ジャン=リュック・ナンシーの哲学 共同性、意味、世界

西山雄二(編者), 柿並良佑(編者)

• 販売会社／発売会社: 読書人
• 発売年月日: 2023/06/26
• JAN: 9784924671621

商品レビュー

2025/02/03

1. 概要
本書は、ジャン＝リュック・ナンシーの哲学思想を探求し、彼の思想が持つ共同性、意味、存在に関する基本的な理解を提供することを目的としている。ナンシーの哲学は、他者との関係性や存在論的な問いを中心に展開される。

2. 哲学の核心
2.1. 共同性
- ナンシーは「共同性」を強調し、個々の存在が他者との関係の中で成り立つことを示している。
- 「我々」は固定的な存在ではなく、他者との相互作用を通じて常に変化し続ける存在である。

2.2. 限界と未来
- 限界づけられた実存からの未来に焦点を当て、自由と真理の関係を探求する。
- 自由によって真理を所有することが可能であり、その真理は言語を超えたものであるとされる。

3. 他者との関係
3.1. 意味の分有
- 意味は単に人間同士の間で分有されるのではなく、非人間的存在との間でも共有される。
- 存在の多様性を認識し、非人間的な存在とのコミュニケーションの重要性を強調する。

3.2. 身体と存在
- ナンシーは身体の問いに対し、有限な身体を通じての思考の延長を探求している。
- 身体は、存在の特異性を表現する重要な要素であり、共同体の形成にも寄与する。

4. 政治的なもの
4.1. 共同体と政治
- ナンシーは「共同体」を存在論的かつ政治的なものとして捉え、共にあることの重要性を強調する。
- 政治の本質についての探究は、共同体の原理や目的に対する新たな視点を提供する。

4.2. 政治の革命
- ナンシーは、「政治の革命」として、政治そのものの意味を再定義する必要性を説いている。
- 共同体の意味は、単一の共通性ではなく、無限の「共同の意味」であると主張する。

5. 戦争とエコロジー
5.1. 現代の脅威
- ナンシーは、現代の戦争が国際的な警察行動として理解されつつあることを指摘し、その影響について考察する。
- 環境問題における人間存在の位置づけを再考し、非人間的なものとの共存を模索する。

6. 結論
ナンシーの哲学は、存在と他者との関係における新しい理解を促すものであり、共同性、意味、身体、政治、戦争等、多岐にわたるテーマを通じて、現代社会における人間存在の意味を問い直す重要な視点を提供している。彼の思想は、個々の存在が他者との関係性の中でどのように成り立つかを探求しており、現代の複雑な問題に対する新たな洞察をもたらしている。

2024/07/23

ナンシーの哲学
・12、38、60、69、73、96、
・54、66、93、100、102、108、127、173、227、