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白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」 中公新書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2020/05/19 |
| JAN | 9784121025913 |
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白人ナショナリズム
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商品レビュー
3.9
23件のお客様レビュー
昨今の米国を覆う、従来の保守主義でもない、なにか。なにがトランプを生んだのか。なぜトランプは従来の常識ではありえない行動をとっても支持され続けるのか。本書が紹介する、米国における白人ナショナリズムは、日本にいる我々にとって不可解な現在の事象の背景を説明するものである。本書により、...
昨今の米国を覆う、従来の保守主義でもない、なにか。なにがトランプを生んだのか。なぜトランプは従来の常識ではありえない行動をとっても支持され続けるのか。本書が紹介する、米国における白人ナショナリズムは、日本にいる我々にとって不可解な現在の事象の背景を説明するものである。本書により、これまで異端に思えた思想が裾野を広げている現実や、突拍子もない陰謀論の発端となる思想への理解が深まる。 白人至上主義といえば、KKK に知られるように素頓狂な格好をする非常に尖った思想である、といったイメージはもはや古い。筆者が取材した会合では、ネクタイやジャケットの着用が義務で、参加者はみな社会的地位をもち不自由ない暮らしをしながら、白人を守るという思想に駆り立てられている。本書は白人至上主義者と呼ばれるのを嫌う彼ら (※ほとんどが男性) を「白人ナショナリスト」と呼ぶ。彼らは主張をソフト化し、またイデオロギを直接表面に出さず、インターネットやネットミームを駆使して、「オルトライト」と呼ばれる層を形成して裾野を広げる。 白人ナショナリストが理想とするのは、第二次世界大戦後が終わり公民権運動が始まる前の1950年代の、白人ミドルクラス中心の社会秩序である (Paleoconservative)。グローバリズムや「行き過ぎた多様性」により、本来の米国の魂を理解しない移民たちが白人たちの築いた社会を「侵略」し、白人たちの誇りを奪っているとして、“It's okay to be white.” をスローガンに活動する。日本社会のことを、移民・難民が少なく人種的均一性が高い社会として高く評価する。生理的な理由によって白人以外を差別しているわけではなく、知能指数や脳容量などの表層的なデータによって理由を作り白人の優秀さを誇る。強烈なユダヤ人差別感情を持ち、グローバリズムはユダヤ人の策謀であるという論を中心に、様々なユダヤ系陰謀論を唱え、ナチズムを支持する。 彼らは旧来は公民権運動、最近では Affirmative Action を契機に白人ナショナリズムに流れ、Political Correctness に反対し、連邦政府や二大政党制に不信感を抱いている (その点で Libertarian に誤解されることもある)。 本書で特に勉強になったのは、トランプの「米国第一主義」「メキシコ国境に壁を」といった主張はすべて、トランプによる唐突なアイデアではなく、それまでに白人ナショナリストが打ち出していた論であることである。彼らはトランプを支持しているわけではなく、信念のない政治屋だと考えているが、共和党を変えてくれるとして投票する。トランプは彼らの界隈のミームを投稿するなど迎合し、カジュアルなオルトライト層を取り込む。 これらの層は今や異端と軽視できない。世論調査によれば、ナチズムやオルトライトを明確に支持する者は米国人の1割に満たないが、それらを明確に否定しない者は米国人の3割近くに及ぶという。第二次トランプ政権の異常な DEI 排斥は、こうした現状を映し出しているものと考えられるだろう。 以上のような、日本で過ごしているだけではどうしても理解できない大衆的な変化を、筆者は取材も駆使して丁寧に説明していた。章分けが情報源ベースで話の行き戻りの多さが若干の読みにくさを生んではいるものの、その分重要な内容の繰り返しも多く、かつ平易な文章で読みやすい。日本における参政党の躍進の理解にも役立つかもしれない。読んでおいて損はない一冊。
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トランプが支持される理由がよく分かる本。単に白人ナショナリズムだけで支持されてるわけじゃなく、アメリカでこれまで連綿と続いてきた反権威主義と反知性主義などが悪魔合体したキメラみたいなものとして具現化している。
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アメリカ研究の第一人者。今、最も良質なアメリカウォッチャーといえばこの方になるのかな。 白人ナショナリズムはリバタニアリズム同様、現在も生成過程にある概念で、その在り方は多様であり、実に様々な団体が発生しているとのこと。 これらが、個別的で断片的な事例の記述にとどまっているのは、...
アメリカ研究の第一人者。今、最も良質なアメリカウォッチャーといえばこの方になるのかな。 白人ナショナリズムはリバタニアリズム同様、現在も生成過程にある概念で、その在り方は多様であり、実に様々な団体が発生しているとのこと。 これらが、個別的で断片的な事例の記述にとどまっているのは、現段階では学問的体系にまとめられるような状況ではないからであろう。そのことがアメリカ社会が混沌としていることを示唆しているかのよう。 私なり大きくまとめてみる。白人ナショナリズムは優生思想からくる他人種への蔑視という側面ももちろんある。だが、一方で、白人自体がマイノリティ化する中で、白人の権利が侵害されているという被差別意識が白人ナショナリズムを台頭させているという面もあるという点が重要だと思われた。差別は被害者意識が生む。すべからくどのような差別にも、それを行う当人に加害者意識はない。
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