商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 晶文社 |
| 発売年月日 | 2022/10/12 |
| JAN | 9784794973320 |
- 書籍
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ある大学教員の日常と非日常
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ある大学教員の日常と非日常
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商品レビュー
4.2
5件のお客様レビュー
ムーミン本『なぜスナフキンは(以下略)』がきっかけで横道誠さんを知った。発達障害の当事者研究なるものをしているという。文学研究者でもある。高野秀行さんと対談などもしている。興味を持ったのでいろいろ著作を読んでみたいと思った。 高野さんによる書評が面白かったので、この本を選んだ...
ムーミン本『なぜスナフキンは(以下略)』がきっかけで横道誠さんを知った。発達障害の当事者研究なるものをしているという。文学研究者でもある。高野秀行さんと対談などもしている。興味を持ったのでいろいろ著作を読んでみたいと思った。 高野さんによる書評が面白かったので、この本を選んだ。「障害者モード」という言葉が気になったのも選んだ理由のひとつだ。 「障害者モード」については、障害を抱える自分を受け入れて生きる、ということだと理解した。でもそれは、何かを諦めるとか、不遇を甘受するとか、そういうネガティブなことではなく、「ああ、自分は今こうなんだ、それならこうしよう」と前に進むための心構えなのだろうと思う。 ある人のある個性が「障害」、つまり生活するうえでの“差障り”になるかどうかは、どんな環境で生活しているか次第なので、その個性の側だけに“障害性”があるわけではない(障害の社会モデル、というそうだ)。そう考えると、「健常者と障害者」という二項対立を、人に当てはめる表現(あの人は健常者、私は障害者、など)は、間違った捉え方による言い方なのではないか。「私は、この状況においては健常者、だけど別の状況においては障害者」、ということが起こり得る。要はその環境、社会において困りごとがあるかどうかの違いなのだが、社会の側のあり方が固定的で限定的だと、ある個性を持つ人は常に困ってしまうから、まるでその人の側に障害の元があるかのような「障害者」という言い方になる。 そこまで考えると、「障害者モード」という言葉は、「今ここで私は困っている、ということを、自分も周囲も責めずに、冷静に認識すること」と言い換えられるかもしれない。障害者という言葉が悪いとか、害の字はひらがなで書くべきかとか、そういう表面的なことは置いておいて、診断されてラベルがつくことの意味は、冷静に受け止めるための手段のひとつというところにあるのかもしれない。 ここまで書いたことは、私がただ考えたことで、本には書いてない。それに私は、一般的な意味での障害者の経験する「困りごと」の、何万分の一も想像できていないで、相当ぬるいことを言っているだろう、きっと。でも、怪我や病気や老いやストレスなどで、誰でも困る日は来る。全ては、広い広い、だけど同じひとつの地平の話なんじゃないか、と思った。 …これだけ長く書いておいてなんですが、それはさておきですよ。なんかこの本、好きだったんです(急にですます調)。正直いうと、文学作品の引用部分とか、ウィーンの街歩きの記録とか、すっすと読み飛ばしたところも多いのですが、それなのに「なんか好き」と感じたのはどういうところだろう、と考えてなんとか言葉にしてみると、 ・淡々としてるのに、事件だらけ ・事件だらけなのに、「ドラマ」じゃない といった感じでしょうか。 私は作劇したことはありませんが、「事件がないとドラマにならない、ただの出来事の連続じゃあドラマとは言えないんだ!」、そんな格言ありそうじゃないですか。でも、私はまさにその「ただの出来事の連続」感が好きだと感じたのです。テーマだとか、筋道だったストーリーだとか、ここが盛り上がるところよといった焦点が、まああるっちゃあるんですけど、ひとつに定まってないというか、定めたくなさそうというか。「伝える」ことに対して貪欲なのかそうじゃないのかわからない感じ、を醸し出してるところが良い。スリリングな旅路、学びと研究の日々、アウシュヴィッツ訪問、どれも読み応えがあった。 それを味わったうえで改めてタイトルを見ると、副題の、単語が並べてある様子も、愛すべきとっちらかり感であるように思われて、「わかるよ、全部込めたいし、人間、そんな要約とか集約なんてできるもんじゃないですよね」と言いたくなる。著者にそんなつもりがあるかどうかはわかりませんが、私にはそんなふうに見えて、心地よかった。この心地よさは、誰もわかってくれなくてもいい、私の個人的な感じ方だから、と言えるレベル。
