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悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界 文春新書1313
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2021/05/20 |
JAN | 9784166613137 |
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悲劇の世界遺産
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悲劇の世界遺産
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商品レビュー
4.3
10件のお客様レビュー
旅の目的は人それぞれだが、私個人、若い頃はハワイやヨーロッパの人気の観光地よりも、東南アジアの奥地やネパールなど、観光地として綺麗に便利に整備された場所よりも若いうちじゃないと行けないような体力を使う場所中心に旅していた。よってショッピングを楽しんだり豪華なホテルでラグジュアリー...
旅の目的は人それぞれだが、私個人、若い頃はハワイやヨーロッパの人気の観光地よりも、東南アジアの奥地やネパールなど、観光地として綺麗に便利に整備された場所よりも若いうちじゃないと行けないような体力を使う場所中心に旅していた。よってショッピングを楽しんだり豪華なホテルでラグジュアリーな時間を過ごす事は、当然環境もお金も遥かに到達しないような身分柄出来なかったし、しようとも思わなかった。 やがて生活に余裕が出ると、イタリアやスペインなどの南欧に加え、スウェーデンやデンマークなど北欧を回るようになり、言ってみれば日本とさほど都市的な発展度合いが変わらないが、食と人の見た目だけが海外風になっているようなものだった。 前者であれば、世界遺産に登録されている様な観光地ももちろん外したりはしないが、どちらかと言うと現地調達した四輪駆動車で田舎の村を訪れ、現地の人々のお世辞にも裕福とは言い難い生活を垣間見る事が多く、正に世界を知る事が目的だったと感じる。後者の旅も美術館や建築物からその国の歴史の長さ重さを感じる事ができ、教科書や写真集だけでは解らない、現地の空気の暖かさや市場の匂いなどを感じながら歴史について更に理解を深める事ができたと感じる。 アメリカでは現地の食もスーパーも道もアトラクションも何もかもスケールの大きさを感じたし、中国上海は人の多さを肩や背中で感じ取る事ができた。どの国からも必ず何かを学ぶ事ができたし、有意義な海外旅行をしてきたと自負している。コロナが始まるまでは。 本書はダークツーリズムと言われる、世界遺産の負の側面に焦点を当てて旅をすることの意味を教えてくれる。世界遺産はユネスコが毎年いくつも新規の登録を行うため、近年は国内も世界遺産だらけになった。行ってみると、こんなところが世界遺産かと思うような何の変哲もない風景が広がり拍子抜けすることもある。だがそれら遺産の背景にある歴史や文化の流れを理解することで、長い時間の中で形成された、遺産の表面だけを見ていた事に気づけるのである。 特に海外の遺産はアウシュヴィッツやワルシャワ歴史地区など20世紀以降の二つの世界大戦に関連するもの、日本では広島の原爆ドームがそれに該当するが、人類が犯した罪に起因するものが文化遺産として多く登録されている。黒人奴隷の歴史や、スペイン・イギリスの植民地政策から来るもの、更には虐殺の歴史など、「負の側面」は必然的に多くの人々の記憶に残り、かつその記憶を継承する事で同じ過ちを繰り返さないという、人類の固い約束・意思が含まれている。 我が国は石見銀山や九州に点在する明治維新以降近代化の歴史、北関東群馬にある富岡製糸場など、そこに女性や海外労働者の苦しみや重労働の土台についてはあまり触れられていないように感じる。本書はそうした日本の世界遺産の扱いは、観光的商業的な側面が強く、世界遺産登録=観光地化の意味合いが強いと捉える。確かに世界遺産になると、途端にホテルやグッズや街をあげてのアピールを見ていると少し淋しくなる事がある。世界遺産として負の側面にもフォーカスし、前述した様に背景や歴史を学ばなければ、表面の建造物の外観だけ見て拍子抜け、といった薄い記憶で終わってしまう。これは非常に勿体無い。本書タイトルにある様なダークな側面にももっと力を入れて、見る側に是非そうした事実を原因、解決までの流れとして捉えさせる様な展示に力を入れて欲しい。そうした意味で国内に点在する戦争遺産が手入れもできず放置され、消えていく事を防止する様な取り組みも行なって欲しい。自治体任せではなく、国が登録制度を設けて管理についても責任を持って行っていくべきだ。
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フライドチキンは黒人奴隷の栄養食、サイパンの製糖工場のため韓国人街ができているなど、観光というよりダーク産業発展の歴史とでもいうべき良書。
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光も影も付いて回るというのが世界遺産の思想である。筆者は日本人があまり思い浮かべない遺産の悲劇の記憶や人類普遍の価値とは何なのかを考え、ダークツーリズムという新しい観光の形を通して見るという提案をする。
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