商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2023/06/21 |
JAN | 9784121027597 |
- 書籍
- 新書
都会の鳥の生態学
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都会の鳥の生態学
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商品レビュー
3.8
10件のお客様レビュー
近年、野鳥を撮影する機会が増えました。 それに伴い、鳥が持つ能力や生態への関心がますます強くなり、関連する書籍を探しては読む、ということを繰り返しています。 『世界を翔ける翼』 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/47598...
近年、野鳥を撮影する機会が増えました。 それに伴い、鳥が持つ能力や生態への関心がますます強くなり、関連する書籍を探しては読む、ということを繰り返しています。 『世界を翔ける翼』 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4759820981 野鳥観察を続けてきて、人が多い都市部でも、鳥を見かけることが多いことに気づくようになりました。 この本はそんな、“都市鳥”を長年、観察&研究してきた著者による一冊。 本書は全6章で、構成されています。 導入的な第1章の後は、ツバメ、スズメ、水鳥、カラス、猛禽と、鳥別に章を分けて、本書が書かれた時点(2023年出版)での最新の研究成果を紹介しています。 特に印象に残ったのは、カラスについて。 「都市部ではカラスが多くなり過ぎ、自治体や住民が困っている」というイメージを持っていました。 しかし東京都心では近年、ピークだった20世紀終盤に対して7割以上も数が減っている、とのこと。 逆に、オオタカをはじめとする猛禽類が増えていることとあわせて、興味深く読ませてもらいました。 カラスの減少もそうですが、都市鳥の増減には、人間の活動が大きく影響を与えているのですね。 スズメとシジュウカラでは、巣作りする場所(高さ)が違うことなどを知り、人間が長年、鳥に対してどのようなふるまいをしてきたか、考えさせられました。 著者は高校教師として働きながら長年、鳥の調査研究を続けてきたとのこと。 自らの観察や、鳥関連のネットワークから得られた情報を整理して、本書を出版したようです。 海外では大学等の研究機関による、大掛かりな調査も行われているようなので、日本も研究体制が整備されると良いなあとも思いました。 本書を読んで、街中で見かける鳥への“見る目”が、変わりました。 環境の変化や鳥同士の力関係によって、想像以上に短いスパンで、観察できる鳥の数が変わるということも教えてもらいました。 新しい知見が次々と発表されている分野なので、今後も関連書籍を探して、読んでいきたいと思います。 .
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郡司ペギオ幸夫さんの本で苦しんだ(笑)ので、鳥つながりの本書で少し気分を変えてみた。 (噂によれば郡司さんはペンギン好きが高じて、息子さんに「ペギオ」と命名しようとしたというが反対され、ご自身のペンネームにしたというのは本当だろうか?) タイトルのごとく、本書は都市(主として東...
郡司ペギオ幸夫さんの本で苦しんだ(笑)ので、鳥つながりの本書で少し気分を変えてみた。 (噂によれば郡司さんはペンギン好きが高じて、息子さんに「ペギオ」と命名しようとしたというが反対され、ご自身のペンネームにしたというのは本当だろうか?) タイトルのごとく、本書は都市(主として東京、千葉周辺)の鳥を取り上げる。 そのため、さして鳥類ファンでもない(というか鶏は怖いと思う程度の)自分にもおなじみの面々が次々に登場する。 ツバメ、カラス、スズメは章立てして、しっかり論じられる。 カワウ、カイツブリ、コアジサシ、コブハクチョウ、カモメらの水鳥も、ハヤブサ、チョウゲンボウ、オオタカ、ツミ、フクロウの猛禽類も登場する。 著者は長年都市鳥の観察を続け、都市鳥研究会の代表も務める方だけに、データもネットワークも幅広い。 そうした豊富な事例を通して、経年変化も描き出される。 人間の生活の変化に合わせて、鳥たちも大きく暮らし方を変えている様子が見て取れるのが興味深かった。 バブル経済崩壊後しばらくまでは、とにかく東京にカラス(ハシブトガラス)が増えていた。 それは彼らの餌となる生ごみが多く、しかもあまりうまく処理されずに廃棄されていたため、繁殖が進んだからだったそうだ。 それが、経済の変化で餌が減ったこと、ごみが荒せないように捨てられるようになったこと、そしてカラス駆除の成果で、東京のハシブトカラスが激減する。 それと入れ替わりに、里山に住むとされるハシボソガラスが都心近くに進出してきたり、カラスを餌とする猛禽類が都心に住むようになったり。 わずか数十年でそんなにも変わるのだと驚いた。 渡りの時期、巣の位置や、出入りする時間、親鳥の給餌方法などが紹介されていく。 これだけの観察を続けていくのは、本当にすごいことだと思う。 しかし、筆者は、観察中に近所の人に怪しまれた、という笑い話も加え、全体のトーンとして、鳥が大好きな先生の楽しい話を聞いているかのような雰囲気がある。 2023年の読書納めとして、なかなかよかった。
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都会に暮らす鳥たちの生態についての長年の研究の成果がまとめられている。私は、さすがに猛禽類と会うことはないけれども、ツバメやスズメ、カラスなどはよく目にするなじみのある鳥だ。しかしその生態については意外に知らないことが多い、そう実感させられる本であった。特にツバメは、思い返してみ...
都会に暮らす鳥たちの生態についての長年の研究の成果がまとめられている。私は、さすがに猛禽類と会うことはないけれども、ツバメやスズメ、カラスなどはよく目にするなじみのある鳥だ。しかしその生態については意外に知らないことが多い、そう実感させられる本であった。特にツバメは、思い返してみれば巣で雛に餌を与えるあの場面しか目にしたことがなく、何も知らないも同然、巣立ちの後の渡りに向けた行動や、営巣のあれこれ、渡りの時期が早くなってきていることなど、興味深い話が多く書かれていた。さてこれから人と鳥の関わり合いはどのように変化していくのであろうか。ああ、故郷の空にはトビが当たり前のように旋回していたなぁ。
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