商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新泉社 |
発売年月日 | 2021/03/20 |
JAN | 9784787721020 |
- 書籍
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欧州の排外主義とナショナリズム
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欧州の排外主義とナショナリズム
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商品レビュー
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「貧困層が経済的観点から、反移民を標榜する右翼政党とを支持している」というストーリーを、調査によって、その誤りを指摘した本。 欧州の排外主義とナショナリズムに対する解像度が上がったと感じると同時に、では日本ではどうなるのだろう、という疑問も湧く。 本書では、反移民は、経済的...
「貧困層が経済的観点から、反移民を標榜する右翼政党とを支持している」というストーリーを、調査によって、その誤りを指摘した本。 欧州の排外主義とナショナリズムに対する解像度が上がったと感じると同時に、では日本ではどうなるのだろう、という疑問も湧く。 本書では、反移民は、経済的観点ではなく、非経済的な反EUや文化的観点によって規定されていると結論づけており、また同時に、高所得者層であっても、反移民を「隠して」いる、ということも明らかにしている。我々が理解できるストーリー程、社会は単純ではない。そもそもヨーロッパ自体、国ごとに様々な文化的背景があるのだから、それほど単純に反移民運動を括れるはずがない。 印象に残ったのは2点。一つは、ポーランドに代表されるように、元々中道的政党が、得票を伸ばすために右にウィングを伸ばして、反移民を掲げるようになったことである。これは、政権交代時の自民党にも見られる動きであって、自民党は野党時代により保守的姿勢を強めた。このような動きは、政治としても自然な動きなのであろう。 もう一つが、排外主義は文化的観点によって支持されているのだから、消えることはないという点である。説得すれば、経済的格差が解消すれば、ということで解消できるほど単純ではない。また、規制を強めれば「議場がダメなら路上へ」という形で暴力を強めるかもしれないし、ある意味右翼政党が台頭することでガス抜きになりうる。(かと言って正当化されうる者でもないが。)(また、自民党が保守的になったことで、保守派の反対が減ったことで安定的政権運営に繋がったという、別の本での意見もあった)ようは、経済的観点で反移民、というのは「ゾンビ理論」なのである。 疑問点もある。 本書で、選挙時に反移民感情を高めるのは「政治的意識の高い無党派層」である、とされているが、「政治的意識が高い」とは具体的にどのような層があたるのだろうか。それによっては、国によっては選挙時にかなりのインパクトもあり得る。
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欧州人の排外的ナショナリズム(右翼政党支持や反移民感情)は、経済的弱者の爆発などではなく、文化的紐帯をめぐる態度であり、富や学のある者たちもその担い手になっているという事を明らかにした調査報告。尚、愛国心と排外主義とは無関係という結果もある。興味深いのは本書の中心課題ではないのだ...
欧州人の排外的ナショナリズム(右翼政党支持や反移民感情)は、経済的弱者の爆発などではなく、文化的紐帯をめぐる態度であり、富や学のある者たちもその担い手になっているという事を明らかにした調査報告。尚、愛国心と排外主義とは無関係という結果もある。興味深いのは本書の中心課題ではないのだが、8章の経済ではなく規範や文化で動くのが人の本性という箇所で、「最後通牒ゲーム」を例にし、文化≒規範コードを個人的経済的合理性よりも優先することにより人類が生存してきたという適応上の進化的合理性があると指摘する点である。であるならば、排外主義は合理的思考・行動という事になり、決して感情的なものではないという事になる。一般的に排外的ナショナリズムは一部の行き過ぎたヘイトクライムにより「悪」とみなされる傾向があるように思えるが、あくまでも合法的な活動である限りは、相対的・中立的な視点で客観的・冷静に捉える必要がある。でなければ、この問題は感情的な対立による平行線のままであり続けるだろう。
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ジャーナリズムの取材から語るのではなく、データと回帰分析を用いて説明したものである。 学歴と社会経済的な問題によってナショナリズムになるのではなく、自国文化への危機とEUへの反発であるということが明らかになってきた。 日本では、日本的なものが侵食されることへの反発と共同体への...
ジャーナリズムの取材から語るのではなく、データと回帰分析を用いて説明したものである。 学歴と社会経済的な問題によってナショナリズムになるのではなく、自国文化への危機とEUへの反発であるということが明らかになってきた。 日本では、日本的なものが侵食されることへの反発と共同体への反発があるかどうかはわからない。アメリカ文化が旺盛であるし、国民の半分近くがiphoneを持っている状態だからというのもあるのかもしれない。
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