商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2022/05/10 |
JAN | 9784000237451 |
- 書籍
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それで君の声はどこにあるんだ?
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それで君の声はどこにあるんだ?
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2015年、ニューヨーク。ジェイムズ・H・コーンの著作を通して黒人神学から強烈な影響を受けた著者は、コーンが所属するユニオン神学校の門を叩く。トランプの大統領就任やブラック・ライヴス・マター運動でアメリカ社会が激動に揺れるなか、黒人差別とキリスト教の歴史を学び、神学の意義を問うた...
2015年、ニューヨーク。ジェイムズ・H・コーンの著作を通して黒人神学から強烈な影響を受けた著者は、コーンが所属するユニオン神学校の門を叩く。トランプの大統領就任やブラック・ライヴス・マター運動でアメリカ社会が激動に揺れるなか、黒人差別とキリスト教の歴史を学び、神学の意義を問うた日々を綴ったエッセイ。 コーンの問いかけはキング牧師とマルコムXの対比から始まり、マルコムを理解しなければキングをも捉え損ねるとゼミ生たちに忠告する。本書はキングかマルコムかと言えば完全にキング的方法論で書かれている。どこまでも己の学びと反省に話が収斂していって、読者には居心地の悪い思いをさせない文章だ。 だがそれでいいんだろうか。私は黒人差別に関する本を読むたびに、藤本和子の『塩を食う女たち』でトニ・ケイド・バンバーラから、アジアン・コミュニティはブラックカルチャーから言葉を借用して済ませてしまっている、と指摘されていたことが頭をもたげるのだ。他のアジアの国のことはわからないが、日本においては様々なマイノリティの問題について自分たちで言葉を創りだすことができていない現状がある。著者は勿論そういう問題意識を持っているからこそ、コーンの言葉から「それで君の声はどこにあるんだ?」をタイトルに選び、自分自身に問いかけ続けているのだろうけれど。 本書に登場するもう一人の教授コーネル・ウェストは、私にはコーン以上に鮮烈だった。黒人霊歌の「グローリー、ハレルヤ!」をめぐる問い、アメリカにおける黒人の歴史を表す「土曜日の霊性」という概念、十字架にかけられたキリストと木に吊るされた黒人奴隷の共通性。ヤロスロフ・ペリカンの『イエスの二千年』では南北戦争、インド独立、公民権運動では「解放者としてのイエス」が掲げられたとしていたが、つまりはイエス自身が虐げられ苦しめられる弱者だったからこそ、同じ苦しみのなかにあるコミュニティの解放のシンボルにもなれるという逆説がここにはある。 極限状況で神学に何の意味があるのか。教会に通っていた子ども時代から不思議に思っていた問いではある。けれどコロナ禍を経て、私自身は宗教を持つ共同体と持たない共同体の差を歴然と感じた。神とは内なる他者だ。人間がいつも神の声を正しく聞き取れるわけではないが、その努力によって目の前の人に手を差し伸べられるようになることもある。他者の声に耳を澄ますことと自分の声を見つけだすこと。二つを高い次元で両立させるには宗教が必要なのだと思う。
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文章の熱にアジテートされる。だが作者が知的に誠実なため、ナルシスティックな左翼本、ポリコレ本にはならない。マイノリティに憑依してルサンチマンに溺れたいのに溺れることができない葛藤として読んだ。いま研究しているという沖縄についても結局は同じ越えられない矛盾にぶつかるのではないかと懸...
文章の熱にアジテートされる。だが作者が知的に誠実なため、ナルシスティックな左翼本、ポリコレ本にはならない。マイノリティに憑依してルサンチマンに溺れたいのに溺れることができない葛藤として読んだ。いま研究しているという沖縄についても結局は同じ越えられない矛盾にぶつかるのではないかと懸念するが、その矛盾に苦しむこと自体が彼の生きる目的なのかもしれないとも思う。
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自分のルーツを知り、それが歴史的になにをして、なにをされたのか、一度立ち止まり考えて、自分が今どこに立っているのかを認識しないといけないと思った。 第5章の「アリマタヤのヨセフ」で著者からヒントをいただいたような気がする。
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