商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 早川書房 |
| 発売年月日 | 2021/12/25 |
| JAN | 9784152100757 |
- 書籍
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mRNAワクチンの衝撃
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mRNAワクチンの衝撃
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商品レビュー
4.3
24件のお客様レビュー
ワクチンを打ったか打たないか。いまだにその効果を信じているかいないか、という意見は分かれる。効果はあったのかもしれないが、結果的に感染の波もあり、打つ必要が無かったという判断もあるだろう。私なんかは、年齢的にも、一緒に暮らす家族構成的にも(そもそもアクティブな動きをしていないとい...
ワクチンを打ったか打たないか。いまだにその効果を信じているかいないか、という意見は分かれる。効果はあったのかもしれないが、結果的に感染の波もあり、打つ必要が無かったという判断もあるだろう。私なんかは、年齢的にも、一緒に暮らす家族構成的にも(そもそもアクティブな動きをしていないという事も含め)、効果があろうとなかろうと、何回も打つことになってその度に副反応に苦しむならば、打つ必要がないと考えていた口だ。 本書は、mRNA誕生秘話であり、開発の苦労話である。エズレム・テュレジとウール・シャヒン夫妻の科学者らの迅速な対応と決断力が、わずか11カ月で新型コロナウイルスのワクチンを開発する成功の鍵となったとされ、この夫妻の移民としての背景や、がん研究から新型コロナウイルスワクチン開発への転換が感動的に描かれる美談だ。 だが、企業は金儲けにも繋がるので開発を躍起になって競っていたのも事実だ。金を儲けて悪いとは言わないし、それがモチベーションに繋がるのは良い事なのだろう。ただ、この開発の速さは、有難い反面、不安につながった面もありそうだ。 ― ビオンテックとファイザーの最初の共同事業であるこのワクチンは、コロナウイルス対策プロジェクトにより現実世界から得られた膨大な安全性データをもとに、間もなく臨床試験に入る予定だ。幼い子どもをはじめ年間二億人以上が感染しているマラリアのワクチンについても、すでに取り組みが始まっている。これで、既存の結核対策プロジェクトやHIV対策プロジェクトに続き、「三大感染症」すべてが網羅されることになる。そのほか、数多くの感染症への対応が予定されているが、そのうちの一部は、既存のワクチンの設計図の「指名手配ポスター」を置き換えることで対抗できる。また、複数のウイルス株や疾患に対応する多価ワクチンも、理論上は可能であり、すでにビオンテックのがん治療薬に採用されている。ウールによれば、mRNAは全体的に見て、ビオンテックに「医療を民主化する機会」を与えてくれたという。きわめて珍しい疾患や治療の難しい疾患でさえ、それを根絶する薬剤を生み出せるからだ。一例を挙げれば、同社はすでに、多発性硬化症の治療薬の試験を進めている。この治療薬では、mRNAの力を利用して、免疫反応を引き起こすのではなく抑制する。多発性硬化症は、身体が誤作動を起こして健全な細胞を攻撃することにより発症するからだ。この疾患に対する同社の先進的なワクチンでは、免疫部隊に正反対の指示を与える「指名解除ポスター」を送り込む。するとそれが、免疫部隊の警戒態勢を解き、敵と味方を適切に区別するよう促すのだという。 ― 免疫系とコミュニケーションがとれるmRNAはいずれ、アレルギーから心臓病まで、あらゆる疾患への対応に利用されるようになるかもしれない(たとえば、心停止時に細胞が死ぬのを防ぐなど)。「理論的にはどんな機構であれ、そのメカニズムが十分に解明されているのであれば、それを操作することはできる」。そう言うエズレムは、将来的にはmRNAにより老化プロセスを逆転させることさえ可能だと確信している。 コロナワクチン騒動で微妙な印象がそのまま続いている気がするが(私はそうなのだが)、リテラシーを高めてmRNAを正確に理解し、実績を積み、不安なく効果を享受できる日が来れば良いと思う。
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本書『mRNAワクチンの衝撃: コロナ制圧と医療の未来』は コロナワクチンを開発した会社の1つであるドイツのビオンテックを取り上げたノンフィクションだ。 日本では同じようにmRNAを用いたワクチン開発会社であるモデルナはよく知られているが、ビオンテックについてはあまり知られていな...
