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『ゼクシィ』のメディア史 花嫁たちのプラットフォーム
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『ゼクシィ』のメディア史 花嫁たちのプラットフォーム

彭永成(著者)

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『ゼクシィ』のメディア史 花嫁たちのプラットフォーム

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 創元社
発売年月日 2023/03/30
JAN 9784422210216

『ゼクシィ』のメディア史

¥3,850

商品レビュー

4.5

2件のお客様レビュー

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2024/01/26

「『ゼクシィ』は結婚式を現実から乖離させ、非日常的なセレモニーを徹底させる装置なのである」(P309) 実に面白い。 ゼクシィとは何か、なぜ結婚式のバイブルまで上り詰められたのか、なぜ紙の雑誌が生き残れているのか。少しでも興味のある方、手に取って読もう。 普通の書籍と考えると異常...

「『ゼクシィ』は結婚式を現実から乖離させ、非日常的なセレモニーを徹底させる装置なのである」(P309) 実に面白い。 ゼクシィとは何か、なぜ結婚式のバイブルまで上り詰められたのか、なぜ紙の雑誌が生き残れているのか。少しでも興味のある方、手に取って読もう。 普通の書籍と考えると異常に多い注釈も、もと卒論からの派生本と改めて意識させてくれる(著者は中国人の方。日本人の意識をここまで理解できことを賞賛したい) やっぱ結婚はリアルであってネット情報だけでは物足りないんだなと気づかさせてくれました。

Posted by ブクログ

2023/08/29

おもしろかったのは30代以上の未婚女性を読者層に設定した大人ゼクシィに関する章。 晩婚化が進んでいるデータを出しつつ、20代を想定している本誌よりも明確に広告量は少なく、そのぶん編集者による記事が多くなり読み物としての性格が強くなっているとのこと。 表向きは晩婚化を示しつつも、...

おもしろかったのは30代以上の未婚女性を読者層に設定した大人ゼクシィに関する章。 晩婚化が進んでいるデータを出しつつ、20代を想定している本誌よりも明確に広告量は少なく、そのぶん編集者による記事が多くなり読み物としての性格が強くなっているとのこと。 表向きは晩婚化を示しつつも、ブライダル産業から「晩婚化は幻想であり30代女性は初婚のボリュームゾーンではない(金を落とさない)」と冷酷かつ合理的な判断を下されているのは、そこに広告を出す側も経営である以上はしかたないのだが、当然ながら大人ゼクシィは紙面でそんなことを匂わせるわけにはいかない。 結果、大人ゼクシィは読者に幻想を提供する道を選ぶ。本誌を読むような若い女性に対する、大人としてのインセンティブを与えようとするのである。金銭的にも内面的にも余裕があり、男性の補助を必要としない自立した社会人で、それでいて自分の主役意識を抑えることができまわりへの配慮が行き届く、大人の女性。 しかし、大人の女性に対する規範を提示するかのような幻想は失敗する。30代以上の未婚女性に向けられる社会からの抑圧的な視線があり、その抑圧をポジティブに読み替える内容だったのだろうが、規範的すぎたのであろうし、帰納的に抑圧的な視線を意識させてしまう。実際にはそのような立派な大人ばかりではない。金にも心にも余裕がなく自意識過大な大人などいくらでもいるのである。 現在、大人ゼクシィの牙城はゼクシィnetというwebサービスにしかないそうである。そこでは社会的な規範を強調する記事は激減し、ファッションや挙式スタイルにおける大人らしさ、いわば表層的な規範を提示するようになる。若者らしいか大人らしいかの違いだけで、本誌とおなじ方向性に落ち着く。 ゼクシィは恋愛に関する雑誌として産まれているが、そのあとは広く知られているように結婚情報を扱うことになる。そして、ブライダル広告を大量に載せる、結婚を予定している花嫁の実用的な雑誌となる。ちなみに当然のように「花嫁」と書いているのは、細かい変遷はあるとはいえ、基本的にゼクシィは読者に花婿を想定していないからである。花婿は花嫁の消費行動を阻害する要因と考えられているとのこと。 ゼクシィの歴史は、伝統的な結婚観と併走し実用性を保持しつつ、(品のない言い方になるが)幸福さを感じさせながらも金になる価値観を提示し、現実と理想を絶妙な塩梅で女性たちに提示しつづけていた。 そして大人ゼクシィの失敗は火を見るよりも明らかである。ゼクシィが読者に与える現実も理想も、結婚によって手に入るという前提があり、大人ゼクシィの読者にその前提はなかったからである。ゼクシィは結婚による現実を巧妙に神話化しながら理想を提示する。 本書は博士論文が元になっている。ジェンダーや結婚に関する文章はいくらでもあるが、ひとつの雑誌の分析というニッチなテーマからそれらを炙り出す作業は新鮮だった。 著者は中国人であり、論文は京大でのもの。ゼクシィを研究テーマに選ぶことを指導教員に伝えた際は「おもしろいじゃない」と言われたそうだが、たしかに目のつけどころが良かった。著者の細かな略歴も気になるところだが、今後も楽しみ。

Posted by ブクログ

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