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室町幕府論 講談社学術文庫
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室町幕府論 講談社学術文庫

早島大祐(著者)

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室町幕府論 講談社学術文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2023/05/15
JAN 9784065319345

室町幕府論

¥1,331

商品レビュー

4.3

3件のお客様レビュー

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2025/03/20

「よく知られている用語」ではあるものの、その内容に関するイメージが些か不鮮明かもしれない対象について、研究の成果を一般読者にも読み易い「物語」のように提示していると思う。本書はなかなかに好い一冊だと思う。愉しく読み進め、素早く読了に至った。 本書は、「室町幕府」が起こって日が浅い...

「よく知られている用語」ではあるものの、その内容に関するイメージが些か不鮮明かもしれない対象について、研究の成果を一般読者にも読み易い「物語」のように提示していると思う。本書はなかなかに好い一冊だと思う。愉しく読み進め、素早く読了に至った。 本書は、「室町幕府」が起こって日が浅い頃から、3代将軍の足利義満の頃、更に4代将軍の足利義満の頃迄の様々な事象、社会の仕組みや性質、経済活動の変化に着目して論じ、やがて戦国期へ向かって行くという「室町幕府の時代の特徴」を論じようという趣旨であると思う。非常に興味深い。細々とした様々な事象を「物語」として、「こういうようになった時代」という研究成果のようなモノを巧みに伝えていると思う。 京都の「大人気観光地」に挙る嵐山に天龍寺が在る。あれは室町幕府が起こって日が浅い頃に開かれた寺だ。室町幕府は起こったその時に「南北朝」という問題を抱える。室町幕府は北朝を後援するが、かの後醍醐天皇の南朝が抗う。その後醍醐天皇が崩御した際、大変な怨念を遺したとされた。それを鎮めようと天龍寺が起こされることになったのだった。 こういうような「大規模造営」というようなことが見受けられたのが室町幕府の時代だった。これは嵐山同様に「大人気観光地」に挙る鹿苑寺金閣の足利義満の時代迄は見受けられた傾向だ。鹿苑寺金閣を統括している相国寺という寺が同志社大学の近くに現在でも在るのだが、その相国寺も足利義満の時代に起こっている。 この足利義満の後継者であった足利義持は、異母弟を強く寵愛した父への反発なのか、父の政権下で非主流であった人達の後援を受けたからなのか、足利義満の路線を否定する。これは父の時代と色々な様子が変わってしまっていたということも在ったのかもしれない。が、何れにしても足利義持の時代には幕府として「大規模造営」というようなことは行わなくなった。他方で守護大名がその種の活動を行うようになり、守護大名の連合が将軍を擁立というような室町幕府の様子が構成されて行く。 更に守護大名が京都に常駐し、比較的京都に近い彼らの領国が「首都圏」というような様相を呈し、大名家や大名家に縁が在る寺院、加えて活動を拡げる商業者が都鄙を往来する中で金が動くというようになって行った。 また室町時代は「南北朝の混迷の中で起こった」ということと「“応仁の乱”で色々なモノが損なわれた」というように語られる。その“応仁の乱”で損なわれたモノとして古くからの儀式というようなモノが挙るが、それらに関しては室町幕府の時代に「復興」という動きが在った。「復興」していたが故に、戦乱の影響で「損なわれた」という話しになった訳である。 本書では、室町幕府の時代の経済活動や財政に脚光を当てていて、その辺が凄く興味深い。課税、または税というのとは少し違う感じの資金調達の様相が在って、それらの変遷で社会の様子が少しずつ変わる様が見える。そして何らかの庇護や権益を得ながら活動の幅を拡げる商業者達の活動が社会を変える様も見える。 本書の中、室町幕府の時代の商業者、貸金業者というような人達の活動が取上げられている部分が非常に興味深かった。室町幕府の時代には一定以上に「銭」が普及していた。銅銭だが、アレは1枚が4グラム程度らしい。「1貫文」というのが1000枚で4kg程度というようなことになるというが、それが多分「10万円程度」であるらしい。とすると「10万円程度」を持って何処かへ行くのに、「1リットル入りのペットボトル4本」という重さの「荷物!」を持つことになる。それでは不便だということで、「信用状」のようなモノを遠隔地に届けて資金を動かすというような仕組みが、この室町幕府の時代に起こって発展していたらしい。 前の時代である鎌倉幕府の頃、後の時代である江戸幕府の頃の何れとも違う「室町幕府の時代」のイメージが鮮明になるのが本書だ。そのイメージとして、本書では相国寺の辺りに聳え立っていたという「大塔」に関する話題が在る。 本書とは無関係だが、偶々観た映画『室町無頼』には京都の街に聳え立つ巨大な塔が登場している。現在も在る東寺の五重塔が高さ55mであるのに対し、相国寺の辺りに聳え立っていたという「大塔」は100mは在ったらしい。そういうモノが登場し、密かに姿を消してしまったという経過が興味深い。 造営事業、儀式というようなことで見える幕府と朝廷との関係性、商業活動の拡がりと課税というような幾つかの柱で論じ、「室町幕府」というモノが京都に在った時代を描き出そうというのが本書である。「ダイナミックな物語=歴史」という感じで実に面白い。人名、文物の呼称、年号を憶えるようなことに留まらない「有意義な学び」を供してくれる本書だと思う。広く御薦めしたい。

