商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2020/10/01 |
JAN | 9784065169049 |
- 書籍
- 児童書
ムーミン谷の十一月 新版
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ムーミン谷の十一月 新版
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商品レビュー
3.7
11件のお客様レビュー
朝日が昇るのが遅くなる。 夕日が沈むのが早くなる。 朝夕が肌寒くなる。 木々の葉の色が変わってくる。 手足が乾燥してくる。 知らぬ間に季節が冬へと進んでいく十一月。 わたしは、この本が読みたくなります。 ページをめくると、今年もスナフキンは旅に出たくなって...
朝日が昇るのが遅くなる。 夕日が沈むのが早くなる。 朝夕が肌寒くなる。 木々の葉の色が変わってくる。 手足が乾燥してくる。 知らぬ間に季節が冬へと進んでいく十一月。 わたしは、この本が読みたくなります。 ページをめくると、今年もスナフキンは旅に出たくなっていました。 ある朝の早く、スナフキンは、ムーミン谷のテントの中で、目がさめました。 あたりは、ひっそりしずまりかえっていました。 しんみりとした秋のけはいがします。旅にでたいなあ。 ほんとにふいに、どこもここも、しんみりとしてきたのです。 あたりのようすは、もう、なにもかも、いままでとは、がらっとかわっていました。 旅に出ようと思いたった人には、いっときいっときが、身のちぢむ思いでした。 ムーミン谷はしずかです。 ぽつぽつと話す人の声と、風の音と、雨の音と、川の音と、海の音と、木々のざわめきと、時折だれかが作業をするトントンという音しかありません。 自然の中はしずかです。スナフキンが木の葉を踏みしめて歩く音が聞こえてきそうです。 スナフキンは、旅の途中で、いろいろな人に逢います。 みんなは、それぞれ、ムーミンママや、ムーミンパパや、ムーミンのことを思い出しています。まだムーミンパパの家へ行ったことのない人もいます。 みんなは、ムーミンパパの家に行くことにします。 けれど、家にはだれもいません。 そうなのです。ムーミンシリーズで、この巻だけ、ムーミン一家の人たちが出てこないのです。ムーミン一家は旅に出ていたのです。 奇妙な同居が始まります。不思議な巻です。 そして最後は、はるか地平線から追い風に乗って一直線に岸にむかってくる、ムーミンパパたちの乗るヨットが見えてくるのでした。 ムーミンパパが帆柱に吊るしたカンテラの灯が冬近い夕暮にあたたかく見えてますよ…
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- ネタバレ
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このお話はムーミン一家が島に移住している間の話なのかな?だとしたら最後にみんなが帰ってきてくれるのは嬉しい。あの島からムーミン谷に戻ってきてくれたんだ。会話するところも見たかったけれど。 印象的だったのは、ホムサの頭の中で膨らんでいたムーミンママの理想像が、現実的なものに生まれ変わるところだった。良いところばかりでダメなところは一つもないはずだと思っていたけど、そうでもないかも、いやそもそも、それってダメなことなんだろうか?という疑問? 誰の力も借りずにその考えに辿り着くのが大事なことなんだね。
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トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の十一月』はムーミンシリーズの小説最終巻であるが、ムーミン一家が登場しない。前作『ムーミンパパ海へ行く』と同じ時期の小説である。ムーミン一家は島に移住している。ムーミン一家不在のムーミン谷にスナフキンら他のキャラクターが集まる。 ヘムレンはムーミン一...
トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の十一月』はムーミンシリーズの小説最終巻であるが、ムーミン一家が登場しない。前作『ムーミンパパ海へ行く』と同じ時期の小説である。ムーミン一家は島に移住している。ムーミン一家不在のムーミン谷にスナフキンら他のキャラクターが集まる。 ヘムレンはムーミン一家の家に行き、「警察のものだぞ。玄関をあけろ」と大声で怒鳴った。からかうことを目的とするが、冗談にならない悪質な所業である。幸いなことにムーミン一家は不在であり、ヘムレンが雨に濡れただけでヘムレンの間抜けぶりが露呈したエピソードになる。 ムーミントロール達は過去に冤罪で逮捕され、牢屋に勾留された。ろうや番は「おまえらは、じぶんのおかした罪を白状するまでは、ここにはいっておらねばならん」と言う(トーベ・ヤンソン著、下村隆一訳『ムーミン谷の夏まつり』講談社文庫、1979年、164頁)。冤罪被害者のムーミントロールにとって悪質な嫌がらせになる。 ムーミンの世界では個人の名前と種族名が混在しており、ややこしい。例えばミムラは個人名としても使われるし、種族名としても使われる。ヘムレンも個人名と種族名がごっちゃになっている。警察官や牢屋番もヘムレンである。『ムーミン谷の十一月』のヘムレンが、そのヘムレンならば警察の権限悪用である。警察の権限を悪用した警察不祥事は現実世界でも起きている。 その後、スナフキンとヘムレンが出合う。スナフキンは心の中で「こんなヘムレンさんなんかと、ムーミンたちの話はしたくないや」と心の中で思う。権威を利用して悪質嫌がらせをした人物への正しい意識になる。 スナフキンのカッコよさが登場人物によって語られる。「だれのさしずもうけずに、自分のすきなところへいって、とじこもっている」(191頁)。規制に従属しない存在である。
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