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黒人と白人の世界史 「人種」はいかにつくられてきたか 世界人権問題叢書
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黒人と白人の世界史 「人種」はいかにつくられてきたか 世界人権問題叢書

オレリア・ミシェル(著者), 児玉しおり(訳者), 中村隆之

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黒人と白人の世界史 「人種」はいかにつくられてきたか 世界人権問題叢書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 明石書店
発売年月日 2021/10/28
JAN 9784750352305

黒人と白人の世界史

¥2,970

商品レビュー

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2025/05/08

奴隷制の多様性と近代奴隷制の特異性: 奴隷制は歴史的に多様な形態をとってきたが、ヨーロッパ人による大西洋横断奴隷貿易は、その規模、期間、そして特に黒人(ニグロ)と奴隷労働を結びつけた点で特異である。 「人種」概念の構築: 本書は、「人種」が生物学的な根拠を持たない社会的な構築物で...

奴隷制の多様性と近代奴隷制の特異性: 奴隷制は歴史的に多様な形態をとってきたが、ヨーロッパ人による大西洋横断奴隷貿易は、その規模、期間、そして特に黒人(ニグロ)と奴隷労働を結びつけた点で特異である。 「人種」概念の構築: 本書は、「人種」が生物学的な根拠を持たない社会的な構築物であることを繰り返し強調している。特に「ニグロ」という言葉が、当初は地理的な意味でサハラ砂漠以南の人々を指していたのが、大西洋奴隷貿易の過程でアフリカ人奴隷のみを指すようになり、黒い肌の色と奴隷制が結びつけられていった過程を詳述している。 経済的動機と奴隷制/植民地主義: 大西洋横断奴隷貿易とそれに続くプランテーション経済、鉱山開発は、ヨーロッパの経済発展に不可欠な労働力確保の手段として発展した。ポルトガル、スペイン、オランダ、フランス、イギリスといった国家が、この経済システムによって莫大な利益を得ていたことが示されている。 人種主義と社会・政治: 人種概念は、支配階級が自分たちの利益を維持し、他者(特に黒人)を排斥するための道具として機能した。科学的な言説、特に19世紀後半に発展した人類学や人口統計学は、人種階層を正当化し、白人の優位性を強化するために利用された。 暴力と支配: 奴隷制と植民地主義は、身体的暴力、精神的暴力、そして構造的な暴力と切り離せない関係にある。プランテーションにおける奴隷への残虐な扱いや、植民地における強制労働が詳細に描かれている。 抵抗と逃亡: 奴隷は常に様々な形で抵抗を試みてきた。逃亡、反乱、そして日常生活における様々な抵抗が、奴隷制の不安定性を示すものとして描かれている。 最も重要なアイデアまたは事実: 「人種主義は支配を支えるものなのだ。しかし、この定義は多くの別の疑問を浮上させる。あらゆる身体的、あるいは精神的特徴の同一視を指すのだろうか。」(イントロダクション) 「『黒人』と白人の定義は、メスティーソ(混血)といった非白人や非黒人の性質を割り当てられる限り、つまり(ムラート(黒人と白人の混血)、メスティーソ(非白人とインディアンの混血)、カリントロン(黒人とインディアンの混血))といった肌の色が四つの一(オクシタニア語で『良き血』を意味する)によって社会的な階層が作られたのだ。」(イントロダクション) 「ポルトガル人がアフリカで買い、主にスペインやポルトガルの植民地化するアメリカに運び、そしてアフリカ人からアメリカに入植したヨーロッパ人が地域住民を『黒い』と表現したことだ。」(イントロダクション) 「奴隷制には非常に多様な状況が見られるので、厳密な歴史家は厳密なやり方で定義するのをためらうことが多い。」(第1章) 「支配とは異なり、あらゆる種類の嫌悪は世界のどんな地域にも、どんな時代にも、あらゆる支配や排斥のうちで、他者性(altérité)に基づいたあらゆる形態は社会に広く普及しているのである。」(イントロダクション) 「労働力と生産効率の改善のおかげで、今日のわれわれの社会関係のほとんどは解決できる(メキシコ湾流に相当する)にとって、この時点で全てが可能になった。」(第3章) 「大西洋経済の発展が第一幕に突入するのである。」(第3章) 「アメリカにおけるプランテーションの拡大は、それまでには支配も管理もされていなかった土地に、強制移民によって迅速に人を住まわせることを可能にする植民地政策と生産制度とから成り立っていた。」(第5章) 「この脱人格化は、『快行為の文化』あるいはあらゆる社会において奴隷を特徴づける、暴力的なものや自然なものとは何ら関係がないが、社会に広く普及し、無視されることだ。」(第1章) 「奴隷制と奴隷貿易の制度が消滅したにもかかわらず、労働者を移動させ、労働を強制するためにこれまで以上に暴力を行使しなければならなくなった。」(第10章) 「ベルリン会議とともに、アフリカだけでなく、アジアやアメリカでも、プランテーションと鉱山開発の大きなうねりは、暴力の再燃を伴った。」(第11章) 「そして、『人種の科学』が統治の両側面となり、プロレタリアートと半奴隷の間の細かい差異を採用する植民地政策を発展させることができるようになったのだ。」(第10章) 「植民地における人種による支配は、奴隷制廃止後に現れたヨーロッパ系植民地支配の基本的な原則を提供しなければならない。」(第11章) 「白人の虚構は、そのメカニズムを正確に再現する必要がある。」(結論) 「植民地とは、移住者の労働力と自然なものの収奪である。」(結論)

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2022/11/12

“Black Lives Matter”がメディアを賑わした際、「まだそんなこと言ってんの⁉︎」と思わず口をついて出てしまった。当たり前のように人種差別の愚かさを学校で習い、「人類みな兄弟」の風潮にどっぷり浸かってきたもんだから、不思議で仕方なかったのだ。 本書を知った時その出来...

