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太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密
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太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密

三浦英之(著者)

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太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2022/10/25
JAN 9784087817218

太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密

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商品レビュー

4.6

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2024/05/30

コンゴに派遣された日本人男性が現地の女性との間に子供をもうけた末に置き去りにした、それだけではない一冊。コンゴという国の歴史についても簡易にまとめられていて勉強になる。 読み始める前は、日本人男性なんて「俺は家庭のために働いてる」を盾に育児も家事もしないんだから、赤子に愛情も湧か...

コンゴに派遣された日本人男性が現地の女性との間に子供をもうけた末に置き去りにした、それだけではない一冊。コンゴという国の歴史についても簡易にまとめられていて勉強になる。 読み始める前は、日本人男性なんて「俺は家庭のために働いてる」を盾に育児も家事もしないんだから、赤子に愛情も湧かぬまま帰国して得意の事なかれ主義で忘れたふりして過ごしてるんだろう、などと思っていたけれど。実際は赤子の誕生を大変喜び、数年にわたって送金をしていたり、中には約10年後に再びコンゴを訪れて息子と再会し、『日本には別の妻や子どもがいるが、俺はお前を愛している。』と伝えて泣いた父親もいた…。なのになんで会いに行かない!?名乗り出ない!?現地の風習を知っていたはずなのに、その後我が子が泥水をすする暮らしを強いられている苦しみを知らぬ存ぜぬで通して来たの!?なぜ!? この本が広く世に知られることで、再会できる親子が増えたらいいのにと願うばかり。 嬰児殺しは真実でなかった(フランス24はもとよりBBCもあてにならないんだな…)とはいえ、組織ぐるみで子ども達に辛酸を舐めさせたのは事実。 それと、伊藤正孝氏の「記者が現場に行くことの意味」については、広く知らしめられる方が良いのではと思った。「記者たちの目があれば、虐殺はかなり防げると信じるからである。中東アフリカに関するかぎり、大量虐殺は記者の目の届かない密室状態で起きている。」と、凄惨な内戦現場で克明な記録を残し続けた記者自身が体感している。 日本とコンゴの経済格差による歪みもさることながら、現地で子供を作った働き手の男性たちと、幹部たちとの経済格差の歪みにも問題の一端はあったのでは、という気持ちにも。コンゴで働いていた医師が下請け企業の単身赴任者住宅に足を運んで、その粗末な造りに苦言を呈するも総務課の人こら『これでも良い方なんですよ。先生は彼らが日本でどのような暮らしをしているか、ご存知ないでしょ?』と一蹴されたエピソードも胸にずしんとくる。 帰国したものの金銭に本当に余裕がなく、送金も渡航も不可能だったという現実もあったのかなぁ。

Posted by ブクログ

2024/02/11

2023年新潮ドキュメント賞受賞作 新潮ドキュメント賞とは、ジャーナリスティックな視点から現代社会を深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品に授与されるノンフィクションの賞です。 2022年に受賞した「嫌われた監督」が大変面白かったので、この賞を取る...