本書『mRNAワクチンの衝撃: コロナ制圧と医療の未来』は コロナワクチンを開発した会社の1つであるドイツのビオンテックを取り上げたノンフィクションだ。 日本では同じようにmRNAを用いたワクチン開発会社であるモデルナはよく知られているが、ビオンテックについてはあまり知られていないかもしれない。本書にも詳しく買いてあるが、それほど規模が大きくなかったビオンテックはワクチン配布にあたってはファイザーと提携しており、日本では”ファイザー”ワクチンと呼ばれていたからだ。 生物を真面目に勉強した人をのぞいて、コロナワクチンが広く利用されるようになるまではRNAという単語を知っている人はほとんどいなかったと思う。DNAについてはエンタメや親子関係の確定に広く使われているために普通の単語になっているが、RNAはそういった広まり方をしていないからだ。 このRNAというすごく簡単にいうと、DNAの情報をコピーするために使われている(正確に言えば体内に存在するので、”使う”という表現は正しくないが・・)。 本書によればこのRNAを用いて病気治療を行おうとする考え方は長い間存在していたらしい。mRNAを用いて体内の免疫系を利用する治療方法が確立すれば、よりテーラーメイドな医療を提供することが可能となると考えられていたからだ。 一方でmRANを 利用した治療は、コロナ禍が起こるまではまだ先の話だと考えられていたと本書には書かれている。 これまでにない新しい治療方法であるために、当局の審査や認可を受けるのは簡単ではないし、創薬には莫大な費用がかかるからだ。 ビオンテックは もともとは、感染症に対するワクチンを開発するためのスタートアップではなく、このRNAを用いて がん患者への治療薬を開発することを目的に作られたスタートアップだった。 そのためビオンテックはコロナウイルスが発生した段階においては、すでに上場を果たしており、有望なスタートアップとしてみなされていたらしい。一方でmRNAを用いた新たなプラットフォームを開発するには研究開発資金が十分ではなく、何らかの方法で資金を集めることが必要だったらしい。 コロナワクチンが開発され世の中に広まっていく過程では、このmRNA と言う技術は、まるで突然天から降ってきた発明のように報道されることもあった。自分も含めてバイオ技術を積極的に追い続けていない人間にとっては、 この技術は、当然学校で習ったこともなく、初めて聞く技術だったからだ。 ところが本書を読むと、このmRNAと言う技術は長い間活用のアイデアが温められ、それほど多くはないとはいえ研究が続けられていたことがよくわかる。実用化されなかったのは、適切なタイミングがなかったということと、もっといえば予算がなかったからだ。 本書を読めばわかるとおり、何かものすごい危機やチャンスが発生したからといって、突然新しい発明やアイディアが実現すると言う事は現実世界ではありえないということなのだ。 日の目を見るずっと前からそこに情熱を傾けている人間がおり、あるいは(広い意味での)リスクにかける投資家が何度も倒れた先に、初めて社会を変えるようなイノベーションは実現するのだということを、本書は(そしてmRNAの実用化という例は)教えてくれる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
コロナもあまり騒がれなくなったので復習の一冊。 ファイザーワクチンの製造経緯を語った本書なのだけど、実はある科学者夫婦が立ち上げたビオンテック社がメインで作り上げていた…など全然知らんことだらけだった。 mRNAってのはタンパク質を作るように指示する設計図みたいなモノなんだけど、それをコロナに対応するようにする…というのが大筋の発想かな。mRNAワクチンの最大の特徴は、通常のワクチンと違って人の身体自身に抗体を作らせる点。生物学的薬剤とかに近い考えかもね。 しかしワクチン供給のタイミングが妙に早いと思っていたら、こんなスゲー背景があったとはね…。どちらかというとビジネス書としての色が強いかもしれない。
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