Posted by ブクログ

2023/09/17

足利政権が「権力」と「権威」を掌握してゆく過程を義満時代を中心にまとめた本になります。 「今から600年ほど前の京都に100メートルを超える塔が建っていた」というのは非常に興味深い内容でした。

Posted by ブクログ

2023/05/25

 「今から600年ほど前の京都に100メートルを超える塔が建っていた」、この掴みで興味関心が一気に呼び起こされる。それは七重の塔で、高さ約110メートルにおよび、中世で最大の高さを有した塔であった、と始まる。  この巨大な塔を建てた人物は、足利義満。最初に落成したのは応永6年(1...

 「今から600年ほど前の京都に100メートルを超える塔が建っていた」、この掴みで興味関心が一気に呼び起こされる。それは七重の塔で、高さ約110メートルにおよび、中世で最大の高さを有した塔であった、と始まる。  この巨大な塔を建てた人物は、足利義満。最初に落成したのは応永6年(1399)、場所は賀茂川と高野川が合流して鴨川となる地点、糺の森よりやや西の地点。  院政期が六勝寺などの大規模造営時代であるのと同様、著者はこの大塔や金閣寺、天龍寺、相国寺等の建造物が相次いで建てられたこの時代にも着目すべきとする。  最近、室町時代の研究が盛り上がっているが、本書もそのような一冊である。本書では、室町幕府が創建した大規模な建築物や儀礼の再興に焦点をあてて、それらが進められた背景や目的について分析し、さらにそれに必要だった資金調達のあり方を検討するとのことである。(「財政史的観点」というらしい。確かにお金の工面がつかなければ箱ものを建てたり、しっかりした儀式はできない。お金の出し入れから国家のあり方を見ようとする試みとのことで、ある意味当たり前のことだが、それを史料により歴史的事実として明らかにしていくことが求められるということだろうか。)  相国寺大塔、義満の居所北山第については第3章で述べられる。当初厳しかった幕府財政、柱としては守護からの出資、土倉酒屋役であったが、遣明船による莫大な利潤が、これらの大規模造営や儀礼の復興を実現したとのこと。  第4章は、幕間と言うには重いテーマであるが、室町時代研究を牽引した佐藤進一の「京都市政権」論についての批判的考察に当てられる。(この辺り研究史的には大変興味深いところなのだろうが、残念ながら文字面を追いかけるに精一杯だった。)  第5章、第6章は義持の時代について。南北朝動乱からの復興期に当たるこの時代は、復興の資金需要を賄うための土倉や酒屋の発展、神人集団による商業活動の広域展開、また幕府が京に置かれたことから、首都京都と地方との結びつきが強まり都鄙の相互作用が進んだなどの動きが説明される。  本書は、終わりに大塔のその後を語る。義満死後建造途中で放置されていた大塔が応永23年に焼亡すると、義持は再建を指示する。そして大塔は北山第ではなく、相国寺の寺域に建立されたが、文明2年(1470)雷火により三度目の焼亡を遂げてしまう。しかし、それらの状況を記した資料は驚くほど少ないという。「室町幕府は、みずからの権力を巨大な営造物で誇示する必要はもはやなく、都鄙の交流を通じて肥大化した京の都に軸足を置き、根をはっていたのである。…すでに爛熟していた京にあって大塔という存在は、単なる時代遅れの大きな飾り物の一つに過ぎなくなっていたのだろう。」(293ページ)。義満の時代から義持の時代へと、時代は大きく変わった。それを象徴的に表すものが大塔の運命だったことを深く感じさせられた。

Posted by ブクログ