2023年新潮ドキュメント賞受賞作 新潮ドキュメント賞とは、ジャーナリスティックな視点から現代社会を深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品に授与されるノンフィクションの賞です。 2022年に受賞した「嫌われた監督」が大変面白かったので、この賞を取る作品は読んで間違いあるまいと信じて読みました。ちなみに「嫌われた監督」はプロ野球で唯一、三冠王を3回取った落合博満氏を対象とした作品です。監督業においても圧倒的な成績を収めた落合氏は、「名選手は名監督にあらず」というスポーツ全般に言われている定説をぶっ壊したものすごい人です。 余談が過ぎましたが、余談ついでに言っておくとこの新潮ドキュメント賞の選考委員が大物ぞろいです。保坂正康氏、櫻井よしこ氏、池上彰氏など錚々たるメンバーです。 本題です。 良質なノンフィクションはやっぱいいですね。よく錬られた展開にぐんぐん引きこまれました。著者の三浦氏は朝日新聞記者でルポライターです。本書の舞台はザイール国(現コンゴ民主共和国)で1960年代後半から鉱山開発に派遣された日本人たちと現地妻とその子どもたちのなんとも言えない悲しいストーリーです。 2010年以降にフランスやイギリスのメディアが報道映像で、日本人を糾弾しました。日本人鉱山労働者が現地女性と多数の子をもうけたばかりか、一部の赤ちゃんが日本人医師の手で殺されたという疑いが伝えらました。 ツイッター(現X)でこのことを知った著者は赴任地である南アフリカのヨハネスブルクから旧ザイール南部の街ルブンバシへ通います。現地で知り合いになった日本人協力者と共に日本人とザイール人から生まれた32人の子どもとその家族を訪ね歩き話しを聞きます。そして、日本人による乳児殺害は、現地記者が金欲しさに流したデマだったとの結論づけます。 著者たちの調査結果をイギリスメディアにぶつけると謝罪こそしなかったものの記事が削除されました。 なぜ、デマが報じられたのか。アフリカの場合、少数の特派員が広大なテリトリーをカバーします。このため紛争、事件の第一報はAPやロイターなど世界的な通信社に頼らざるをえないそうです。そのAP、ロイターも各国に特派員はおらず、通信員や地元記者を使います。彼らの中には、ニュースを買ってもらうため、誇張やウソを流す者もおり、乳児殺しのデマはまさにその産物だったのです。 デマはデマとしても日本人の父をもつたくさんの子どもたちが置き去りにされたというのは紛れもない事実でした。 中国残留孤児については昭和の頃に盛んにテレビ報道されていましたので一定以上の年齢の方は知っているのでしょうが似たようなことがアフリカにもあったとは衝撃でした。 1970年代〜1980年代にザイールに数年間暮らした20代〜40代の日本人鉱山労働者は10代の地元女性と親しくなり、中には結婚までして、新居から鉱山に通う人もいました。任期を終えて日本に戻る際にはザイール人妻や子を日本に連れていく日本人はいませんでした。長年仕送りする人や、別れ際に号泣し、去っていった人もいました。 現地に暮らし、残された子どもたちに寄り添ってきたシスター佐野さんは著者に「父親に会って、お金がほしいという人はほんの一部にすぎない」と話す。多くは、ただ父親に会いたいという「人の子であれば誰もが持っている普遍的な愛」だと言っています。 著者は日本に戻り、父親捜しを始めるのですが難航します。父親を知っている人にまで行きつくが今の家庭を壊しかねないという理由で協力を断られたりします。  またある父親はすでに亡くなっていたとの情報を得ました。その父親のコンゴの息子に再会したとき、著者は会うなりすぐ聞かれます。「僕のお父さん、見つかった?」。迷いながらも亡くなっていたことを告げると、40代の息子はみるみる涙をため、泣き続けました。 妻や子どもを置き去りにした日本人鉱山労働者たちはどのような思いでいたのでしょうか。おそらく一人一人に葛藤があったはずです。 <人は正直に生きられない、組織や常識といった目に見えないものに絶えず縛られ、生きたいように生きるという、そんな簡単なことが思うようにできない。あるいは「彼ら」も同じ気持ちだったのか>(「太陽の子」) いろいろと考えさせられる作品でした。それにしても著者の執念とも言える取材にはただただ頭が下がるばかりです。普段小説しか読まないブク友の皆さんにも自信をもっておすすめできる一冊です。

Posted by ブクログ

2024/02/08

貧困がもたらす想像以上に悲惨な状況。 人の幸福や尊厳はあまりに軽く扱われ、運としかいいようのないもので命までも左右される。 日本で生きていると想像もできない環境だけれど、そこで生きている人たちはあっけらかんとした明るさを失わず生きている。 富や権力によって他者から何かを奪うこと...

貧困がもたらす想像以上に悲惨な状況。 人の幸福や尊厳はあまりに軽く扱われ、運としかいいようのないもので命までも左右される。 日本で生きていると想像もできない環境だけれど、そこで生きている人たちはあっけらかんとした明るさを失わず生きている。 富や権力によって他者から何かを奪うことの罪は大きい。資源を持たない島国に住む日本人は、その罪の重さを認識して自制しておかなければ、きっと容易く同じ略奪を繰り返してしまう。

Posted by ブクログ

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