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アルツハイマー病になった母がみた世界 ことすべて叶うこととは思わねど
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アルツハイマー病になった母がみた世界 ことすべて叶うこととは思わねど

齋藤正彦(著者)

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アルツハイマー病になった母がみた世界 ことすべて叶うこととは思わねど

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2022/11/09
JAN 9784000615655

アルツハイマー病になった母がみた世界

¥2,420

商品レビュー

4.7

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2023/08/21

 本書は、認知症を発症し87歳で亡くなった女性の日記と、認知症専門医のご子息による反省の書と言える。お母様の認知症に伴う失敗や、専門医でありながら患者家族としてご自身の振る舞いを後悔なさっている様子に、認知症に向き合う難しさを思い知らされた。専門的な知識を持つ著者でさえ、母の病気...

 本書は、認知症を発症し87歳で亡くなった女性の日記と、認知症専門医のご子息による反省の書と言える。お母様の認知症に伴う失敗や、専門医でありながら患者家族としてご自身の振る舞いを後悔なさっている様子に、認知症に向き合う難しさを思い知らされた。専門的な知識を持つ著者でさえ、母の病気を受け容れることは難しい。ご本人は尚の事である。  従来、認知症患者本人は自らの認知症を自覚しないと考えられがちだったのだが、本書を読めばそれが全くの間違いであることが分かる。普段当たり前に出来たことが出来なくなってゆく喪失感ばかりが強まる中で、その事実を否認しながらも何とか自身の病態に立ち向かいながら生き抜こうとするさまが日記から明らかになる。頭も身体も混沌として、料理や外出など普段出来たことが出来なくなり、時間の感覚も無くなってゆく。それでも何とか自我を保とうとする道のりは、私には凄絶に感じられた。  本書の副題は「ことすべて 叶うこととは思わねど 己が歩みを ますぐにゆかむ」という歌からとられている。著者の母が認知症を発症した晩年に、推敲を重ねて作り上げられた歌である。著者が言うように、本書を「アルツハイマー病患者の日記」として、文章の中に病気の兆候を探るように読むのは違うのだろうと思う。むしろ本書の主眼は「どう生きるか」ということであって、それがたまたまアルツハイマー病の患者だったというだけのことのように思われる。だからこそ本書は、一般的には認知症と程遠い世代である私自身にも深く突き刺さるものがあった。

Posted by ブクログ

2023/02/23

認知症の専門医である著者が、医者としての立場よりむしろ、息子として、アルツハイマー病になった母の日記から、母の生き方を振り返り(時には現実から目をそらしつつ)見送った記録。見送り方については、母を支える辛さから自分が楽な方法を選んだのではないかと自分を責めるが、母が残したエンディ...

認知症の専門医である著者が、医者としての立場よりむしろ、息子として、アルツハイマー病になった母の日記から、母の生き方を振り返り(時には現実から目をそらしつつ)見送った記録。見送り方については、母を支える辛さから自分が楽な方法を選んだのではないかと自分を責めるが、母が残したエンディングノートに救われている。「私は、最後まで頼りにならない息子でしたが、母は死してなお、息子を気遣い庇い、その不幸を許してくれました。」という言葉に涙が出た。 認知症になると何も分からなくなるわけではなく、できないこと、分からないことが増えていく不安と焦りで、とても辛い思いをしているということがよく分かった。知ることができて良かった。

Posted by ブクログ

2023/02/20

アルツハイマー病に関する「客観的な」症状や治療方針についての話はあまりない。私がこの本を手に取ったのは、アルツハイマーと診断された私の家族自身が、どのような思いを抱いて日々を生きることになるのか、そうした極めて「個人的な」、本人が抱く思いや感情について知りたいと思ったからだ(本人...

アルツハイマー病に関する「客観的な」症状や治療方針についての話はあまりない。私がこの本を手に取ったのは、アルツハイマーと診断された私の家族自身が、どのような思いを抱いて日々を生きることになるのか、そうした極めて「個人的な」、本人が抱く思いや感情について知りたいと思ったからだ(本人に聞いたとしても、強がって本当のことを言ってくれないであろうから)。他の認知症に関する書籍をちゃんと読んだことはなく、そうした本との比較は全くできていないので、参考にはならないかもしれない。しかし、アルツハイマー病になった著者の母が遺した日記から「こういう状況が、本人にとってはこういうふうに辛く感じられるんだな」ということを教えてもらうことができ、私にとっては大いに助けに、また救いになった本であった。 以下はこの著作とは関係ないが・・・。 本を読み終え、著者の経歴を読んでいると、都立松沢病院の院長との文字。頭にあるNHKの番組が思い浮かぶ。「ETV特集 ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」(2021年7月31日放送)。コロナ禍の中で、特に対応が難しい精神疾患を有する患者の方々に、心から寄り添い続けようとした精神病院を追ったドキュメントだ。他の精神病院でのコロナ患者に対する劣悪な対応の様子との対比もあって、その松沢病院の凄さがよく伝わってきた。その院長先生(まさにコロナ禍の時の院長)であった人の著作だったとは!こちらの番組も、オススメ。

Posted by ブクログ

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