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噛みあわない会話と、ある過去について 講談社文庫
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噛みあわない会話と、ある過去について 講談社文庫

辻村深月(著者)

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噛みあわない会話と、ある過去について 講談社文庫

704

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2021/10/15
JAN 9784065258910

噛みあわない会話と、ある過去について

¥704

商品レビュー

3.9

703件のお客様レビュー

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2025/03/23

本書は、悪気のない無意識の言動に対し、その受け手が巧妙に反撃をし、読者に爽快感を与える短編集です。復讐とかそういう大げさな感じではないので基本的には水戸黄門みたいな感じで楽しく読めるはずですが、何かしら身に覚えがある人は逆に不快に感じる方もいるかもしれません。ただ、むしろ不快に感...

本書は、悪気のない無意識の言動に対し、その受け手が巧妙に反撃をし、読者に爽快感を与える短編集です。復讐とかそういう大げさな感じではないので基本的には水戸黄門みたいな感じで楽しく読めるはずですが、何かしら身に覚えがある人は逆に不快に感じる方もいるかもしれません。ただ、むしろ不快に感じる人こそ、日常の無意識を省みるきっかけとして読むべき一冊かも?? 4話とも全て秀逸でしたが、特に面白かったのは「早穂とゆかり」。かつて人気者だった早穂が、今や成功者となったゆかりとの再会で驕りを反省させられる物語で、辻村深月さんのワードセンスが光る一作です。残り3話も負けず劣らず秀逸ですし、文字数的にもかなりサクッと読めるので、是非とも一度、目を通してほしい一冊だと思いました。

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2025/03/22

ページを捲る手が止まらず。 短編で読みやすいからではなく、むしろ読みにくいのに読むのが止まらない。 題名の如く、噛み合わない会話と過去の認識の違いで起こる人間模様。 主観はどの短編も『主人公(加害者)』なので、こんなにひどいことしなくても…。と思いますが、 『相手(被害者)』か...

ページを捲る手が止まらず。 短編で読みやすいからではなく、むしろ読みにくいのに読むのが止まらない。 題名の如く、噛み合わない会話と過去の認識の違いで起こる人間模様。 主観はどの短編も『主人公(加害者)』なので、こんなにひどいことしなくても…。と思いますが、 『相手(被害者)』からすると至極当然の態度なのかもしれません。 自分が責められているようなドキドキ感と、もっと言ってやれー!という相反した感情。 短いのに、非常に疲弊しました…。 ホラーもミステリーも大好きですが、あまりのエグさにこれこそある意味ホラーと感じました。 やはり人間が一番怖いのかも。

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2025/03/15

この小説は、やった方は覚えていなくても、やられた方は覚えている。これを気持ちいいほどに落とし込んだ作品である。 私はどちらかというと「やられた方は覚えている」を強く感じる人種のため、自覚のない悪が追い込まれていく様に、いいぞいいぞもっとやれ!と、タチの悪い感情が溢れ出てきた。 ...

この小説は、やった方は覚えていなくても、やられた方は覚えている。これを気持ちいいほどに落とし込んだ作品である。 私はどちらかというと「やられた方は覚えている」を強く感じる人種のため、自覚のない悪が追い込まれていく様に、いいぞいいぞもっとやれ!と、タチの悪い感情が溢れ出てきた。 傷つけようと発した言葉と、悪意なく自然に溢れた言葉。どちらが受け手にとって辛さを感じるのだろう。 そんな意味で言っていない。発言した本人がいくらそう言おうとも、受け取った側が正解になってしまう矛盾。でもそれが正義で。 言葉の奥にある含みにまで感受してしまうと、逆に受け手が過敏すぎるとも揶揄される。傷ついた結果はどうあがいたって変わらないのに。 この物語において、傷つける側に立った人たちへの救いの言葉はない。何なら認めたくない、何で自分が?なんて抗ってきたりもする。 所詮そんなものなのだろう。自分を上手に可愛がられる悪ほどめんどくさいものはないのだ。 傷つけてくる人間とは、もう一切の関わりを断つのがいちばんシンプルで効率的。見返してやりたい、いつか反逆してやるんだ、その復讐心を持っている間、無自覚にずっと傷つけられている。その人のことを思い出すたびに、気持ちがすり減っていく。 ある過去を重ねて、作品の中で発散する。そんな読み方をして、ある過去を記憶から抹消していく。本の力を借りてみるのも、悪くはない。

Posted by ブクログ