商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 毎日新聞出版 |
| 発売年月日 | 2021/07/27 |
| JAN | 9784620326900 |
- 書籍
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この国のかたちを見つめ直す
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11件のお客様レビュー
全部は読んでないんですが。 加藤陽子氏は(私が言うのもなんだけど)信頼に足る著者だと思うのだけど、この本は新聞のコラムを集めたもののせいか、どうも厳密さに欠けるというか、なんか議論が雑だなあという印象が強い。 たとえば、東日本大震災についての文章をまとめた第2章の「大震災、国の記...
全部は読んでないんですが。 加藤陽子氏は(私が言うのもなんだけど)信頼に足る著者だと思うのだけど、この本は新聞のコラムを集めたもののせいか、どうも厳密さに欠けるというか、なんか議論が雑だなあという印象が強い。 たとえば、東日本大震災についての文章をまとめた第2章の「大震災、国の記録 政治家の気迫伝わるか」と題されたコラムのなかの (以下引用)まず気づいたのは、会議ごとに冒頭でなされる菅直人首相(以下、肩書はすべて当時)の発言が軽いということだ。善意と熱意に満ちてはいるが、全閣僚を率いて議論を導き、政治的決断を行う首相の役割を果たす者がほかならぬ自分だとの自覚が、その言葉からはうかがえないのだ。(引用おわり) こんな大雑把な印象だけで話をされてもなあ、という感じ。震災当時にアンチ民主党メディアがよく言ってた「リーダーたるもの、自分があっちこっち行こうとしないでデンと構えているべき」みたいなしょうもない精神論と変わんないような気がするんだけど。 そのほか、菅内閣による日本学術会議の任命拒否問題にしても(その件自体にかんしては政権の横暴だと私も思いますが)、加藤氏はそれが慣例でないという事実にのみ基づいて批判している(ように見える)のが、なんというかあんまり本質的でないなあと思う。 蒙を啓かされたのが「個人が尊重されるかどうか 国民世論のありかに信頼」という文章の次の部分。 (以下引用)夫婦別姓論者が、なぜあれほど別姓を嫌がるのか。その理由の一つは、歴史的な経緯から説明可能です。明治政府が大日本帝国憲法と皇室典範を起草するにあたっては、女帝を容認した案も途中まで準備されていました。実質的に憲法を書いたといえる内閣法制局長の井上毅が、女帝による皇位継承は、天皇の姓が変わること(易姓)を意味するとして強く反対し、結局、明治憲法は女帝を認めず、男系による皇位継承を決定しました。この、姓が変わっては万世一系という観念が崩れるとの無意識ゆえの呪縛こそが、別姓を望む他者の選択をも制限すべきだとの意識を支えているように思います。家族制度が崩壊するという理由づけも、「別姓を認めればこの国のかたちが変わる」という、意識せざる危機意識ゆえと見えます。(引用おわり) 「思います」「見えます」と言っていることからべつに定説ではないのだろうけど、説得的な理屈だと思った。しかし姓が変わるといっても皇族に姓なんかないじゃん、とも思うんだけど。本当にそんなしょうもない理由で別姓が認められないのだとすればは非合理もはなはだしいけど、逆に非合理だから(理屈の問題じゃないから)こそ反対の立場も強固なんだろうなあ。バカバカしい。
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毎日新聞に連載された短文を集めた。 「時代の風」2010.4~ 「加藤陽子の近代史の扉」2020.4~ (月1連載) 「今週の本棚」毎日新聞での書評 毎日新聞インタビュー 歴史事象を参考にして今とこれからを見つめる。 日本学術会議の事も書いてある。数えるとインタビューも含め6...
毎日新聞に連載された短文を集めた。 「時代の風」2010.4~ 「加藤陽子の近代史の扉」2020.4~ (月1連載) 「今週の本棚」毎日新聞での書評 毎日新聞インタビュー 歴史事象を参考にして今とこれからを見つめる。 日本学術会議の事も書いてある。数えるとインタビューも含め6本。 〇2021.4.7「政治の姿勢を歴史に刻むため「実」より「名」を取る。説明なしの任命拒否。その事実と経緯を後世に残すために 2020年6月に拒否された6人のうち5人が、2021.4月に学術会議の「連携会員」「特任連携会員」として活動に参加することになった。だが、加藤陽子氏一人だけは、任命拒否問題が解決していないまま「特任連携会員」になるつもりはないと返答。なぜ希望しなかったのかコメントを寄せた。 『特任連携会員としてお務めを果たそうとするお考えを持つ方が現れるのは本当によく理解できます。 ただ、幸いに歴史系で任命されなかったのは当方一人であり、また多くの歴史系の会員が奮闘されている現状にかんがみ、やはり当方としては、今回の菅内閣の、充分な説明なしの任命拒否、また一度下した決定をいかなる理由があっても覆そうとしない態度に対し、その事実と経緯を歴史に刻むために「実」を取ることはせず、「名」を取りたいと思った次第です。』 毎日新聞デジタルインタビュー2021.3.12 1960生まれ。東大入学は1979年。その当時、体育も男子学生と一緒、着替えの女子の部屋も無かった、と。研究者になってからは、もちろん、グロテスクなまでのハラスメントを多数経験してきています。中でも忘れられないのは、1984年、修士論文を書き終わり発表した後の懇親会。一回り上の男性研究者から、どうせ女子は就職できないから、僕と一緒にアメリカに行こう、と言われたこと。好意を持っているようだが、研究者として対等に見ていない。・・5年後どちらも実現させました。・・ある意味、この言葉ゆえ奮起したが、その時はその場の雰囲気をこわさない程度にしか言い返せなかった自分への怒りもあり、怒りのエネルギーは全く減る気配がないです。 2021.7.30第1刷 2021.10.30第6刷 図書館
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最近、加藤陽子さんの発言などに関心をもっていて、初めて著書を読んでみた。ざっくり読んでしまって、専門の近代日本史などに関する鋭い言及などは消化不足でごめんなさい。 冒頭のほうのインタビュー記事を起こしたところがよかった。「そもそも何の落ち度もない個人が、一方的に著しく時間と手間を...
最近、加藤陽子さんの発言などに関心をもっていて、初めて著書を読んでみた。ざっくり読んでしまって、専門の近代日本史などに関する鋭い言及などは消化不足でごめんなさい。 冒頭のほうのインタビュー記事を起こしたところがよかった。「そもそも何の落ち度もない個人が、一方的に著しく時間と手間を強いられる制度の方が問題なので、悪い制度には誠実に対応しすぎないことが肝心」(p.37)というのは自分にとって至言。最近意地を張るかのように遵法精神旺盛なときがあったりするので、もっと都合よく生きないといかんなあ。
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