商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 評論社 |
| 発売年月日 | 2022/10/19 |
| JAN | 9784566023949 |
- 書籍
- 文庫
指輪物語 最新版(6)
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指輪物語 最新版(6)
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商品レビュー
4
4件のお客様レビュー
にしても緻密。今なお、この小説についての研究者がいるというだけあって、物語の密度は濃く、地形、種族、言語、歴史、建造物など、作品を構成する要素それぞれが奥深く、トールキンの創造力と博識に圧倒される。 いわば「行きて帰りし物語」の典型であり、なんなら指輪物語こそがその代表作なわけで...
にしても緻密。今なお、この小説についての研究者がいるというだけあって、物語の密度は濃く、地形、種族、言語、歴史、建造物など、作品を構成する要素それぞれが奥深く、トールキンの創造力と博識に圧倒される。 いわば「行きて帰りし物語」の典型であり、なんなら指輪物語こそがその代表作なわけですが、しかしだからと言ってフロドという指輪保持者を英雄として押し出すような描き方をしていないのは面白い部分。どちらかと言えば、アラゴルンやガンダルフといった戦場において特別な才能を持った人物の方が”かっこよく”見える場面が多く、一方でフロドは指輪の魔力により気力も体力も徐々に奪われていき、後半になるほど前向きな台詞は減っていく。 対して、話が進むほど存在感を増していく人物、それがサム。 いやマジでこいつ凄すぎる。あまりにも献身的で、あまりにも勇者。二つの塔の下巻あたりからは完全にサムが話を引っ張っていくこととなり、もうほんと彼がいてくれてよかったと思うことしきり。やっぱり最後のサムとフロドが二人きりで滅びの山を目指す過程は泣いちゃったよ。 でも、最終的にサウロンを打ち倒すことが出来たのは、何度も殺すチャンスがあったのにゴクリを殺さなかったフロドの慈悲のおかげでもあるわけで、ここにこそ、作者がフロドに指輪を託した意味があるのだろう。 ていうか指輪を捨ててからが異様に長い。指輪破壊後、余韻というには長すぎるほど話が続き、伏線回収とはまた違った形の、小規模な戦いがホビット庄で起こる。戦争のあとにも人生は続くし、諍いそのものを無くすことは出来ないし、時間とともに時代は変わる――といった読み替えが出来そうではあるが、もっと単純に、作者が書きたいこと描いた結果、よくある話の構成とは違う形になった、というだけのことかもしれない。 というかそこを深く考えるのはあまり重要だと思えない。力に固執せず、「捨て去る」ことで得られる平穏と達成感。指輪物語が真に伝えようとしたことはそういったことだと思うから。 あと、描写のさじ加減については結構クセがあって、一行で済ませられそうな台詞や描写を何行にもわたってくどくど説明したかと思ったら、わりと大事な場面をあっさりした感じで片付けてしまったり、翻訳の古さもあってか、流し読みしてると読み飛ばしてしまいそうになる部分が結構あった。なのでこれは翻訳と原作の文章、どちらにもクセがあるってことなのだと思う。 ========== というわけで、指輪物語読み終わりました。 そして、ファンタジー小説読もうと思いたってから早半年、自選した作品(および誰かにおすすめしてもらった作品)を一通り読み終わったので、ひとまずここでファンタジーブームは終了。 SFやミステリーがある種の論理に基づいて構成された物語であるのに対し、ファンタジーはイチから世界を想像するところから始まるため、私たちがよく知る、たとえば「科学」や「法律」なんかとはまったく別軸の法則で成り立っており、まずはそこに自分をシフトさせる必要がある点にこそファンタジーの特徴があるような気がします。 そしてだからこそ、作者が創りだしたその世界観に入り込んだときの興奮は極上。物語以上に「世界」それ自体をもっと知りたくなる、という点がこのジャンルの魅力かなと思います。地形だったり、歴史だったり、言語だったり、生き物だったりね。 同時にそれはリアルとの映し鏡のようなもので、どんなファンタジーであってもそこには現実を反映した歴史、倫理、痛みがありました。 そしてその作者の知る「痛み」が読者と共鳴したとき、私たちはその作品を自分のための物語と感じるのだろうなと、それがファンタジーの力なのだろうなと。 だからファンタジーは愛され続けるのだろうなと、そんな風に思います。
