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問いからはじめる社会運動論 有斐閣ストゥディア
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問いからはじめる社会運動論 有斐閣ストゥディア

濱西栄司(著者), 鈴木彩加(著者), 中根多恵(著者), 青木聡子(著者), 小杉亮子(著者)

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問いからはじめる社会運動論 有斐閣ストゥディア

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 有斐閣
発売年月日 2020/06/27
JAN 9784641150775

問いからはじめる社会運動論

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2025/05/14

社会運動研究への招待:「問い」から始まる探求の道 本書は、社会運動に関する既存の「答え」ではなく、研究を始めるための「問い」を中心に構成された、社会運動論への入門書です。読者が自ら研究の過程を追体験できるよう、研究のきっかけ、事例紹介、研究の問い、そして問いへの応答という流れで各...

社会運動研究への招待:「問い」から始まる探求の道 本書は、社会運動に関する既存の「答え」ではなく、研究を始めるための「問い」を中心に構成された、社会運動論への入門書です。読者が自ら研究の過程を追体験できるよう、研究のきっかけ、事例紹介、研究の問い、そして問いへの応答という流れで各章が展開されます。本書は、社会運動の意義・意味と、その成功・失敗のメカニズムという二つの大きな問いを軸に、多様な研究関心を紹介しています。 社会運動の意義と意味:当事者の視点、社会への影響 第1部では、社会運動が現代社会や歴史において持つ意義や、運動の当事者にとっての意味を探求する研究が紹介されます。第1章では、女性の保守運動における男女共同参画へのバックラッシュを事例に、女性自身がそれに反対する背景にある家族やケアへの思いを分析します。第2章では、日本の学生運動、特に東大闘争を事例に、参加者の社会矛盾認識、運動のあり方(予示的政治と戦略的政治の対立)、そしてその歴史的意義を考察します。 グローバルな運動の解釈と研究の課題 第3章では、G8サミットをめぐる抗議運動を事例に、アラン・トゥレーヌの社会運動理論を応用し、運動がルールや価値を創造する意義を解釈しようと試みます。公的文書、運動側の資料、メディア分析、参加者との交流を通じてデータ収集が行われますが、理論の難解さやグローバルな運動への適用、因果関係の問いへの対応の難しさ、そして研究倫理上の課題も指摘されます。 成功と失敗のメカニズム:組織、政治、そしてフレーミング 第2部では、社会運動の成功・失敗、発展・衰退のメカニズムに焦点が当てられます。第4章では、外国人中心の労働組合ゼネラルユニオンの活動を事例に、参与観察、質問紙調査などの手法を用い、リソース動員論、政治的機会構造論、フレーミング論といった理論を適用して、運動の動員メカニズムや外部環境の影響を分析します。研究対象の定義や分析レベルの難しさ、用語選択の課題も述べられます。 ドイツの反原発運動:動員と影響の分析 第5章では、ドイツの原子力施設反対運動を事例に、資料収集と聞き取り調査を行い、運動の大規模な動員要因を分析します。先行研究との対話を通じて研究の問いを深化させますが、過去の事例を扱う困難さ、反対運動に参加しなかった人々へのアクセス困難、そして運動の「成果」「影響」の定義の難しさが研究上の課題として挙げられます。 グローバル化と抗議行動のダイナミクス:現場空間の分析 第6章では、グローバル化や安全保障をめぐる抗議行動、特に日本の反安保法制運動を事例に、抗議行動そのものの展開を描き出そうとします。監視社会化における運動の変容、非暴力的な一時的連携、そして物理的・社会的な環境が抗議行動に与える影響を理論的に考察し、Google Maps、動画データ、ビッグデータなどを用いたデータ収集・分析の可能性と課題、倫理的配慮の重要性が議論されます。 社会運動研究の多様な視点と批判的考察 本書全体を通して、社会運動研究には多様な問いが存在し、それぞれの問いに対して様々な研究方法、理論的枠組みが用いられることが示されます。研究者は、研究対象への深い関心を持つだけでなく、データ収集・分析における客観性、研究倫理、そして自身の価値判断への自覚が求められます。「問い」を起点とすることで、読者は受動的に知識を学ぶのではなく、能動的に社会運動という現象を探求する姿勢を身につけることができるでしょう。

Posted by ブクログ