商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 人文書院 |
発売年月日 | 2021/08/11 |
JAN | 9784409241370 |
- 書籍
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反日 東アジアにおける感情の政治
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反日 東アジアにおける感情の政治
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挑発的なタイトル。しかし著者の関心は狭い意味での「反日」政治というよりも、日本の脱植民地化の失敗――すなわち第2次大戦後のアメリカのヘゲモニーの下で、日本が真の意味での脱帝国化を果たさないままに戦後民主主義・平和主義・経済成長にすりかえながら「準帝国」としてアジアに復帰してきてし...
挑発的なタイトル。しかし著者の関心は狭い意味での「反日」政治というよりも、日本の脱植民地化の失敗――すなわち第2次大戦後のアメリカのヘゲモニーの下で、日本が真の意味での脱帝国化を果たさないままに戦後民主主義・平和主義・経済成長にすりかえながら「準帝国」としてアジアに復帰してきてしまったこと――が、今日の東アジアの中にどのような文化的トラウマとして現れているかという点にある。それはまた一方では、日本の中における「反米主義」の形で現れることにもなった。 このような観点から、アジア横断的に反日主義および反米主義をそれぞれ象徴するものとしてのブルース・リーとゴジラが、また中国、韓国、台湾、香港における帝国日本の記憶をめぐる文化的表象が分析されることになる。これらの章はそれぞれに未完の脱植民地主義を抱える東アジア各国をとりあげてはいるが、何よりも痛烈な批判は、中国の反日デモに直面して「なぜ彼らはわたしたちを憎むのか?」と戸惑い、香港や台湾の若者たちのデモとの間に安易に国境を超えた連帯を見出してしまう日本人の、歴史的健忘症にもとづくナイーブさに向けられている。中国脅威論が叫ばれる今だからこそ、この厳しい批判を見にしみこませる必要があろう。
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21世紀の東アジア諸地域で観察される「反日」とされる現象は、過去のそれと確かに連関しているが、質的な差異もはらんでいる。また、同じ「反日」といっても、中国・韓国・台湾でその内実は相当に異なっており、決して一括りにできるものではない。よって日本側から見たとき、「反日」(そして、そ...
21世紀の東アジア諸地域で観察される「反日」とされる現象は、過去のそれと確かに連関しているが、質的な差異もはらんでいる。また、同じ「反日」といっても、中国・韓国・台湾でその内実は相当に異なっており、決して一括りにできるものではない。よって日本側から見たとき、「反日」(そして、その裏返しとしての「親日」)を単純な民族ナショナリズムと捉えるのではなく、自らの脱帝国化に向かう批判的営為と合わせて、その具体的なありようと誠実に向き合うことから、東アジアの未来と和解に向けた対話を開始する必要がある、という内容。 副題(「東アジアにおける感情の政治」)にあるように、それぞれの章でナショナリズムと「感情」の重要性が指摘されてはいるのだが、ならばいかなる場面で、いかなる「感情」が誘発・動員され、それらの「感情」の葛藤がどんな理路において調停・調整されているかという具体的な議論が乏しいことがやや不満。また、東アジアの事情に通じていない北米の読者をも念頭に置いて書かれたためだろうが、中国・韓国の「反日」と台湾の「親日」という単純化された対比も(もちろん、その見かけの単純さに分け入って考える重要性を訴える中味ではあるけれど)気になった。「言いたいこと」は確かにわかるが、それぞれの章で紹介された事例に対する論証の粗さもいただけない。
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