1,800円以上の注文で送料無料

破果
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1222-02-02

破果

ク・ビョンモ(著者), 小山内園子(訳者)

追加する に追加する

破果

2,970

獲得ポイント27P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2022/12/17
JAN 9784000615761

商品レビュー

4.1

61件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/12/07

岩波から出ている韓国文学なので何かあるかなと思い読んだが、普通のアクション系エンタメ小説だった。もちろんストーリー展開や情景描写は韓国映画を見ているようなシャープさでクオリティーは高いが、自分が求めているようなものではなかった。

Posted by ブクログ

2025/10/27

先日読んだピエール・ルメートル『邪悪なる大蛇』と同じく、殺し屋の老婆が主人公。『邪悪なる大蛇』の方は前頭側頭型認知症かと思われる症状の出現により、反社会的行動が加速度的に増していっていたが、こちら『破果』の主人公爪角は歳を重ねたことによって、殺し屋として持つべきでない「情」の溢出...

先日読んだピエール・ルメートル『邪悪なる大蛇』と同じく、殺し屋の老婆が主人公。『邪悪なる大蛇』の方は前頭側頭型認知症かと思われる症状の出現により、反社会的行動が加速度的に増していっていたが、こちら『破果』の主人公爪角は歳を重ねたことによって、殺し屋として持つべきでない「情」の溢出を、どうしてもおさえることができないでいる。これが何ともいい。 飼い犬のため家をこまやかに改造し、ターゲットを追わなきゃならない場面ではよろよろのおじいさんについ手を差し伸べずにはいられず、そして治療をしてくれた若き医師に淡い恋心を抱いてしまう…。ハードボイルドな女のこのいじらしさ、けなげさ!最高です。 しかし、何よりの白眉はバイオレンス・アクションシーン! ただならぬ緊迫感とスピード感、痛覚に直に訴えかけてくるようなヒリヒリした描写、その合間に挟み込まれる引きのアングルで見た時のなんとも言えない滑稽さ泥臭さ、そしてこれらの緩急がもたらす心地いいリズム感…。 もう、著者の筆力にただただ脱帽。 他にも、フェミニズム、エイジズム的観点や生い立ち回想シーンの重厚さなど、語りたくなるポイントは大量にあるが、とにかくさまざまな要素を全部詰め込みまくってがっつり超エンタメに仕上げてきたこのサービス精神の過剰さに、すっかり骨抜きにされてしまいました。 映画化もされたとのことで、日本での封切りが待ち遠しい!

Posted by ブクログ

2025/10/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一文が長かったり、突然場面が切り替わったりと、視点が明言されないまま物語が進む部分が多く、正直読みにくかった!ただ、訳者あとがきによれば、その読みにくさは作者の意図とのこと。「邪魔をするような文章で読者の行手を阻み、一気読みさせないため」だそうで、作者の狙いを自力で汲み取るのは難しかったものの、結果的にはその意図どおり、時間をかけてじっくり読むことになった。 殺し屋として生きてきた主人公・爪角の一節、 ——「確固たる日差しのもとで根を張る人々を見るのは、気持ちがいいことだ。長いあいだ見つめているだけで、それが自分のものになるのなら。ありえないことでもほんの一瞬、その場面に属している気分があじわえるのなら。」—— という言葉には、生き残るために脳内を“効率・論理・無機質”で埋め尽くさざるを得なかった彼女のプロフェッショナルな生き様と、その奥底に少しだけ残り続けた「平凡で幸せな“普通”への憧れ」が歳をとってより滲み出てきていることに人間みが溢れていた。私にはこの一節がとても印象的で、切なく、胸に沁みた。 高齢×女性という、社会的弱者とみなされがちな存在をプロの殺し屋として描く発想にも驚かされた。自らの老いを誰よりも自覚しながら、ひとりの女性として抱いてしまった恋心に悩み、それでも最後は理性で処理してしまう彼女の姿に、境遇は違えど、同じ女性として共感し、また切なさを覚えた。 誰ともコミュニティを築けない殺し屋としての孤独。爪角をその世界へ導き、師であり唯一の相棒でありつつ、彼女に恋心を抱かせたリュウ。彼は「大切なものをつくらないように」という言葉を残し、結ばれることもないまま先に逝ってしまう。爪角の想いはどこにも行き場がなく、記憶だけが残り続ける。好きな人が自分のせいで生きづらくならないよう、仕事でもプライベートでも徹底して理性的に振る舞う爪角。リュウの奥さんに対しても心から気遣う彼女の姿を見ると、殺し屋とは思えないほど根が純粋で、誰よりも優しい人なんだと感じた。 そんな爪角の生き様を綴ったこの小説は、私にとってただただ切なく、胸に重く残る一冊だった。

Posted by ブクログ