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燃エガラからの思考 記憶の交差路としての広島へ
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燃エガラからの思考 記憶の交差路としての広島へ

柿木伸之(著者)

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燃エガラからの思考 記憶の交差路としての広島へ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 インパクト出版会
発売年月日 2022/07/20
JAN 9784755403217

燃エガラからの思考 記憶の交差路としての広島へ

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2024/04/09

 著者の広島時代の思索のうち、美術や音楽、写真、詩などの諸芸術が戦争と植民地主義の暴力の犠牲者たちの声を甦らせるメディアとなる可能性を見定めようとしたエッセイを収録。副題は社会学者の鄭暎惠の議論にもとづくもの。この問題意識は、本書で展開される筆者の主張――「被爆遺構」としての旧被...

 著者の広島時代の思索のうち、美術や音楽、写真、詩などの諸芸術が戦争と植民地主義の暴力の犠牲者たちの声を甦らせるメディアとなる可能性を見定めようとしたエッセイを収録。副題は社会学者の鄭暎惠の議論にもとづくもの。この問題意識は、本書で展開される筆者の主張――「被爆遺構」としての旧被服廠を、帝国主義・植民地主義批判から出発する「記憶の交差路」として、芸術家が集う場へと変成させること――につながっていく。  ベンヤミン、アドルノ、ショーレム、(そしておそらくアーレント)と連なる思想の系譜を手掛かりにしながら、著者は繊細な思考を、決して難解ではないことばでていねいに、誠実に紡ぎ出していく。同様の着想にもとづく思考が角度を変えながら別の文章でも展開される部分があって、その点でも理解を深めることができたように思う。決して人目を惹くような派手さはないけれど、現在進行形で継続する戦争とそれを前提とした暴力の支配する空間とは異なる場所を切りひらくために、なぜ芸術的な創造が重要かを、読む者の身体に沁みとおるように伝えてくれる。戦争の暴力は、個々の身体が生きた生の時間を切りきざみつつ、国家と資本の論理に貫かれた権力が統御する時間を「現実」として押し付けてくる。だからこそ、平板で線条的な時間の流れを断ち切り、「逆流」させるアナクロニスティックな持続を作り出す企てが重要なのだ。

Posted by ブクログ

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