トワイライライト

畑野智美(著者)

• 販売会社／発売会社: twililight
• 発売年月日: 2023/03/11
• JAN: 9784991285127

商品レビュー

2025/04/12

もう10年以上前になるけど、若林に住んでいて、毎日三軒茶屋を通って通勤していた頃を思い出す。
キャロットタワーも、その近くのデニーズも、246も世田谷通りも、三角地帯も、全部知っている景色。フレッシュネスは私の知っている場所から移転したみたい。あの頃は、そこにはサブウェイがあった。
人がたくさんでお店もたくさんで、ごちゃごちゃしているけど雰囲気は穏やかでとても素敵な街だった。

コロナや東日本大地震、日本を変えてしまった大きな出来事を過ごして大人になった主人公達。
実在する街とお店、どこまでもリアリティを持たせた設定。
淡々としている未明（みめい）ちゃんはそれでもやっぱり普通の女の子で、彼氏ができたらそのことで頭がいっぱいになってしまって悩んだり後悔したり、そんなことより自分をしっかり持ちたいと決意したり。偉いね。自分を強く持つって、私はアラフォーになってもできていないよ。
朝川彗（けい）は、掴みどころがないけど悪い人じゃないっていう作中の表現がそのとおりすぎて、これはモテるし悪意も意図もないから厄介だなあと唸ってしまう。
こういう男にハマると振り回されるし病むし危険だけど、未明ちゃんは冷静に自分は自分で彗は彗でそれぞれ好きな物と自分の時間を持って行こうと考えられていたから、うまくやっていけるといいね。

街も人も全部が魅力的な作品でした。また住みたくなってしまったなあ。

2025/03/24

コロナ禍に大学生になった主人公 未明の物語
コロナ禍が舞台の作品、小説も映画もエッセイも増えてきたなあと思う
もう5年だもんね…作る方も見る方もようやく気持ちが落ち着いてきたってことなのかな

私、主人公の未明がすごく好き
芯のある女の子なんです彼女
コロナ2年目に地元福島から上京して東京に住み始めたんですけど、最初の1年間 大学はずっとリモートで友達もできなかった未明
それにも関わらずちゃんと授業を受けて大量のレポートをこなし、実家から大量に送られてくる野菜も全て保存方法やレシピを調べて料理の腕を身につけました
すごいと思う
私だったらくすぶって自分自身を腐らせて、実家に戻っていたかもしれない

恋人と連絡を取れなくなって振られたと受け入れた時は、まだ残る中でやりたいことを挙げて次に進もうとしてた
強い。けど本人にその強さの自覚がないところがまた魅力的だと思う
(恋人と出会う前には身の回りの世話を全部自分でして自分1人で生きていたのに、恋人ができた途端 喜びも悲しみも恋人に関する事だけで世界が一気に狭くなった というところにはめちゃくちゃ唸った。分かる〜)

良い雰囲気の作品で私はすごく好きだった
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2024/11/24

コロナの1年過ぎたくらいの時の大学生の生活や心の動きを通じて、あの頃のことを思い出す。
この著者は声を荒げることなく静かな生活のなかでのドラマを綴っていく。