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ニッケル・ボーイズ
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ニッケル・ボーイズ

コルソン・ホワイトヘッド(著者), 藤井光(訳者)

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ニッケル・ボーイズ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2020/11/19
JAN 9784152099785

ニッケル・ボーイズ

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商品レビュー

4.3

16件のお客様レビュー

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2025/03/27

新たに大学で夢に向かって行こうとするエルウッドに差別という冤罪がおこる 5セント(ニッケル)ぐらいの価値しかないと暴力により肯定され、人生を否定されてきたエルウッド キング牧師の言葉を胸に暴力でどん底な人生から自分を欺くのをやめてもう一度自分の人生を取り戻すために戦う エルウッド...

新たに大学で夢に向かって行こうとするエルウッドに差別という冤罪がおこる 5セント(ニッケル)ぐらいの価値しかないと暴力により肯定され、人生を否定されてきたエルウッド キング牧師の言葉を胸に暴力でどん底な人生から自分を欺くのをやめてもう一度自分の人生を取り戻すために戦う エルウッドと共にニッケル校で親しくなったターナーと一緒に新たな人生に向かって生きていこうとするが… 否定され続けた人がどうすれば人生を歩き直せるのかを知ることが出来る

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2024/09/03

いちど徹底的に尊厳を奪われた人間が自分の価値を取り戻すのがどれほど困難か。 鞭の痛みがどれほどの苦痛を与えてその恐怖が思考に組み込まされるか、鞭打たれたことのない私達には絶対に想像できない。だがその想像を超えた痛みを植え付けられたニッケル・ボーイズを動かせたのは紛れもなくエルウッ...

いちど徹底的に尊厳を奪われた人間が自分の価値を取り戻すのがどれほど困難か。 鞭の痛みがどれほどの苦痛を与えてその恐怖が思考に組み込まされるか、鞭打たれたことのない私達には絶対に想像できない。だがその想像を超えた痛みを植え付けられたニッケル・ボーイズを動かせたのは紛れもなくエルウッドの魂だった。蟹工船の森本がそうであったように。

Posted by ブクログ

2024/03/09

著者の代表作『地下鉄道』は歴史改変小説という特殊なジャンルだった。そのためかなかなか世界観に馴染めず、先に実話を基にした本書から取り掛かることに。 読むだけの充実感がある反面、重い…。目に見えない重しがのしかかってきているようで、読み終えた瞬間に思わず息を吐き出した。 史実(そ...

著者の代表作『地下鉄道』は歴史改変小説という特殊なジャンルだった。そのためかなかなか世界観に馴染めず、先に実話を基にした本書から取り掛かることに。 読むだけの充実感がある反面、重い…。目に見えない重しがのしかかってきているようで、読み終えた瞬間に思わず息を吐き出した。 史実(それもつい最近明るみになった)とフィクション・過去と現在が巧妙に入り混じり、特に第三部からのストーリーの進め方には度肝を抜かれる。恐らく読後、一部の章を読み直さずにはいられなくなるだろう。 『地下鉄道』よりこちらの方が自分の肌に合っているかも。 「侮辱されるたびに野垂れ死にしそうな気分になっていたら、日々を生きていくことはできない」 舞台は1960年代前半のフロリダ州。アフリカ系アメリカ人の聡明な学生エルウッドは祖母との2人暮らし。ある時大学進学に向けてのチャンスに恵まれるがそれも束の間、無実の罪でニッケル少年院に送られてしまう。 少年院を出るには院内にて善行を積み、ポイントを稼いでいかねばならない。加えて、院内で横行する暴力や虐待に耐えてゆかねばならない。地獄のような日々の中、エルウッドはターナーという少年と出会い次第に友情が芽生えていくが…。 「少年たちは、あの学校に潰されさえしなければ、いろいろな未来に進むことができた。[中略]彼らには平凡であるという単純な喜びすら与えられなかった」 第一印象としては『ショーシャンクの空に』の少年院ver.っぽいと思ったが、精神が未成熟であるが故に彼らの恐怖がより身に染みて伝わってきた。(男同士の固い絆と収監された場所が「名ばかり更生施設」であることは共通していると思う) 用務員による壮絶な虐待により最悪の場合命を落とすことも少なくなかった。 これは何と近年閉鎖したアメリカの男子学校がモデルで、本書に登場する独房や拷問部屋も実在していたという。 本書では日常の一コマであるかのように描写されており、憤りよりもまず不気味さを覚えた。 「みんなが目を背けているということは、みんなグルだということだ」 学校の閉鎖に伴いようやく暴力・虐待の告発がされたというが、近年のヘイト事件を見る限りこうした問題は解決の兆しすら見えていない。差別意識はアメリカ国民の中にDNAとして刻まれている。更に差別された側には恐怖も刻まれる。 エルウッドは元々公民権運動に関心のある学生で、序盤では黒人デモにも参加していた。しかしニッケルでの体験を経て、後半では白人に助けを求めるようになる。「究極の良識」が人々の心に刻まれていると信じ、望みを賭けたのだ。 今思えば「外に味方がいるエルウッドだから踏み出せた」とも言える。 でも人種を問わず世間の誰かが「おかしい」と共感してくれるだけで、その人の「究極の良識」を信じてみようと思えるのかもしれない。「自分には味方がいる」と思えれば、行動する勇気が湧いてくるのかもしれない。 つまりは、まだまだ綺麗事を諦める時ではない。

Posted by ブクログ