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いずれすべては海の中に 竹書房文庫
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いずれすべては海の中に 竹書房文庫

サラ・ピンスカー(著者), 市田泉(訳者)

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いずれすべては海の中に 竹書房文庫

1,760

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 竹書房
発売年月日 2022/05/31
JAN 9784801931176

いずれすべては海の中に

¥1,760

商品レビュー

4

29件のお客様レビュー

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2024/11/30

綺麗な装丁に惹かれて購入。 ひとつひとつのお話が短編とは思えないほど濃く、深く入り込んでしまうがゆえに読み終わったときには海面から顔を出すように「ぷはっ」と息継ぎが必要だった。読後感は、その広大な海の冒険から帰還したような気分で清々しくもちょっと寂しくなるくらいどの作品も印象深い...

綺麗な装丁に惹かれて購入。 ひとつひとつのお話が短編とは思えないほど濃く、深く入り込んでしまうがゆえに読み終わったときには海面から顔を出すように「ぷはっ」と息継ぎが必要だった。読後感は、その広大な海の冒険から帰還したような気分で清々しくもちょっと寂しくなるくらいどの作品も印象深い。 個人的に好きなのは 「死者との対話」 「そして(n-1)人しかいなくなった」 作者がミュージシャンでもあるから音楽に関わる話が多かった。 難解なものもあり、ちょこちょこ別日に分けて読むと全く着いていけなくて最初から読み直すこともしばしば。これは一気読みしたほうがよいと思った。ただ作者の豊かな想像力を味わえて楽しかった。

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2024/11/10

美しい表紙に惹かれた。 すでに読まれた方々の感想を覗き見ると、これは自分好みの本である気がする。 早速、図書館で予約。本書の到着を待つ間、同じ著者の「新しい時代への歌」を借りることができたので、そちらから読むことにする。結果、それがとても良かった。 本書は短編集だ。 タイトルを...

美しい表紙に惹かれた。 すでに読まれた方々の感想を覗き見ると、これは自分好みの本である気がする。 早速、図書館で予約。本書の到着を待つ間、同じ著者の「新しい時代への歌」を借りることができたので、そちらから読むことにする。結果、それがとても良かった。 本書は短編集だ。 タイトルを読む。まっさらな紙の上に、一筆一筆、鮮やかな色が載せられていき、物語の世界が少しずつ見えてくる。情景描写は多くないのに、気付けば確固たる映像が浮かんでいて、まるで映画を観ているようだ。次へ次へと夢中で読み進めているうちに、最終ページがやってくる。その繰り返し。 最後に本を閉じた時、良質で毛色の異なる短編映画を観た心地がした。すごい満足感。 読後感は各話で違うが、どれも心に残り、わたしはとても好きだった。 「新しい時代への歌」も含め、サラ・ピンスカー氏の描く世界と離れがたく、結局本屋で購入することにした。

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2024/10/24

なんて言うか、もう、10冊分くらい読んだようなエネルギーを使いましたし、そのくらいの満足感に満ち満ちた読書でありました。 13篇収録。 話それぞれにみんな違ってみんな良い、想像力をフル稼働させないとあっという間に置いてけぼりにされそうな、とにかくひとつひとつの話にギュムッと想...

なんて言うか、もう、10冊分くらい読んだようなエネルギーを使いましたし、そのくらいの満足感に満ち満ちた読書でありました。 13篇収録。 話それぞれにみんな違ってみんな良い、想像力をフル稼働させないとあっという間に置いてけぼりにされそうな、とにかくひとつひとつの話にギュムッと想像の海が押し固められていて、その寒天状の海を分け入って分け入って、どうにかようやく理解が追いついた時にパァッと視界が開けるような、繰り返してばっかりですが、とにかく密度が高い一冊でありました。 以下、13篇全部の感想を書きたいのですが私の不徳の致すところ、ピックアップして記載致します。 《一筋に伸びる二車線のハイウェイ》…農場で働く21歳の〈アンディ〉は不慮の事故で右腕を喪ってしまう。目が覚めたときには、彼の腕は「ロボットアームで、頭にはインプラントが埋め込まれていた。」(p8)。痛みと発熱に耐えた後に彼が視たのは「自分の腕がハイウェイだという夢」(p13)だった。「アンディは道路になりたがっていた、というか、彼の右腕がなりたがっていた。」(同)のだ。どうです、訳わからんでしょう。そんな「道の手」(p16)と同居することになったアンディが過ごした青春のひととき。 これが出会い頭の一篇目ですよ。 《そしてわれらは暗闇の中》…捉えどころが少ない話。「夢のベビー」(p28ほか)、ひいては「わたしたちのベビー」(p36)を追い求めて海岸へ集まって来て「岩の上の子供たち」(p33)を見つめる人々。マスコミなどの好奇の目に晒されても飢えても屈せず、ただただ海の向こうに目をやる人々。〈わたし〉を含めたこれらの人々は、おそらく同性愛者のカップルであったり不妊に悩む夫婦であったり、何らかの事情で子宝と縁が結べないでいる人達であろうと推察できる。子どもを持ちたくても叶わない、そんな遣り場のない懊悩はまさしく闇の向こうを睨むかのよう。他者からすれば「集団幻覚」(p36)と映るかもしれないが、当事者からすればとにかく必死で懸命で、雑音に耳を傾けているゆとりなどない。 《深淵をあとに歓喜して》…老夫婦のあゆみと、増築だらけのツリーハウスが垣間見せる家族の断景。建築家として大成する事を志した夫が若かりし頃に子ども達の為にこさえた「蛍のようにちらちらと光る」(p148)ツリーハウスはまさに老いと共に薄れゆく記憶の象徴、そして諦めざるを得なかった夢を標する灯台のよう。夫が軍に属していた頃に設計した建物は人々が生き生きと暮らす街並みではなく、人を押し込めて望みを奪い去る「刑務所みたいなもの」(p145)だった。以来、固まってしまった夫の心をほぐしたのは妻が重ねた手だった。 《イッカク》…個人的に一番好きな話。疾走感と不思議。「クジラのシルバーブルーのボディはファイバーグラスのようだった。ステーションワゴンのシャーシに載っているらしく、幅広な後部から尾が弧を描いてはね上がっている。」(p331)とある通り、例えとかでなく本当にクジラの見た目の車に乗った、ヨガインストラクター風の女〈ダリア〉に助手として雇われたわたし〈リネット〉。女ふたりの奇妙な旅は目的もよくわからないまま、寂れた小さな町へ辿り着く。その町の博物館に展示されているジオラマにはなんとあのクジラの車が…!全体的に気怠い感じが漂いつつもどこかコミカルな一篇。ボタンを押したら車からツノが生えてきてイッカクになるシーンは笑っちゃった。読み返せどよくわからん、妙ちきりんな話。「事件」とはなんなのか。 拡がるイマジネーションの中へ。 これ以上難解だといよいよもって疲労と不完全燃焼感しか残らない気がするので、心地よい塩梅の作品集でしたね。 3刷 2024.10.24

Posted by ブクログ

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