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タラント
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タラント

角田光代(著者)

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タラント

1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2022/02/21
JAN 9784120055010

タラント

¥1,980

商品レビュー

3.9

156件のお客様レビュー

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2024/09/12

角田光代のタラントを読みました。 タラントの意味はタレントの語源でもあり、才能や賜物という意味です。 主人公のみのりは学生の時から仲間とボランティア活動で海外に行っていました。東京で暮らすみのりのところに、祖父の清美が東京に用事があると泊まって行きます。 戦争で夢を終えなかった、...

角田光代のタラントを読みました。 タラントの意味はタレントの語源でもあり、才能や賜物という意味です。 主人公のみのりは学生の時から仲間とボランティア活動で海外に行っていました。東京で暮らすみのりのところに、祖父の清美が東京に用事があると泊まって行きます。 戦争で夢を終えなかった、祖父の清美と夢を追い挫折して、また夢を追う孫のみのり。 自分の才能に夢を持って生きていけるのは20代前半までという感じはしますね。 その後夢に向かって進んで行けるのは、その夢を信じてまっすぐ進んでいく強い信念と才能だと思います。 私も、20代の頃は1度はヨーロッパの自転車のロードレースで走ってみたいと思ったり、有名な建築家になりたいと思ったりしました。 今の歳になって思うのは、毎日が充実している事は幸せだと思えることですね。 それにしても、この本は長かったです。 450ページ位ありましたが、半分でよかったです。笑

Posted by ブクログ

2024/08/31

「比べたらだめだ。つらさの大小を、苦しみの大小を、失ったものの大小を比べた途端に、私たちは想像を放棄する。そして断絶してしまう。」(p.350) 2020-21年の読売新聞朝刊連載。あらゆる「タラント」が輝くこの五輪シーズンに読めてよかった。幸福も不幸も、選ばれた人のみに降り注...

「比べたらだめだ。つらさの大小を、苦しみの大小を、失ったものの大小を比べた途端に、私たちは想像を放棄する。そして断絶してしまう。」(p.350) 2020-21年の読売新聞朝刊連載。あらゆる「タラント」が輝くこの五輪シーズンに読めてよかった。幸福も不幸も、選ばれた人のみに降り注ぐのではなくて、この世に生を受けた誰しもが、なんらかの痛みを、喜びを背負う。それはなんにも、比べるものじゃない。 「知りたい」と願う、「知ること」の残酷さに直面する、自分を守るために「知らない」ふりをする、でもそれは結局できないこと。 だってきれいなだけじゃない世界も、きたない世界も、全部一つなのだ。「感情と感覚」を切り離すモノローグから始まって、でも誰より彼が、大きな感情の渦の中にいた。 彼が、もう一度感情を揺らす機会(それって一番、生きてるってことだと思う)を奪ったコロナ禍が憎くて、その中でできることをと、「跳んで」見せた若い輝きがあまりに眩しくてぼろぼろ泣いた。 戦争も地震も疫病も、自分の力ではどうしようもない、でも、生きているわたしたちにはできる何かがある。 主人公の大学の先輩の市子や後輩のムーミン、甥っ子の陸、夫の寿士といった脇を固める“良識派”の造形がいい。市子さんのいう、「来世で幸せになりたいからいいことをするのと、いい気分になりたいからいいことをするのはあまり違わない」(要約)といった言説は慈善活動につきまとう「偽善」の呪いから多少は解放してくれる気がする。 いいことをするのではない。いやな気持ちになりたくないだけ。誰かを幸せにしたいのではない。自分が不幸になりたくないだけ。 それで自分も他人も傷つかずに生きていけるなら、「偽善」もなにも悪いことじゃない。 「立っていられなくなるくらいの恐怖につかまりそうになったら、そこから逃げていい。きれいなものだけ見たかったら、きれいな世界にだけ目を向けていればいい。それがきれいごとでもまやかしでも、とりあえずはそれでいい。だいじょうぶだと思えるまで、そうしていればいい。」 陸が課題図書を託されたように、いろいろな人の夏に、一石を投じ、支えとなる考えや言葉をもたらしてくれる著書であると思う。 本には、力がある。 そう思わせてくれる、改めて信じさせてくれる一冊。

Posted by ブクログ

2024/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

義足アスリートの物語と思って読み始めたが、作中のキーマンとなる高跳び選手は第五章に入るまで登場してこない。「タラント」というタイトルは、神から与えられた天賦の才能、というより、なにを使命として生きるか、をテーマとしているのだと思う。 ボランティアに関わる主人公みのりと友人たちの、使命感や葛藤や後悔には共感できる部分が多かった。 物語はみのりの学生時代〜、祖父の清美の戦争体験、そして現在、という3つのパートが交錯し、不登校になってしまった甥の陸も絡んで、それぞれの人生に行き詰まった閉塞感がモヤモヤと長く続くため前半はなかなかページが進まない。 が、祖父の過去やパラ選手との交流が次第に明らかになっていき、最後の第八章で一気に感情を爆発させるところが素晴らしかった。ここまで読んできてよかった(涙)。 寡黙で滅多に感情を表さなかった祖父の、その沈黙は絶望だったのだとみのりは気づく。走ること、跳ぶことが好きで、そのタラントを持って生まれたはずの清美は、よく分からない戦争という暴力によって無理矢理戦わされ、いのちを使わされた。片足とともに自分が何を失ったのかすら分からず、何を返せと叫べばいいのかも分からない。その抑えた怒りと抗議の声は、今もなお世界の紛争地で戦わされる子供兵や、爆撃で足を失った少年の姿と重なって、どうしようもない悲しみが胸に溢れた。 ラスト数ページは、陸がのちに書いた清美の物語なのだろう。 実際には延期になってしまった2020年のパラリンピックで、「じいちゃん度の高いじいちゃん」はぶっちぎり最年長の選手として高跳び種目に出場し、空へと高く跳び上がる…、素晴らしいエンディングだった。

Posted by ブクログ

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