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「おふくろの味」幻想 誰が郷愁の味をつくったのか 光文社新書

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2023/01/17 |
JAN | 9784334046477 |
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「おふくろの味」幻想
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「おふくろの味」幻想
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商品レビュー
3.9
10件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
おふくろの味はさも昔からあった母の味というようなイメージがあるが、母親がご飯を作るようになったのは高度経済成長を経てからである。郷土料理を後世に残すためにいいように[母の味]が使われた
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食にまつわるビジネスをしている知り合いに「食べる」って観点で昭和・平成・令和の社会変化を研究している人っていない?と聞いたらすかさず推薦されたのがこの本の著者の湯澤規子教授でした。で、本書もめちゃ面白い、とおすすめされました。なので、即読み。あまりに面白かったので、すぐ「胃袋の近...
食にまつわるビジネスをしている知り合いに「食べる」って観点で昭和・平成・令和の社会変化を研究している人っていない?と聞いたらすかさず推薦されたのがこの本の著者の湯澤規子教授でした。で、本書もめちゃ面白い、とおすすめされました。なので、即読み。あまりに面白かったので、すぐ「胃袋の近代」に手を伸ばして、こちらの新書の感想は後回しに。題名からうすうす感じていましたが、冒頭から『結論からいえば、古代、近世、近代、そして現代に至るまでずっと変わらず「お母さんがごはんをつくってきた」というのは実は誤った認識である。』とぶちかまされます。「おふくろの味」というキーワードがどうして生まれ、どう広がったか、という探索ですが、家庭料理という食の形態から見つめる近現代史なのです。その追求は後半に進むにつれ、著者の自分ごとになっていき、それが大きな歴史とつながる感覚にはちょっと興奮を覚えました。この本棚でも中原一歩の「小林カツ代伝」とか阿古真里の「小林カツ代と栗原はるみ」を読んでいたので、何かが繋がった感覚になりました。何よりも、ミシェル・ド・セルトーの『日常的実践のポイエティーク』の著者、ミシェル・ド・セルトーが提起する、「空間は人間が創る物語と関わる舞台である」という言葉に出会ったのは大きいです。バラバラの要素を寄せ集め、一枚の表を作り出す舞台を「地図」と定義する…この本棚もそんな「地図」になれたならいいな…
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「おふくろの味」という概念はいつ、どこから生まれて、どのように共有、拡散され、変化したのかを探る。湯澤規子氏のことは深緑野分『福神漬』で知り、『胃袋の近代』が面白かったのでこれも読んでみた。 「おふくろの味」と言われたら、私は母がつくる肉じゃがのような家庭料理を想起する。少なく...
「おふくろの味」という概念はいつ、どこから生まれて、どのように共有、拡散され、変化したのかを探る。湯澤規子氏のことは深緑野分『福神漬』で知り、『胃袋の近代』が面白かったのでこれも読んでみた。 「おふくろの味」と言われたら、私は母がつくる肉じゃがのような家庭料理を想起する。少なくとも明治時代までに生まれた言葉だと思っていたが、この本で戦後生まれの概念と知り驚いた(肉じゃがのレシピが明文化されたのも1960年代だった)。 そして「おふくろ」と「ふるさと」のイメージは密接な関係があり、本書では昭和30-40年代に栄えた郷土食ブームが母の味に転換された過程が明かされるが、私はその説明には資料が乏しく、やや強引さを感じた。背景に戦後の核家族化、男女の性別役割分担の固定化があるとしても、具体的な文献例示に欠けたのではないか。 とはいえ、最終章の戦後の家庭料理と料理研究家の分析は面白い。土井勝は「おふくろの味」を広めた立役者の一人だが、その息子の土井善晴が「一汁一菜」に至ったこと、小林カツ代と栗原はるみの存在意義などは的を射た指摘だと思う。 そして令和の今、「主婦」という言葉の意味は昭和時代とは全く変容した。巻末には「おふくろの味」を冠した書籍リストが載っている。関連本を多く出し、イメージの共有拡大を努めてきたのが、「主婦」を社名に冠した2つの出版社だ。理想的な家庭的な主婦像は崩れ落ちた。今後10-20年で社名変更もありうるのではないか。
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