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翻訳のスキャンダル 差異の倫理にむけて
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翻訳のスキャンダル 差異の倫理にむけて

ローレンス・ヴェヌティ(著者), 秋草俊一郎(訳者), 柳田麻里(訳者)

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翻訳のスキャンダル 差異の倫理にむけて

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 フィルムアート社
発売年月日 2022/05/26
JAN 9784845921065

翻訳のスキャンダル

¥2,860

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2024/01/02

「スキャンダル」とは本書では不適切さ、問題、恥ずべきこと、の意。内容的に当然に”読みやすさ”は劣後であるからきちんと熟読できたとは正直言い難いが、社会でそれほど重視されていない翻訳というものに正面きって向き合っている。マイナー言語の日本にとって翻訳は本来国家戦略にも匹敵するのでは...

「スキャンダル」とは本書では不適切さ、問題、恥ずべきこと、の意。内容的に当然に”読みやすさ”は劣後であるからきちんと熟読できたとは正直言い難いが、社会でそれほど重視されていない翻訳というものに正面きって向き合っている。マイナー言語の日本にとって翻訳は本来国家戦略にも匹敵するのではないかとすら思う。日本語しか読まない自分が知らず知らずのうちに受けている影響についてしばし考える。 P14 ユネスコのような、翻訳や通訳に完全に依存している組織の翻訳に対する考え方は、その理念と目的を危うくするような訳文を振るい落とすほど犀利なものではないようだ。 P18 同化翻訳は外国の文学テキストを、翻訳する側の価値観に無理やりに合わせてしまうし、そもそも翻訳を必要としたであろう異質さ(フォーリンネス)の感覚を消し去ってしまうのだ。だが、別の言語を経ることなしに―すなわち別の時代や国の感覚を経ることなしに―異質さを翻訳に刻み込む術などあるのだろうか? P169 (吉本ばなな「キッチン」の)バックスの英訳はかなり読みやすいが、翻訳ストラテジーは異化的である。テキストにアメリカ手の価値観をそれとなく刷り込む、淀みなく流暢な訳文を紡いでいくという手法をバックスは採らない。代わりにバックスは極めて異質な言語を用いてアメリカナイズされた日本とコミュニケーションしている。 P260 あたかも翻訳文ではないような、翻訳が透明であるかのような幻影を見せるために、流暢な訳文を強要する。流暢な文体にするには、単純な構文、一義的な単語、時代に合った言葉遣い、単語の統一性を追求する必要がある。【中略】その結果、外国テキストは考えうる限り最大数の読者に届くものの、テキストはかなりの同化を経ることになる。 P302 (大衆作家)グァレスキ作品の翻訳は、出版社が入カルチャーを優先さえるのと同時に経営で利益を上げるのは不可能だと示しただけではない。作家がノーベル賞で文受賞しない限り一般読者をエリートの考える文学の概念に引き付けることは不可能だと示した。しかし、よりスキャンダラスなのは、利益から翻訳者がはじかれたことだ。 P309 エーコ作品の翻訳は文化的構成員によって異なる意味を持った。文化・政治的立場が異なる、エリートと大衆で違った読み方をされた。 P325 まとまったデータがあるように見える最後の年が1987年だが、世界の翻訳の総数は6万5千点であり、うち3万2千点が英語からの翻訳だった。英語からの翻訳の数は、ヨーロッパ言語からの翻訳の数を圧倒している。発展途上国の言語の地位は極めて低い。【中略】全く対照的に、英米の出版社は翻訳をほとんどしない。このような顕著な翻訳の不均衡は、英米出版産業と海外のそれとの間の貿易収支に極度の偏りがあることを示している。ごくシンプルに言えば、英語からの翻訳で大儲けしているのに、英語への翻訳にはほとんど投資しないのだ。 P330 多国籍出版社がもともとは英米の読者向けだった翻訳を輸出することで、現地の英語話者のマイノリティを新植民地的に支配し続けている。こうした出版社はマイノリティであるエリート層だけでなく、より大衆的な読者にも影響力を持っている。なぜなら多国籍出版社は英語からの重訳で搾取しているからだ。外国語テキストの英訳を現地語訳して出版するとなると、英語の価値観が外国文化の受容を仲介してしまうことになる。

Posted by ブクログ