商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2022/07/06 |
JAN | 9784065282489 |
- 書籍
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掬えば手には
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商品レビュー
3.9
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読後、優しい気持ちになれる少し不思議な能力があるかもしれない主人公と、その周りの人たちのお話でした。 主人公は、オムライス屋でアルバイトをする大学生。本人はとある事情から『平凡』で『特別になれない』ことにコンプレックスを持っていて、だからこそ自分に特別な力がある(かもしれな...
読後、優しい気持ちになれる少し不思議な能力があるかもしれない主人公と、その周りの人たちのお話でした。 主人公は、オムライス屋でアルバイトをする大学生。本人はとある事情から『平凡』で『特別になれない』ことにコンプレックスを持っていて、だからこそ自分に特別な力がある(かもしれない)ことに固執している。その特別な力というのは『人の気持ちを読み取る能力』で、目の前にいる相手が今どんなことを考えているのかがなんとなく伝わってくるのだという。彼はその能力を使って色々な人の手助けをしてきたのだけれど、ある時新しく入ってきたアルバイトの女性はまったく何を考えているのか読めない人で、気になって仕方がなくなってくる。彼女になんとか近づこうと一生懸命になるうちに、段々と自分とも向き合うようになって、ついに彼女の核心に触れることに。 この話を読んでいて、早い段階から「なんだか危うい主人公だなあ」と感じていました。他人のために一生懸命になれる。誰かの気持ちを汲み取ろうと目を凝らして、こうしてあげたらいいかなと思ったことを行動に移せる。それ自体はすごいことだし、素晴らしいことでもあると思うのだけれど、なかなか主人公本人がどういう人なのかが見えてこない。主人公目線で進む物語で自分のことがなかなか表に出てこないということは、主人公自身が他人のために動きすぎて、自分のことを勘定にいれない性質を持っているように感じられたのです。 話が進んでいくにつれて、主人公のその性質は強くなってきたようにも思いましたが、それと同時に周りの人との関係が変化していくのもじわじわと感じることができました。他人には踏み込めるのに、自分の中に踏み込ませない。誰かから踏み込んできてもらうまで、そういう自分の性質に気付いていなかった主人公が、やっと自覚をして自分の心を開示するようになったことで、ようやく安心して読むことができるようになった気がします。 優しいことは、とても良いことで。 誰かに心を配ることができることは、とても素敵なことで。 でもそれと同じくらい、自分を大事にしてほしい。周りの人がそう願っていることに気付いてほしい。 そんなことを思いながら、自分の考えていることや思っていることを自分から誰かに話すことの難しさと大切さを感じました。私も、誰かと本当に心を通わせたいのなら、自分から胸の中を開いて見せることも必要なのかもしれない、と改めて思います。 物語の終着点が、これから先の希望の方を向いていて、最後までほっこりとさせてもらいました。 優しい気持ちになれる一冊です。
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家族は一芸に秀で、自分にも期待されているのに 何もかもが平凡でそれが悩みの男の子 たとえ何か特別なことができなくても その人じゃなければできないことがあるし、 それって素晴らしいことだよと背中を押してもらえるような物語 ほっこり心温まる 初版限定のその後ストーリーも良かったな
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「誰もが涙せずにいられない」とあらすじにありましたが、「ほんのり心が温まる物語」というささやかなフレーズの方が合いそう。 勝手に壮絶なものを想像していたので、常盤さんの辛い過去がさほど珍しくはなく、拍子抜けしてしまいました。 逆に、それぞれが前を向いて進んでいける温かい話としてリ...
「誰もが涙せずにいられない」とあらすじにありましたが、「ほんのり心が温まる物語」というささやかなフレーズの方が合いそう。 勝手に壮絶なものを想像していたので、常盤さんの辛い過去がさほど珍しくはなく、拍子抜けしてしまいました。 逆に、それぞれが前を向いて進んでいける温かい話としてリアリティがあり、勇気がもらえるかもしれません。 それだけに秋音の声が聞こえる超常現象は惜しく思いました。 文章がとても読みやすくて心地よいので、あっという間に読めました。
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