“Black Lives Matter”がメディアを賑わした際、「まだそんなこと言ってんの⁉︎」と思わず口をついて出てしまった。当たり前のように人種差別の愚かさを学校で習い、「人類みな兄弟」の風潮にどっぷり浸かってきたもんだから、不思議で仕方なかったのだ。 本書を知った時その出来事がフラッシュバックし、気づけば当時感じたモヤモヤもだいぶ大きくなっていた。 著者はブラック・アメリカを専門とするフランス人歴史家。フランスは移民大国で、著者の講義にもかつて領土だったアフリカやカリブ海出身の学生が目立つという。 「生物学的に人種は存在しない。しかし政治的、社会的現実として人種は存在する」 後者の忌まわしき概念が、ヨーロッパ人によってどのように形成・正当化されていったのかを本書は追う。 手間はかかったが、序文→(巻末にある)解説→本編 →再び解説の順で読むと、より理解が深まった。(プラス、各部の最後には結論がまとめられており、長い旅路を乗り切る良いアシストになる) 「こうして、ヨーロッパ全体が目をつむって悪夢のなかに飛び込んでいった」 第Ⅰ部 奴隷制と帝国 黒人の歴史を考える時にまず「奴隷制」を連想しがちだが、そもそも奴隷だったのは黒人だけではない!というところから第Ⅰ部は始まる。奴隷制は結婚と同じくらい古い制度で、起源はB.C.3000年のメソポタミアにまで遡る。奴隷に転ずるのは戦争捕虜だった。 アメリカ大陸の発見以降は先住民が、次第に黒人がターゲットに選ばれるようになる。この経緯まではあっという間だった…。 第Ⅱ部 ニグロの時代 「ヨーロッパ人はアフリカ人を奴隷にしたために人種主義者になった」 16世紀末-18世紀末。 18世紀の大西洋貿易を機に、「白人」「黒人」→「人種」の概念が誕生したようだ。 奴隷貿易はポルトガル商人の独断場と化し、アフリカ交易網の拡大にまで及んだ。1787年に出版された、元奴隷による自伝(!)の一部抜粋は本書で一番生々しい証言だった。 労働の強制及び反逆心を抑制するためにふるわれた暴力も、この頃は「善のための悪だ」と正当化されている… 第Ⅲ部 白人の支配 19世紀-20世紀中盤。 奴隷貿易と奴隷制が(公式に)廃止されるのに反比例して、植民地支配が活発に。「白人優位の物語」は加速し、人種の概念はいよいよ定着し始める。 ちなみに1899年の日英通商航海条約時、日本人は「文明化された国に属する国民」=「白人」として認定されていたらしい。さすがにこれは2-3度読みした。 白人とは、肌が白い人ではなく自分たちの支配的地位の自然さに同意するに至った人達のことだと著者は語る。そう考えると、上記日本人の白人認定も納得がいく。 同時に本書では、社会全体で共生していく関係を「親族性」と呼んでいる。しかし、それを許されない人達は確かにいたし、残念ながら今もいる模様。 「親族性」が人種概念根絶への鍵であるならば、「人類みな兄弟」は決して甘っちょろい考えではない。というか、甘っちょろくなくて良かった。

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2022/04/27

まだ途中、奴隷制は古代から世界中で行われてきた。何もヨーロッパが考えたことでない。15世紀以後のヨーロッパ発展の中で、アメリカを発見し、そこで大々的に行われた。その時でも、東アフリカから中東に向けた奴隷の方が人数が多いという。その辺もうちょい詳しく。なぜ北米ばかり、人種差別が大き...

まだ途中、奴隷制は古代から世界中で行われてきた。何もヨーロッパが考えたことでない。15世紀以後のヨーロッパ発展の中で、アメリカを発見し、そこで大々的に行われた。その時でも、東アフリカから中東に向けた奴隷の方が人数が多いという。その辺もうちょい詳しく。なぜ北米ばかり、人種差別が大きいのか知りたい。アラブ人が行っていたアフリカ人奴隷の扱いはヨーロッパのそれと比較してどうだったのか。 104ページアンティル諸島からインディアン消滅とあるけど、その辺詳細欲しい。人種の話なんだから。 フランス革命に触発されて、アンティルで奴隷の反乱。ナポレオン法典にも人種差別が規定とか。教科書で教えてほしかった。自由平等博愛と謳うけど、実はそうでもないというのが有れば歴史の授業ももっと面白かったのにね。

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