カール・シュミット入門 思想・状況・人物像

ラインハルト・メーリング(著者), 藤崎剛人(訳者)

• 販売会社／発売会社: 書肆心水/JRC
• 発売年月日: 2022/02/28
• JAN: 9784910213248

商品レビュー

2022/07/12

カール・シュミットを法学者としての評価をしている。カール・シュミットは様々な評価があるが、決して無視はできない存在だといえる。本書の指摘にもあるように、彼は自由主義と民主主義の峻別を主張したが、その際に、著者は自由主義（と個人主義）を民主主義に優先させるとしている。だが、本来的には自由主義と民主主義とは両立させるものではないのかと思う。

2022/04/10

現在でもなお毀誉褒貶の激しい、カール・シュミットの思想と生涯をたどる研究。著者メーリングのシュミット解釈の要点は、彼の仕事を法学者の仕事として理解すること、より具体的に言えば、『政治的なものの概念』と『憲法論』とが体系的に連関しているという視座のもとで彼の仕事を評価するべきだ、というものである。もっとも著者は、「強い」国家、権威主義的な国家を一貫して志向したシュミットが、ナチスを支持することは自然な流れであると考え、こうしたシュミットの姿勢から出てくる諸概念を評価するに際しては、個人主義的・自由主義的な立場を堅持することが重要だと考えており、個々の論点においてシュミットに対して極めて批判的である。それはさておき、邦訳は術語の翻訳や表記の統一の点でいささか許容し難い部分が多く、初学者にこの邦訳を推薦することは極めて難しいクオリティとなっている。何らかの改善がなされることを望む。