なぜ秀吉は

門井慶喜(著者)

• 販売会社／発売会社: 毎日新聞出版
• 発売年月日: 2021/05/17
• JAN: 9784620108537

商品レビュー

2025/10/18

豊臣秀吉は天下統一を果たしながら、晩年、無謀とも言える朝鮮出兵を行ったのか。その「なぜ」に迫る歴史小説。

人間の欲は果てしない、配下へ報奨とする土地が尽きてしまった、権力者は愚行を繰り返す、秀吉は単純に戦争が好きだった、など、多くの学者により分析されつくした朝鮮出兵の動機。それらを踏まえて小説家としての著者視点での新解釈を提示してくれると期待したのだが、消化不良のまま完結してしまったという感想。

本作に登場する秀吉は、名もなき庶民や商人などに、勢いで朝鮮・明などを征服すると公言した手前、引っ込みがつかなくなってしまっていたように感じられる。淡々と名護屋城を築き、朝鮮向けの人と船を集めるだけ。そこに情熱はない。

秀吉の朝鮮出兵とは、放言したことを否定しないスタッフに囲まれた最高権力者の悲劇でもあり、喜劇でもあった。という、現代でもよくあることなのだろう。

2025/07/27

世間のいわゆる人並みの幸せと言うやつは、何かに鈍感であり、かつ何かに無意識であることで、初めて得られる幻の宝なのである

2025/02/05

今村さんの同時代小説読んだ後だけど、「なぜ秀吉は朝鮮出兵したのか」の一点に絞っていて、講談聞いてるように楽しく読了。歴史モノは色んな解釈あるが、秀吉の欲望を1本の樹に見立てるとは…。国家秩序の強化、外敵作り出すことで。経済の行き詰まり打破、部下への褒賞捻り出す為、とかとか色々現在に通じる説多々あるが、なるほど。それにしても、今も同じような手法で世界を振り回しているトランプさん見てると人の進歩のか無さに唖然とするしかない。