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ずっと読んでみたかった横道誠さん、 まずはコロナ禍に執筆された本作から!一冊目。 発達障害ということにより起こるユニークな事象が毎ページのように出てくるが、 比喩や文章表現が軽妙で秀逸 …………… •収集家としてはすでに冥土に旅立った •判官贔屓への傾きが強く社会から非難を受けがちな人に連帯感を抱きやすい 創作物に関してもそのような人たちを描いた物語を受容 •正岡子規の紀行文一戸のような風景に融けこみたくなる 僕の心も初夏の爽やかさへとふやけていった …共感 •人間関係が細りゆくばかりで、復活した経験がない僕にはとてもありがたい出来事だった •僕にとってもっとも快楽を与えてくれるのは研究活動だ •「信頼できない語り手」が好き 人間の可能性と限界をともにさらけだしている •ストレスが増えて、酒量が多くなってしまい、 暗鬱な思いに沈んだ。そして、その池で溺れて底の泥にまみれて、全身に藻がはえて「水藻人間」と化していく姿を想像した。 •一時期とても夢中になったものの、自分の眼が肥えてしまい、いまはどのような商品を見ても驚かない。僕にとってのフロンティアがひとつ消滅したということを意味しているから、残念なことだ。それでも懐かしい色あいやデザィンには心を慰められてやまない。 •不思議な夢を見たいと念じながら寝入ると本当に見られる、覚えていようと努力する →夢の世界に現実感覚が侵食される •僕の全存在が激震した •今回の出来事は他人事として突き放して見たらかなり笑える案件 •斎藤真理子さんが訳した女性の著者による現代韓国文学 訳文が最高 …共感 読む僕たちの触覚まで、気だるい日常によって捕獲された状態から解放されて生気を取り戻す ★自分の体験世界を文学作品をはじめとした創作物に発見する 自分の物語を描き直す ★ 思えば僕は、幼少時から現在に至るまで、いつでも学ぶことを通じてしか他者と関われない人間だった。誰かと交友関係や恋愛関係を持つにしても、それが一種の学習として興味を掻きたてるのでなければ、自分の内面に関係を継続するための動機が湧いてこなくなるのだ。 ↓ 学ぶことを通じてしか人間関係を結べない僕は、学ぶことを通じてもうまく人間関係を築けない。マッチングアプリで二〇代後半の女性と知りあって二回オンラインデートをしたが、僕の心は晴れないままだった。そこで僕は数日ごとに、ひとりだけの当事者研究をやった。 自分の悩み事のひとつひとつを検品して、それらがほんとうに僕を悩ませるだけの大きさを持っているのかを考察する。美しい蝶を展超板の上で広げていくようにだ。人は不安になる際、その不安の正体がわからず、大きな混沌を敵として迎えていることが多い。当事者研究は不安をきれいにバラしてゆくことができる。バラした問題は、霧のように解決に向けて収斂しはじめたりする。 …………… 当事者の方の手記はあまり読んだことがなかったが、生きづらいだろうな、と思った 日常生活が困難 絶望と希望の間を常に行き来しているような方 でも、それを補ってなお余りあるほどの、豊かな感覚や多様な文献への引き出し、回路が素晴らしく発達されている方なのだろうなと感じた ナラティブ•セラピー(心理療法)調べてみたい あんなに苦労したのにパスポートが無効なもので(なくしたと思って作り直したのにまた出てきた古い方を誤って持ってきてしまった)旅立てなかった… 大ピンチの時に漢詩が頭に浮かぶ、とか ツイートしたらバズって当該の本の出版に繋がったとか 転んでもただでは起きない感が素晴らしい 無事到着し、後半は旅行記。 都市を自分に馴染ませる感覚は、留学中に体験したことがあるような、言語化したことがなかったがたしかに人間の適応現象が働いていたのだろうな、と 日本人の感覚からすると海外は本当に驚きや違和感の連続だから… 美術、建築、文学、博物、音楽、食、環境 満喫されている様子が描かれる •ウィーンの人々は控えめで、悪く言えば気どって いても、温和だ。ベルリンの人々は荒々しく、よく言えば率直だけど、押しが強い。 …関東人と関西人のよう •図書館に通って借り出す本を選ぶのが快楽そのもの …共感 書店でもブクログ周遊でも同じ アウシュビッツの項、一番心にズシンと来た
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面白かった。 普通のエッセイと紀行本の中間みたいな本。 作者は自閉症とADHDを患っていて、当事者研究として障害者への知識を深めている。 そのため、旅行や生活の中で起こる様々なイベントに対して、自分事なのに俯瞰的に見て分析するパートが多くて面白かった。 とくに「注意欠如・多動症的ビールストック」「自閉症スペクトラム症的ビールストック」の部分は笑った。 ADHDの目についたものに興味を持ちやすい傾向と、自閉症のこだわりが強い傾向がビールの銘柄に表れるのも面白いし、ネーミングのパンチが強くて良かった。
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