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沖縄の空手
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沖縄の空手
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商品レビュー
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とてもいい本だった。空手の歴史について勉強したいという人は、とりあえずこの本を読んでおくことをおすすめしたい。空手の歴史に関する様々な説を、どういった心構えで聞いたり読んだりすればいいのか、歴史の受け取り方の見取り図を得ることができる。 まず、この本で最初に言っていることは、こ...
とてもいい本だった。空手の歴史について勉強したいという人は、とりあえずこの本を読んでおくことをおすすめしたい。空手の歴史に関する様々な説を、どういった心構えで聞いたり読んだりすればいいのか、歴史の受け取り方の見取り図を得ることができる。 まず、この本で最初に言っていることは、これまでの空手の歴史の大多数が、史料的な根拠に基づいて書かれたものではない、伝承によるものだということである。前提として、空手というのは、形に残らず、文字では伝えづらい身体動作であるために、過去の武術の実態を把握することが難しい。秘伝とされてきたものも多く、公の文書には、その成り立ちや歴史についての記述が残らないということが、この後世に残らないということに拍車をかけているという。 では、今まで雑誌や本で取り上げられたり、紹介されてきた歴史は、いったい何なのかというと、それは、主に明治期から大正期にかけて、沖縄から日本列島に空手を伝えた武術家たちの証言である。ネット上や一般書籍で、ぼくたちが目にすることができる空手の歴史は、そういった証言と、他の歴史的な状況証拠から推定されたものが、今日、空手の歴史として普及している。筆者は、そういった伝承、推定の価値を認めつつも、史実として、史料的な根拠をもって言えるのはどこまでなのかを、この本で明らかにしようとしている。 個人的に面白いのが、「中国伝来説」と「沖縄固有説」の説明だった。これまでの歴史の語りは、伝承によるものだったという性格上、かなりの数の「諸説」があるのが現状だった。筆者は、こうした膨大な諸説を「中国伝来説」と「沖縄固有説」という形に大まかに分類して整理している。 この分類が、とても便利で参考になった。今まで、ネット上の様々な空手に関わる公式団体のサイトや、本でその歴史を見てきたが、あまりにバラバラな情報で困った。今回、この本を読んだことで、そういったときには胡散臭い説も含めて、どういったタイプの伝承なのかを意識しながら読めるようになりそうである。 今回は、空手の歴史だったけれども、空手に限らず、「古流」と言われる古い流派の武術の歴史には、多かれ少なかれ同じような推定による「諸説」の乱立みたいなものがある。こういった様々な伝承に対する向き合い方を考えるのに、とても参考になる本だと思う。
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【琉大OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BC06888144
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