく、殺人事件の意外な真相とは。法律の通じない権力をもつ相手に、エリスはどう立ち向かうのか。
そして最後のターゲットはエリスと同じ「復讐屋」……。
異色の連作リーガルミステリー！

合法的に、しかし、それは道徳的にはアウトな復讐。限りなく黒に近いグレーでも合法。そういう話、大好きです〜ってなった。法律的には、なんの問題もなく、法の抜け穴を巧妙に使った復讐。そして、主人公のエリスが謎すぎて良かったし、秘書のメープルちゃんも可愛かった。そして、エリスの協力者のケンちゃんも好き。全部が好きだった。

case１の恋人の捨てられた女の子の話。頑張っていろいろお金も貯めていたのに、名義が彼のせいで全部使われてしまったし、そして捨てられる。考えてみれば、そんな男なんて早く別れたほうがいいに決まっている。この女の子は、絶対にいい奥さんになるのに、目先の若くて美人に引っかかった男、マジでバカだなと。そして、そんな男に対する復讐がすごかった。社会的に殺すってこういうことなのね…！！ってなった。そして、エリスの用意周到なところが怖い…ってなった。

case２は、エリス目線と携帯ショップの副店長の目線だった。バイトを長く続けていたら、なんでか副店長になっていたし、店長は病んで傷病休暇だしな携帯ショップ。そして、そういうところにやってくるクソな客。そんな副店長が行なっている副業が、なんなのか分からず話が進んでいく。
エリスは、息子が人を殺してしまった人の調査に乗り出している。まぁ、この息子が携帯ショップに来ていたクソな客なのだが、殺された男のほうも携帯ショップの常連だった。
この二つが繋がったときとエリスの復讐完了がすごかったなぁ。確かに、エリスがいう通りなのだが、マジで怖いなぁと思った。

case３は、学習塾の講師が小学生に強制わいせつを繰り返しているという話。この講師が、とある政治家の息子なもんで、事件をもみ消されてしまう。そして、その息子は別の塾へ採用されて同じことを繰り返す。まぁ、この最低な話に、可愛いメープルちゃんが潜入捜査をすることになる。エリスも心配してたけど、読んでた私だって心配だった。メープルちゃん、同い年の子に比べて大人というかクールなところがあるから無茶というかそういうのしそうだし。私の可愛いメープルちゃんになんかしたら許さないんだからね！！ってかんじで読んでいた。
まぁ、事件は思わぬ展開だった。いやぁ、面白い。最高だった。

case４は、今流行り？な暴露系YouTuberに復讐したい母親の話だった。本当、暴露系YouTuberって怖いよなって思った。そして、そんな人をどうやって特定するのか分からなかったけど、協力者のケンちゃんのおかげで話は進んでいく。
これ、結構面白かったんだけど、最後のほうで出てきた東京の路線図を巧みに使った話が、地方の車社会で生きている私には理解でできなかった…路線図が載っていたから、なんとなーくわかったけど、載ってなかったら「？？？？」ってなって終わっていた。難しいよ、東京の電車事情…

全部の話が面白かったし、調べたら続編もあるみたい。次の復讐はどんなかんじなのか、エリスはもちろん、メープルちゃんやケンちゃんにも会いたいし、どんな活躍を見せてくれるんだろうと期待してしまう。

2024.6.22 読了

2024/06/09

とにかく面白かった。 これが受賞に落ちた「隠し玉」作家の作品とは思えない。
また、「エリス」に逢いたいので、是非ともシリーズ化してほしい。