商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東信堂 |
発売年月日 | 2023/04/20 |
JAN | 9784798918433 |
- 書籍
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企業が求める“主体性"とは何か
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企業が求める“主体性"とは何か
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出版社(東信堂) https://www.toshindo-pub.com/book/91843/ 内容・目次
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企業における「主体性」って、なんだろう?というのは、最近、気になるテーマの一つなのだが、ズバリそのもののタイトルのこの本を見つけ、読んでみた。 副題で「言説の分析」とあるので、社会構成主義的なアプローチかな?と思って読んだが、わりと普通のデータ分析がほとんど。 「主体」という...
企業における「主体性」って、なんだろう?というのは、最近、気になるテーマの一つなのだが、ズバリそのもののタイトルのこの本を見つけ、読んでみた。 副題で「言説の分析」とあるので、社会構成主義的なアプローチかな?と思って読んだが、わりと普通のデータ分析がほとんど。 「主体」というと、どうしてもわたしは、フーコーの「主体」の議論を期待してしまう。つまり、主体=subjectは、自立的で、エイジェンシーを発揮する「主体」であるとともに、従属するという2つの意味を持つ言葉であるということが頭に浮かぶ。 こういうのって、規律権力が内面化した自己監視の中にいる「主体」は、まさに会社においてリアルだと思っている。 著者は、一箇所、注で少しだけフーコーについて触れるが、分析は、経済団体の提言だったり、企業の就職案内で使われる単語の定量分析がベース。 そこまでだったら、あんまり面白くないと思うが、企業で働いている管理職のインタビューの定性分析が面白い。 面白いと言っても、そんなに突飛なことが語られるわけでなく、わたしも会社ではそんなこと思っていたと思うこと。 内容的には実感的に妥当な感じの地道な分析がずっと続いて、最後の方で、分析が統合されてみるとわりとびっくり。 企業の現場では、確かに「主体性」が求められているのだが、その意味する内容は変わってきていて、現時点では、主体的にテーマを設定して「思考」し、それを上司なりに「話」し、必要に応じて他者に働きかけ、チームとして課題に取り組むようにする、というのが、「主体性」として、求められることらしい。その背景には、上司も答えがわからない案件が増えているということがあるようだ。 で、上司はその主体性をどうやって獲得したかというと、それは最初からあるものではなくて、難しい仕事とか、前例のない仕事を与えられ、誰にも教えてもらえない状態の中で、自分で考え、行動するなかから獲得してきた能力のようなものらしい。 が、現代では、わりと最初から「主体性」を求められていて、常にチェックされている状態である。で、どうやってそれを育成するかというと、話しやすい環境を作ってあげたり、面談したり、安全な場を作ったりみたいな最近流行の活動がなされているということ。 で、そういう状態を「多様なサポートによる従属的な主体性育成」と著者は呼ぶ。 おお、ここで、フーコー的なsubjectの議論の伏線が回収されるわけねとちょっと感動した。 地味で、一見、当たり前のことを言っているようだが、これはわりと深い研究だと思う。もうちょっとこのテーマはキープしておきたい。
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