商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2020/10/06 |
JAN | 9784152099662 |
- 書籍
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財政赤字の神話
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財政赤字の神話
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商品レビュー
3.9
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ここ何年か、少なくとも二人のクリエイターが論拠不明な国家財政に対する主張をするさまを観測した。 「政府は信用を創造できるのだから貨幣をつくれ。とにかくつくれ。消費税率を上げる必要などない」ということを、声高に。貨幣をいっぱいつくるとインフレになることは経済に疎くても知っている。それを覆す論とはなんぞや。 論拠不明というのは受け取る側の素養不足で、MMTがそうなのかもしれないとは、本書を読んで思い至った。 著者自身、MMTにはまず否定的な態度で臨んだという。本書の体裁は、経済学の自説解説というよりはエモーショナルな主張なので、著者のその態度については立場を理解する程度に留める。 その態度を踏襲して読み進めたが、4章までは、著者がつらつらと訴えてきたことに対して、説明のない飛躍があって結論に至るということを繰り返しているように感じられ、どうにも肯定的な印象を受けない。 最終章で「合法的な滞在許可のある外国人にも就労保証がなされるべきである」という筋の悪さを見せ、これはリベラルの一派ではないか、サイタマ系クルド人のような寄生者のための論なのかという疑念を抱くに至り、まじめに読むべき本ではなかったという結論を得た。 環境保護が経済主義の一種であるとしてCiv4に実装されているが、学説にエコや差別を混ぜて語るあたり、おキモチであり学問ではないと思わせる。 文系の学問は哲学・宗教と区別がつかないことがある。特に経済学は学の字を外して思想の段階に留めるべきだと強く思う。仮説とか言ってカッコつけるのもダメだ。だって脳内妄想じゃん? 「トリクルダウンは間違ってました」と認めはしたが、責任は問われない。理系の学問の成果にはなされる責任の追求がない。カタチがないから? 使う方も評価する方も幼すぎる。学問というにはあまりに稚拙すぎる。 この読書に良い点があったとすれば、過去に読んできた本の内容を思い出させてくれたこと。これまでに得た知見をある程度まとめる役割を果たしてくれたこと。2020年時点のアメリカ経済について教えてくれたこと。 日本の経済は、どの筋の外国からかは不明だが、消費税率上昇など、日本政府の舵取りが間違ってるがゆえに衰退していると見られている。本書はアメリカの経済を主に扱っているが、アメリカ政府の舵取りはどこかで見たような印象があり、つまりは日本はアメリカのやり方を踏襲しているようだと思える。富裕層への忖度だ。 「年寄りが金を持っている」と言い、世代で分断を測るべく誘導している輩がいるが、分断があるのは世代ではない。比較すべきは世代ではなく、世帯だ。この分断を唱えるものは信用してはならない。金持ちである自分を守るために、自分を若者に分類して、年寄を攻撃する輩は。 『幻想の経済成長』という書籍において、次のような著述がある。 「実際に起きた最悪の事態とは、金融システム全体が崩壊寸前に陥った結果、金融メルトダウンの進行を阻止する最終手段として、数千億ドルもの税金が救済策に投じられたことだった。これまで何度も指摘されているように、金融業とは富裕層にとっては社会主義だが、それ以外のすべての層にとっては資本主義なのだ。」 P.92 誰得な舵取りなのかという疑問に対しては、まさにこれ。 投資という常態バブルが存在する以上、世界はまっとうに平等になることはありえないと思えば、MMTのような甘い蜜を垂らす論に騙されてみたくもなる、ということは理解できる。 同書はまた、資産を考慮すべきだとも述べている。 赤字財政、国債、借金、その反対側になにがあるのかを考えよ、と。公共事業で道路が作られたのなら、負債の反対側には道路という資産があるはずだ。
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MMT(現代貨幣理論)を正しく理解するための決定版とも言える一冊。お金を刷りまくっても大丈夫というような、この一見怪しい理論に対して、きちんと限界を示した上で、理論の限定的な正しさを示す。読むと、世界観が変わる。 本書をもとにして、自分なりに考えてみた。極端な例で考えるのが分か...
MMT(現代貨幣理論)を正しく理解するための決定版とも言える一冊。お金を刷りまくっても大丈夫というような、この一見怪しい理論に対して、きちんと限界を示した上で、理論の限定的な正しさを示す。読むと、世界観が変わる。 本書をもとにして、自分なりに考えてみた。極端な例で考えるのが分かりやすいので、敢えて、想定として、人口3人の国家で。国民は、農家、大工、工具屋。MMTに基づき、金配り。全員に財政支出で1兆円ずつ。内需だけならただのインフレ。 次に、大工の仕事がなくなった場合。みんなの家を建て終わり、失業したとする。国が財政支出で工事を大工に発注。大工が職を得て、GDP増。 更に、全員失業状態では。つまり、ベーシックインカムだが、失業者に金を配っても産業がなくては、使いようがない。 結局、重要なのは、貨幣流通量ではなくて、潜在的な労働余力なのだ。これを活用する範囲において、MMTは有効だが、これを上回れば、インフレになる。 これに関し、本書に名言を発見した。 財政赤字が小さすぎる証拠は失業率。大きすぎる証拠(過剰支出)は、インフレ。つまり、失業者が多く、余力を持て余した状態なら、財政赤字が足りない。もっと金をばら撒いて良い。しかし、インフレ、物価高騰し始めたら、ばら撒きすぎ。 多少のインフレには害がないと思われており、経済成長においては好ましいと考えられている。しかし、物価がほとんどの人の収入を上回る速度で上昇し始めると、多くの人の購買力が低下する。その状態を放置すれば、実質的に生活水準が低下していく。失業者が増えないレベルで賃上げを伴いながらの、ギリギリのインフレが重要。 世界の主要国の多くは、10年以上、低インフレの解消に必死に取り組んできた。インフレ率が低すぎると言う問題であり、日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国は公式に2%というのが適正なインフレ率とし、アメリカのFRBや日本銀行、欧州中央銀行はこのインフレ率を目標にしてきた。しかし、安定的に2%を達成できたところはない。特に苦しんでいるのは日本で、デフレへの対応に迫られていた。漸くインフレに動き始めている。こうした大局を理解するためにも、有意義な読書となった。
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・政府の借金はインフレをもたらさない限り問題ではない ・即ち自国通貨を持つ国にとって政府支出が過剰かどうかを判断するバロメータは、赤字国債の残高ではなく、インフレの程度である
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