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- ネタバレ
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前半三分の一はフロドとサムが指輪を捨てるまで。困ったときは大鷲頼り。 戦いが終わったあとのゴンドール王の戴冠式あたりは描写がまだるっこしくて読むのがかなりきつく強いストレスを感じた。 主要登場人物が再結集して帰路に就き、途中で別れて少しずつメンバーが減っていくのは旅の終わりの寂しさがあってしみじみした。最後は旅立ったときと同じホビット四人に。1年ぶりのホビット庄への帰還。 最後にサルマンと蛇の舌の再登場と対決があったのは意外だった。物語的に蛇足に思えた。 この巻ではフロドの存在感は薄く、サム、メリー、ピピンの方が目立っている。 トールキンは執筆時に起きていた世界大戦の影響はないと断っているけれども、指輪に象徴される権力や暴力の放棄と敵とはいえ安易に命を奪わない慈悲という作品のテーマには戦争の影をどうしても見てしまう。だからこそ今読むべきとも思えた。指輪を捨てる分別を持てるリーダーが今いるだろうか。分断と排除と対立が深まるばかりのこの時代、この世界に。 去年の年末から読み始めてようやく本編読了。残るは1巻のホビット学と追補編。
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2024/11/23読了 1ヶ月超をかけ、漸く壮大な物語を読み通した。 主要ホビットの中でサムは、良く言えば真面目・実直、悪く言えば地味で鈍臭い印象だったが、本巻冒頭で、囚われたフロドを救うために主役級の大活躍を見せる。再び揃った二人はそのままゴールの滅びの山へ。指輪の破却は6巻...
2024/11/23読了 1ヶ月超をかけ、漸く壮大な物語を読み通した。 主要ホビットの中でサムは、良く言えば真面目・実直、悪く言えば地味で鈍臭い印象だったが、本巻冒頭で、囚われたフロドを救うために主役級の大活躍を見せる。再び揃った二人はそのままゴールの滅びの山へ。指輪の破却は6巻の三分の一くらいで達成。割とクライマックスが早く来た印象だが、モルドールは心身とも癒やされないどころか蝕まれるような所みたいだし、これ以上に引っ張ったら、フロドもサムも身が保たなかったと思われるので、丁度良い所だったのかも。しかし、難行苦行ではあったけれど、モルドールの国内統制が些かお粗末だったことに加えて、ガンダルフたちの陽動作戦が奏功してサウロンの注意が黒門に向いたことで、ほぼノーマークで滅びの山に行けている。サウロンも、戦力は圧倒的に自軍に有利だし、どんと構えて国内治安を整えておけば、通常警備レベルでフロドを確保出来ただろうに……やはり邪悪なる者は、その行いの結果故に滅ぶのだろう。 そして、残り三分の二で、後日譚……新たな時代の到来と指輪所持者たちの旅立ちが語られる。平和が訪れても、それは戦乱の前と同じようにはいかず、変化を受け入れて”日常”に戻らねばならない。そもそも、『指輪物語』は第二次世界大戦中に執筆されていたと知ると、闇の勢力が枢軸国とダブってくる。だとすると、トールキンが、平和をもたらす者を、偉大な魔法使いでも勇者でもなく、ワイワイガヤガヤ、美味しいものを飲んで食べてが大好きなホビットという平和的な種族にしたのには、なにかのメッセージを託していたのかどうか。 最後の最後、冒険の日々もその後処理も終わり、サムはフロドたちを灰色港で見送って帰宅。「さあ、戻ってきただよ。」のひと言で物語は終わり、語られざる”日常”に戻っていくのだろう。――けど、此方は性懲りもなく、また別の物語を読みに行くのであった。
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