商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 実業之日本社 |
発売年月日 | 2021/01/29 |
JAN | 9784408537740 |
- 書籍
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なぜ銅の剣までしか売らないんですか?
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なぜ銅の剣までしか売らないんですか?
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商品レビュー
3.6
25件のお客様レビュー
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城下町パラグラでは、魔王討伐のため勇者一行が華々しい凱旋パレードを経て旅立っていった。商人であるマルは思う。「なぜ銅の剣までしか、武器屋では取り扱わないのか。」最初から最強の武器があれば、勇者一行はムダに危険な目に遭わずに済み、最短で魔王討伐を遂行できるのに。 店主に聞いても、最初の村周辺には弱いモンスターしかいないから強い武器は必要ない、弱いモンスターからは少ないゴールドしか手に入らないからそもそも最強武器を買う余裕がないとか、最初の村で最強武器を手に入れてしまったらそれ以降の村の武器屋が儲からなくなってしまうとか、それっぽい理由はあったけど、それらは建前で、本当はどれもこれも壮大な社会のシステムの一部に過ぎなかった。 魔物は人間に比べて繁殖率が高く長生き。ほっとくと人間なんか襲い尽くして、魔物だけの世界になってしまう。 魔物と人間の上層部のほんの一部だけが知っている。互いに争いを「演じている」ことで、お互いの世界への干渉や利益を調整していた。 人間社会では「魔物」という全国共通の敵がいることで、両国が協力関係を結ぶことができる。もし魔物がいなかったら人間同士で争うからた。敵がいると民衆を煽動しやすく、戦争があると、それに関する経済効果が生まれ、各国が程よく潤う。 数が多い魔物は、知能が高いものがどの村にどの程度魔物を配置するかを決め、勇者一行が順序良くレベルを上げつつ、各村で金銭を落とし、程よく経済を回しつつ、魔物を人間の領域で住まわせることができる。 この上層部だけが知ってる社会のシステムのため、最初の村では銅の剣までしか売ることができないように人間側と魔物側がルール決めしていた。 なんのメタだろうか。今の日本で起きていることがメタ的にストーリーに含まれてるんだろうが、まだ少し分からなかった。でも経済活動において今まで読んできたお金や経済の本とは視点や角度が全く違う。今の日本の賃金や物価や、ありとあらゆるルールって、俺たち一般人は建前やそれらしい法律でしか見ることができないけど、本当はもっと上の方でもっと広い視野で全体を上手いこと調節しているヤツらがいるんだろうか。 面白かった。
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ドラクエのようなRPGの世界で、冒険をしながら経済の仕組みを解き明かしていく話。 なぜ最初の村にはザコい武器しか置いてないのか。なぜどこの村で売買しても同じアイテムは同じ値段なのか。なぜ勇者を一人ずつ排出するのか。 主人公マルは、これらの謎がある一つのシステムを維持するために定められたルールであることを知る。 RPGの世界なのに、株式相場のようなものが存在したり、アヘンみたいな薬物で儲けている国があったり、法の抜け穴を使って労働力を得て莫大な利益を生み出している国があったり、銃の発明によって戦争を引き起こそうとしたり。現実世界とRPGの世界を行ったり来たりしてて面白かった。 ただ、魔王城に辿り着いてから取り引きを自由化した後の流れをもっと詳しく書いて欲しかった。
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「A.誰かにとって不都合だから」 youtube「fラン大学就職チャンネル」のFさんが執筆をされた本著。 理由は判然としないが、なんとなくそうなっていること。 皆がそういうから、昔からの決まりだから、今上手くいっているから。 そんな何らかの理由で、自分の疑問や疑念があやふやにさ...
「A.誰かにとって不都合だから」 youtube「fラン大学就職チャンネル」のFさんが執筆をされた本著。 理由は判然としないが、なんとなくそうなっていること。 皆がそういうから、昔からの決まりだから、今上手くいっているから。 そんな何らかの理由で、自分の疑問や疑念があやふやにされた経験のある方は、きっと少なくないはずだ。 そんな方こそ、続きを読んでほしい。 本著は、RPGゲームの "あるある" の一つでもある、 「街ごとに売っているアイテムや装備品が異なる」 という事実に疑問を持った主人公のマルが、その裏に隠された真実を求めて冒険に出るというストーリーである。 その世界では魔王は倒されても復活し、その度に優れた素質をもつ若者が勇者に選ばれ、街を出るという。 だが、言われて見れば不自然だ。 仮に邪悪な魔王を倒すのであれば、初めから勇者に特上の装備を与え、優秀な側近や軍隊を従え、属国からの援助をふんだんに遣って魔王を討伐させるのが合理的だ。 そもそも定期的に魔王が復活するのもおかしい。 いや、それにつっこんだらゲームじゃないじゃん! という声も聞こえてきそうだが、これはどうやらゲームの中の世界の話ではない。 マルが生きる世界には、複雑に絡み合った不都合な真実が隠されていたのだ… というのが話の大筋である。 だが本著を、ただのエンタメ・ファンタジー小説として一蹴するのは早い。 それは物語の世界に、私たちが生きるこの現実世界に通じる点が散見されるからだ。 その具体的な点については、実際に手にとって読んで確かめてほしいが。 はじめの文章に戻る。 この人間社会を生きる私たちは、例え何か疑問に思ったことがあっても、それが一般常識やルール、風習、その場の雰囲気などで、それが黙殺されてしまうことがある。 それはこの様々な人間があらゆる思惑を抱いて生活を営んでいるカオスな社会を回すために、誰かが決めたことかもしれない。それしか解決策がなかったのかもしれない。 だが、その影で虐げられる人々はいないのか? 笑顔の裏で過酷な生き方を強いられている人は? 私は本著で、日本の技能実習生制度がWHOから批難されているという現実世界のニュースが頭に浮かんだ。 彼らは技能を身に付けるという体で日本に来て、狭い部屋で雑魚寝し、工場で単能工を期限まで延々とやらされる。 中にはパスポートを奪われ、帰国が叶わない者もいる。 そもそも日本に来るための費用を借金して来日するため、帰国しても借金返済に追われるという始末だ。 それは少数であるという声が聞こえそうだが、実際には法令違反の勤務をさせれている現場が全体の70%以上というデータが、NHKのドキュメンタリー番組にて取り上げられていた。それでも日本の多くのメディアは技能実習制度の闇を報道しない。(仮に取り上げても話題には登らない。) 技能実習生が世界で活躍しているというニュースを、あなたは聞いたことがあるだろうか? そしてこれを聞いても、私は人ごとでないと思えないのだろうか? そして、この事実は誰にとって不都合なのだろうか? さて、本著の話題に戻る。 マルのように、自分の疑問に思ったことの影には、負の側面が隠れているかもしれない。 現実世界を生きる私たちに刺さり、面白くてタメになって、背筋がぞくりとする。 だが文章も容易で、物語として読みやすい。 大人から子どもまで幅広い人に、ビジネスの視点と頭で考えることの大切さを教えてくれる本著。 自分の頭で考える機会に、ぜひご一読を。
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