商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2021/02/25 |
JAN | 9784309029498 |
- 書籍
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福島モノローグ
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福島モノローグ
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商品レビュー
4.4
14件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
何より頑張って災害後を生き抜いた地域の生き残り、しかも草を食べて土地を守って大活躍している命がいる。私はそうですね、この思いでここの牛と一緒にいます 今も行き場のない打撃みたいなことを、この人はすごく話したいんだろうなという感じとか、時間が経てばひとはそれなりに忘れるだろうとは思うんですけれど、まだそれは福島にあるんです
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「東北モノローグ」に続いて「福島モノローグ」です。本当は、こちらの作品の方が先に出されています。東日本大震災で被災された福島の方々の“語り”を収録しています。 福島がそれ以外の被災地と異なるのは、原発の被害を受けたことですよね…。 ・牛は「自然の造園師」と呼ばれることから、...
「東北モノローグ」に続いて「福島モノローグ」です。本当は、こちらの作品の方が先に出されています。東日本大震災で被災された福島の方々の“語り”を収録しています。 福島がそれ以外の被災地と異なるのは、原発の被害を受けたことですよね…。 ・牛は「自然の造園師」と呼ばれることから、牛が草を食べることが除染になるのでは…?と提言する女性。 ・幼い子を伴い県外に避難した女性たちは、飲食物が 汚染されているのではないか、プールは大丈夫か… 等不安になること。年に1回福島の子供たちに、義務付けられている甲状腺内部被ばく検査があることで不安が増すこと。 ・震災によって、浪江町から避難し各地を転々とし取材時はいわき市の仮設住宅で暮らす96歳の女性。この方が詠まれた短歌が切なく胸に響きます。 「6回の 避難の地にて 夫は逝き 終の棲家で 我は孤独に」 「セーターを 編んではほどき また編んで できた喜び 仮設に住みて」 「汚染され 採る人もなき 枇杷の木に ついばむ小鳥 実を落としおり」 「幼き日 妹とつくりし 首飾り 椿の花の咲けば懐かし」 「悲しさも 辛さも忘れ 毛糸編む 『ありがとう』 その一言のため」 「夢であう 母は我より 若かりし」 いちばん最後の作品以外は、新聞に掲載されたんですって…。今回当事者の“語り”を読めて、知らなかったことを知ることができたのは、よかったと思っています。
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いとうせいこうさんが福島で聞き取ったお話を本にしたもの。 一人称はそれを語った人で、いとうさんは「おわりに」でしか出てこない。それ故、その方から直接語りかけられている気持ちになる。 喜びがあり、悲しみがあり、今の日常生活そのものなのだが、明らかに2011年3月11日の震災と原発の...
いとうせいこうさんが福島で聞き取ったお話を本にしたもの。 一人称はそれを語った人で、いとうさんは「おわりに」でしか出てこない。それ故、その方から直接語りかけられている気持ちになる。 喜びがあり、悲しみがあり、今の日常生活そのものなのだが、明らかに2011年3月11日の震災と原発の爆発により、不連続な線となったことは明らかだ。 本当の意味で、心が寄り添えることが出来る人になりたいと感じさせられた。 WITH COW 農場を営む人の、手塩にかけて我が子のように育て上げている牛に対する眼差しと、汚染され取り残されたそれらの牛の末路に嘆く姿を表す。 犠牲者は人間だけではないことを学ぶ。 THE MOTHERS 働き手となるお父さんと離れ、母と子の避難生活を余儀なくされる。経済面だけでなく、健康面なども考えなくてはならない。 RADIO ACTIVITY 富岡町社協の吉田恵子さんによるラジオDJ活動の話。 悲しみに包まれる雰囲気には、こういう人が必要だ。 人は気持ちの持ちようで、変わることが出来る。 言葉の力を感じさせてくれた。 a flower 須藤文音さんは、津波で父親を亡くした経験を通じて文筆家としての一歩を踏み出そうとしている。 銭湯から出て、下足箱から出した自分の靴の中には、何故か白い花が。やがてお父さんが見つかり、自宅で対面したその装束の胸元には、同じ花が添えられていた。 震災では不思議な体験をされている方が、大勢いらっしゃると聞く。道理では説明出来ない何かがあることを感じさられる。 A LIFE OF LADY 福島川内村、昭和17年生まれのおばあさんの話。 その頃にして所謂モダンで先見の明があったことに驚く。 原発事故による汚染でも、被害者意識だけで片付けないところが凄い。 a farmer 浪江町に引っ越して農業を始めた女子体育大学出身の女性の話。 震災が彼女を駆り立てたのか、もともと持っていたのか、意識を高く持つ人は素晴らしい。 The LAST PLASE 96歳の高原タケ子さんが生活を語る。 震災にあって、きっと大変だったと思うが、今までの苦労を重ねた人生に取っては、ただの1ページのごとく淡々と話をされていく。新聞にも短歌を多く投稿し、掲載されているという才女でもある。 こんなおばあさん素敵だな。 a dancer 鬱を克服し、時には文化庁にも押し掛け活動の援助を申し出るほど前進し続けておられる日本舞踊の女性先生のお話。 活動の中には、子どもたちを連れて県外遠征もされることもある。 福島というだけで、避けられていた子どもたちを招いてくれた岡山では、子どもたちが多いに満喫することが出来、帰りの新幹線では皆大泣き。 きっとこの子たちは、真っ直ぐに育つのだろうなと感じた。
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