商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2023/02/15 |
JAN | 9784065308714 |
- 書籍
- 文庫
虚構推理短編集 岩永琴子の密室
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虚構推理短編集 岩永琴子の密室
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商品レビュー
4.3
11件のお客様レビュー
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なんとも生々しい話が続くなという印象だった。それこそ、その複雑さは韓国ドラマっぽいなという感想を抱くくらいには。そして救いようのあるような、ないような浮遊感のある話が多いように思えた。 最後の章である飛島家の殺人は珍しく複数の説を提示しながらも答え合わせのない話であった。正直題名の通り、この物語は全編を通して虚構推理なわけだが、それでも最後には岩永琴子が最初から妖怪や幽霊から話を聞いていて裏付けをしている等のことが示されることが多かったため、最後はなんとも言えない読了感であった。少し考えれば、文中に出てきた「牧師の黒のベール」なる短編小説の結末をなぞっていることは自明ではあったが、そうなるとなんともオシャレな締め方である。
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「みだりに扉を開けるなかれ」 密室を作り出したはずが。 計画通りに進めていったはずだが、自分が何もしていないというのに変化があったら混乱と共に恐怖するだろ。 トリックを解かなければ本来の姿に辿り着けないというのに、面白半分で邪魔をされてしまったら混乱を招くだけなのではないのか。 ...
「みだりに扉を開けるなかれ」 密室を作り出したはずが。 計画通りに進めていったはずだが、自分が何もしていないというのに変化があったら混乱と共に恐怖するだろ。 トリックを解かなければ本来の姿に辿り着けないというのに、面白半分で邪魔をされてしまったら混乱を招くだけなのではないのか。 「鉄板前の眠り姫」 警察を呼んだら問題あり。 営業終了間近だというのに入店し注文したどころか、そこで寝入ってしまうのは流石に迷惑だったのではないか。 ここまで警戒心が強いのは助かることもあるだろうが、ここまで破綻のない説明を信じてくれないのは面倒な相手だっただろうな。 「かくしてあらかじめ失われ……」 二人の関係は複雑なもの。 渡された書類に目を通した時、もしもの可能性が書き連ねられていなかったからこそ目に見えて安堵したのだろう。 理想の女性として語られる容姿を持つ人など居ないと思っていたが、実際に現れてしまったら心の中は驚きと嫉妬で相当荒れただろうな。 「怪談・血まみれパイロン」 語られた一匹の狸の話は。 どんな目的であったとしても、偶然出会ったことにより命拾いしたのだから物であっても礼を言ってもいいだろう。 ほんの少しだけ嘘を交えることによって、事実が少し捻じ曲げられても違和感をもたないような物語になるのかもしれないな。 「飛島家の殺人」 黒いベールが表情を隠し。 長い年月が経った事件の真相を知ることなど不可能に近いが、もしかしたらと仮説を立てるには十分な証言かもな。 最後に語られた話が正しければ、それを問いただす勇気も必要であるだろうし今まで見れなかった顔を表に出されることに躊躇するだろうな。
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【みだりに扉を開けるなかれ】 妖怪や幽霊が存在している事が前提であるなら、妖怪や幽霊によって密室殺人の密室が破られる事もあるという、ミステリーなら非難轟々だろう話でした。妖怪や幽霊の存在をその様な役割に当てはめる発想が無かったので、とても面白く感じました。あと、「妖怪密室ひらき」が生まれうるというちょっとズレた心配をする岩永琴子は相変わらずなのだと感じました。 【かくてあらかじめ失われ……】 妖怪や幽霊が密室を開ける、という事件が実際に起こり、岩永琴子が解決に奔走した話。密室にまつわる犯行と、岩永琴子の紡いだ虚構も中々に面白いものでしたが、それ以上に複雑な人間関係が明らかになったのが面白かったです。推理小説みたいな人間関係と言いたくなるのも宜なるかなといった感じでした。 【飛島家の殺人】 事件自体に妖怪や幽霊の関わりは無いものの、この作品らしく岩永琴子が虚構を紡ぐ話でした。五十年の歳月が経っており、既に証拠など残っていない事件に対し、岩永琴子があげた二つの仮説。真相がどうあれ、当人達にとってはどちらを取るか(もしくはどちらも話してしまうか)迷う仮説を紡いだのは流石としか言い様がありません。そして、どこか人間離れした不気味さを感じさせ、岩永琴子らしいと思いました。
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