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ブルックリン・フォリーズ 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2020/05/28 |
JAN | 9784102451175 |
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ブルックリン・フォリーズ
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ブルックリン・フォリーズ
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商品レビュー
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53件のお客様レビュー
非常に起伏に富んだ鮮やかなストーリー展開で一気に読ませる力がある。所々に出てくる現実の出来事への評価を含めて政治的にも旗幟鮮明であり、「多様性とその敵」とばかりに定義される善悪の構図は、寛容がベースとなる本書の筋書きの中では怒と憎悪の感情が顕になる貴重なアクセントでもある。 小説...
非常に起伏に富んだ鮮やかなストーリー展開で一気に読ませる力がある。所々に出てくる現実の出来事への評価を含めて政治的にも旗幟鮮明であり、「多様性とその敵」とばかりに定義される善悪の構図は、寛容がベースとなる本書の筋書きの中では怒と憎悪の感情が顕になる貴重なアクセントでもある。 小説の舞台から四半世紀、出版から20年が経過した現在から見ると、ポリティカル・コレクトネスが高らかに歌い上げられている光景には当時の熱気と未完の革命への期待感のようなものが感じられる。その明るさが、結末部分に迫る非常に暗い影と対照的に浮かび上がる仕掛けには思わず唸らされた。
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あとわずかで60歳のネイサン。 妻イーディスとの結婚生活は破綻し、娘のレイチェルともうまくいかない。 そこへガンにかかり、治療はなされ小康状態になってはいるが、仕事も失った。 死までの時間を過ごすため、幼少期を過ごしたニューヨークのブルックリンに移り住むところから物語が始まる。 ...
あとわずかで60歳のネイサン。 妻イーディスとの結婚生活は破綻し、娘のレイチェルともうまくいかない。 そこへガンにかかり、治療はなされ小康状態になってはいるが、仕事も失った。 死までの時間を過ごすため、幼少期を過ごしたニューヨークのブルックリンに移り住むところから物語が始まる。 こちらとてキラキラした物語を期待しているわけじゃない。 それでも、序盤からこんなんでついていけるか不安になってくる。 が、そんな不安は次第に払拭される。 その後のネイサンの人生は、実に魅力的なものになっていくからだ。 それには、やはりネイサンのキャラクターが大きな要素になっているのかな、と思う。 彼は自分の人生を振り返って「人間愚行の書」を書く。 自分の愚かさ、他人も含め人間の持つ愚かさを客観視し、受け入れることができる人のようだ。 しかし、悟りきった、達観した人というわけではない。 彼自身、向こう見ずだったり、おせっかいだったりするふるまいをし続けるからだ。 けれど、そういう彼が、人生の中で残酷な目に遭っている甥のトム、もっとひどい目に遭っているトムの妹オーロラを助け出していく。 トムの勤め先の古書店主、悪党とも言えなくもないハリーとも親しくなり、その窮地を救い、死後の始末にまで関わることになる。 人生の中で深く傷ついた人々と、ゆるやかにつながる力を彼は持っている。 物語の終盤で、ネイサン自身もジョイスというパートナーを得る。 彼女の娘、ナンシーがオーロラと恋愛関係にあることを知って取り乱し、二人を家からただき出すと息巻く場面で、ネイサンがかける言葉がとてもいい。 「でもそうしたら、君は生涯ずっと、後悔することになると思うね。やめておけよ、ジョイス。パンチにパンチを返すのはよせ。あごをしっかり引けよ。気楽に行けって。選挙は毎回民主党に入れろよ。公園で自転車に乗れよ。私の完璧な、黄金の肉体を夢に見ろよ。ビタミン剤を飲めよ。一日コップ八杯水を飲めよ。メッツを応援しろよ。映画をたっぷり見ろよ。仕事、無理するなよ。私と二人でパリに旅行しよう。レイチェルの子供が生まれたら病院に行って私の孫を抱いてやってくれ。毎食後かならず歯を磨けよ。赤信号の道を渡るなよ。弱い者に味方しろよ。自分の権利を守れよ。自分がどれだけ美しいかを忘れるなよ。私がどれだけ君を愛しているかを忘れるなよ。毎日スコッチをオンザロックで一杯飲めよ。大きく息を吸えよ。目を開いていろよ。脂っこい食べ物は避けろよ。正しき者の眠りを眠れよ。私がどれだけ君を愛しているかを忘れるなよ。」(pp.433-434) ジョイスへの愛が表れた言葉だが…。 それだけではなく、彼がごたごた続きの人生をまるごと愛していることが分かる言葉だ。 この言葉が読めただけでも、報われた気がする。 オースターは残念なことに、今年の春の末亡くなってしまった。 ネイサンと同じ肺がんだったという。 アメリカの作家で複数作品を読んでいるのは、この人くらいだ。 作品を長きにわたって翻訳し、紹介し続けた柴田元幸さんにも感謝したい。
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どこか生きづらさをを抱えた人達が次々と出てくる話。 彼らを描く筆致がどこか優しく、途中若干退屈さも感じましたが、終盤にかけてのまとめ方は流石としか言いようがありません。 読後に感じる温かさが心地よかったです。
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