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人種主義の歴史 岩波新書1930
1,034円
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2022/05/20 |
JAN | 9784004319306 |
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人種主義の歴史
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人種主義の歴史
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商品レビュー
4
7件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
筆者は、本書が唯一のあるべき人種主義の歴史ではないと述べていて、やはりどの国の視点からどのような解釈をするかによって歴史や差別というものの捉えられ方は変わるのだなと思った。私自身まさか奴隷制度の被害者側である国の中にも奴隷制度があるなんて思いもしなかったし、中学生の歴史の授業では簡単に学んでいたものがとても複雑なものなのだと理解できた。
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マイノリティや歴史的背景を鑑みて適用されるアファーマティブ・アクションなどの制度に対して、逆差別だという主張がなされることや、被支配者側でありながら、支配者や宗主国側の思想や論理を内面化してしまう者がいるということがこの問題の複雑さを明示しているように思った。 近代社会がまだまだ...
マイノリティや歴史的背景を鑑みて適用されるアファーマティブ・アクションなどの制度に対して、逆差別だという主張がなされることや、被支配者側でありながら、支配者や宗主国側の思想や論理を内面化してしまう者がいるということがこの問題の複雑さを明示しているように思った。 近代社会がまだまだ歴史の浅いことにも気付かされる。今では考えられない思想だとしても、それはほんの2、3世紀前なのだ。私たちが今、正しいと考えていることもほんの少し先の時代では全く正しくないとされていることだって不思議ではない。 いろんな国でポピュリズムが台頭していることも、この問題とは切り離して考えられないのではないだろうか。 常に物事を批判的に見つめ、さまざまなな問題が絡み合う人種という概念がこの先どのような解釈や理解をされていくのか、自らも願うのみではなく行動しながら、注意深く観察していきたい。
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「人種」は生物学的には存在しないが、人類学的には存在するらしい。つまり、社会的・政治的なものであり、「人種」に差別感情が加わると「人種主義」になるとのこと。日本では「人種差別」の方がよく使われるように思えるが、主に肌の色の違いを指す印象が強いため、それ以外の差別も含むという点で「...
「人種」は生物学的には存在しないが、人類学的には存在するらしい。つまり、社会的・政治的なものであり、「人種」に差別感情が加わると「人種主義」になるとのこと。日本では「人種差別」の方がよく使われるように思えるが、主に肌の色の違いを指す印象が強いため、それ以外の差別も含むという点で「人種主義」を使う方が適当なようである。 「人種主義」という言葉が誕生したのは19世紀末のフランスのようであるが(ちなみに日本に登場するのは20世紀末)、本書は15世紀末の大航海時代に遡ってその歴史を叙述する。現代的価値観から過去を裁くのは簡単ではあるが、その辺に関しては抑制的であり、全体を通して「人種主義」的な思想が生まれた時代を問うという姿勢が感じられる(尚、「進化論」に関してはダーウィンよりもスペンサーの方が先だったというのは知らなかったので、この辺は詳しく調べてみたい)。 啓蒙の時代を経て、19世紀になると「人種主義」的思想を裏付けようとする科学の役割が大きくなるが、それを求めた大衆も登場する。そして、国民国家の形成と共にナショナリズムが台頭してくるわけだが、当然のことながらナチスが取り上げられる。ただし、ナチの思想には先立つものがあり、独自のものはなく、ナチを特別視する呪縛から解き放たれる必要があるという著者の主張は傾聴に値する。また本来差別を脱却するはずの文化相対主義が、時代の変化に伴って逆利用されるという指摘も興味深い。 本書の難点としては所謂「女性差別」の視点が入り込み、インターセクショナリティに足を突っ込んでしまったため、結果として「人種」からやや話が広がってしまい、焦点が少々ボケてしまった点にあると言えるかもしれない。また、著者の専門の影響により日本に関する記述が殆どないのも物足りなさを感じる。とはいえ、歴史を語るひとつの切り口として、とてもよく整理されてまとまっているので、大変読み応えのある一冊ではある。
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