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死ぬまでに行きたい海
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死ぬまでに行きたい海

岸本佐知子(著者)

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死ぬまでに行きたい海

¥1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 スイッチ・パブリッシング
発売年月日 2020/12/01
JAN 9784884185435

死ぬまでに行きたい海

¥1,980

商品レビュー

4.3

61件のお客様レビュー

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2024/06/09

[1]この本を読みながら「なんか最近、怖いものを見たような気がするなあ」と蘇ってきた。ひたすら考えてみて、NHKの「SONGS」で「新しい学校のリーダーズ」の首振りダンスやと気づいた。胴体と頭が別々の生き物みたいで何かが何かに寄生されてるような気がしたんや、と。というようなありが...

[1]この本を読みながら「なんか最近、怖いものを見たような気がするなあ」と蘇ってきた。ひたすら考えてみて、NHKの「SONGS」で「新しい学校のリーダーズ」の首振りダンスやと気づいた。胴体と頭が別々の生き物みたいで何かが何かに寄生されてるような気がしたんや、と。というようなありがちで小さな妄想がいろいろ入ってる本です。SFやホラーの一部分ぽくもあります。 [2]あなたの妄想のきっかけに。 [3]とはいえ、今回は妄想というより郷愁を誘う一冊だったかもしれません。 ■簡単なメモ 私が触れなかったものだけが残っているみたいだった。(p.10) 記憶喪失者が何かを思い出して幸せになることはまずない。(p.25) 私は舗道の上で何度も足を踏みしめて、地中深く埋まっているはずの古い横浜の応答を求めたが、もうアースは伝わってこなかった。(p.38) 昔から、なぜか私は生ぬるい風に吹かれると、ああ生きている、と思うのだ。(p.51) 来れば来た数だけ海芝浦は増えるのかもしれない。(p.54) 私は店を出たときからずっと、なんだかいい匂いを鼻の奥で嗅いでいた。空気が光沢のあるメタルになって、芳香を放っているような。もちろん本当の匂いではないにちがいないので黙っていた。細い白い三日月がやけに明るかった。(p.57) 《怪獣ブースカが統治する》p.65。岸本さんの妄想のブータンについてはぼくもまったく同じ妄想を描いてました。いろんな情報を知るまで。 この標高だけで死ぬ。(p.77) 《家は茅葺き屋根で、古かった。表玄関から入ると土間があり、下駄を脱いで左側に上がると茶の間や仏間、右側は土間がそのまま広くなって、竈のある台所になっていた。》p.81。ぼくの母親の実家がまったく同じ間取りだった。今はもう改築しているが。長期の休みがあるとだいたい一週間くらい滞在した。やっぱり《帰るのがいやで泣いた。》著者はぼくと同年齢くらいかもしれない? 《空がびっしり星で埋め尽くされて、背中がぞわぞわした。きれいよりも不気味が先に立った。地球が宇宙とじかに接していることがわかってしまって恐ろしかった。》p.83。昔、十津川に行ったとき同じ感覚を抱きました。宇宙に落ちていくような気がして怖かった。似たような体験としては地べたに仰向けに寝そべって濃い青の空を見つめていると自分が地球という天井に張り付いている虫で空に向かって落ちていくような気がすることがよくあります。 《草むらに猫の死骸があってあばら骨が見えていた。生まれて初めて見る死体だった。》p.85。生まれて初めて見た死体ではなかったが近くの港に豚が浮かんでいたことがあったのを思い出した。友だちといっしょに石をぶつけてみるとぼよんと跳ね返るとともに何かが飛び散った。近くに寄ってみると一面の蛆だった。思わず逃げ出した。というようなさまざまな記憶がこの本を読んでいると蘇ってくるのはなんでやろう? この世に生きたすべての人の、言語化も記録もされない、本人すら忘れてしまっているような些細な記憶。そういうものが、その人の退場とともに失われてしまうということが、私には苦しくて仕方がない。どこかの誰かがさっき食べたフライドポテトが美味しかったことも、道端で見た花をきれいだと思ったことも、ぜんぶ宇宙のどこかに保存されていてほしい。(p.88) いまこのブザーを鳴らしたらどうなるだろう。あのころの朝顔殺しのままの自分が、二十年ぶんの動悸と頭痛と焦燥に漬けこまれてミイラのようになって、ドアを開けるだろうか。(p.93) こうしている今も、私のかけらはあの時間のない異世界に取り残されて、出口を探して歩き回っているのかもしれない。今の私はかけらを失った不完全な私なのかもしれない。(p.106) 《その七年ぶんの記憶は私の中で混ざりあい、ちょうどたくさんの地層を上から透かして見るみたいに、記憶や映像がいくつも重なり合って見える。場所だけが不変のまま、何人もの私たちが折り重なって同時に存在して、飲んだり、歩いたり、笑ったりしている。》p.120。全編がSFやホラーのような雰囲気があるが詩のようでもある。特に「三崎」の章は詩のように見える。 後を追いかけながら、急にAちゃんのことを何も知らないことに気がついた。(p.184)

Posted by ブクログ

2024/05/19

岸本佐知子さん、やっぱり好き。 エッセイ。各章タイトルは地名。本人が現地に向かい詳細にその地域について語る。それは過去に何度も通ったところであったり、行ったことはないが行ってみたかったところであったり。 面白いのは詳細な場所の描写。この道を右に曲がると○○の店があって。とか過...

岸本佐知子さん、やっぱり好き。 エッセイ。各章タイトルは地名。本人が現地に向かい詳細にその地域について語る。それは過去に何度も通ったところであったり、行ったことはないが行ってみたかったところであったり。 面白いのは詳細な場所の描写。この道を右に曲がると○○の店があって。とか過去の記憶がビックリするほど記憶されてる。それほどに印象的だったのか、、それにしてもその記憶力凄い。 私が好きなのはその場所への岸本さんの思いが、時に重く、時に苦しそうに、時には酒飲んでやけっぱちに、そして時には、え、、、という現実を越えた他のフィールドへ連れていってくれること。各章の終わりかたもただのエッセイにとどまらす、どこかフィクションの様相を含んだりしたこれぞまさに岸本さんワールドだと思う。 この本が発表されたMONKEYって雑誌は全く知らなかったのですが(汗)、調べると書いてる人が興味深い人ばかりで創刊号から網羅的に読みたい。

Posted by ブクログ

2024/04/25

家から出ない岸本さんの、珍しい外歩きエッセイ。 ゆかりの地を歩くことで、岸本さんの家族や学生時代、会社時代のことなどが垣間見える。 歩きながら、記憶や妄想がまざりあう。 「三崎」を読むと、人はこんなに飲み続けられるのかと思う。 海芝浦の存在は初めて知った。行ってみたい場所が増えた...

家から出ない岸本さんの、珍しい外歩きエッセイ。 ゆかりの地を歩くことで、岸本さんの家族や学生時代、会社時代のことなどが垣間見える。 歩きながら、記憶や妄想がまざりあう。 「三崎」を読むと、人はこんなに飲み続けられるのかと思う。 海芝浦の存在は初めて知った。行ってみたい場所が増えた。

Posted by ブクログ

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