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人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差 中公新書2590
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人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差 中公新書2590

詫摩佳代(著者)

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人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差 中公新書2590

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2020/04/21
JAN 9784121025906

人類と病

¥902

商品レビュー

3.7

15件のお客様レビュー

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2026/07/19

【内容】 人類の病へのアプローチを、著者の専門とする国際連携の視点でまとめた本。19世紀には国際衛生会議や赤十字運動など国の枠を超えた疾病対策の萌芽はあったものの、対疾病の国際協力が本格化するのは第一次世界大戦後であった。第一次世界大戦と、それに続くスペイン風邪の世界的流行によっ...

【内容】 人類の病へのアプローチを、著者の専門とする国際連携の視点でまとめた本。19世紀には国際衛生会議や赤十字運動など国の枠を超えた疾病対策の萌芽はあったものの、対疾病の国際協力が本格化するのは第一次世界大戦後であった。第一次世界大戦と、それに続くスペイン風邪の世界的流行によって各国が苦しんだ経験から、各国独自の感染症対策の限界が認識された。そして国際連盟の感染症委員会、及びそこから発展した国際連盟保健機関を中心に国際連携の枠組みが誕生した。やがてそれはWHO(世界保健機関)に発展する。 WHOはその設立経緯からして国家間の政治バランスや動向に大きな影響を受けざるを得なかったものの、その中でも天然痘の撲滅やポリオの抑制といった成果を挙げてきた。また20世紀になって感染拡大したエイズやSARSといった感染症に対しても国家間連携の中心となって対応した。さらに生活習慣病やその原因となりうる食生活や糖分摂取、飲酒、そして喫煙の規制にも取り組んだ。 一方で上記の活動の方向性自体に政治力学が大きく影響を与えたのもまた事実であった。それは大国間の思惑であったり、先進国と途上国間の格差であったりした。また民間との関係においても様々な問題や課題はある。数々の先進的な薬を開発する製薬会社は、一方で薬価の高さや知的財産権の問題から途上国国民の薬へのアクセスを阻害することもある。また各種健康に害を与え得る食品や嗜好品の規制においては、規制される側の企業の反発に遭うこともあった。 著者は最後に、新型コロナの感染拡大の中でWHOの中立性への疑問が呈される世論に対する反論を述べる。現実の格差や多様性を認め、その上で各国の政治的な影響力を活用し各国の協力関係を調整しながら可能な範囲で健康水準を最大化すること、それこそがWHOの役割と説く。そしてWHOだけでなく各国政府、財団、民間セクター等国際社会における多様なアクターの利害関係を、「人類を病から守る」という目標に協調させていけるかが重要であると主張して本書を締めくくっている。 【感想】 感染症そのものは人間の政治的立場やイデオロギーとは無関係に広がる自然現象である。そのため、国際協調においても理念を掲げるだけでは十分ではなく、現実の政治力学を踏まえながら実効性のある協力体制を築く必要がある。このことは本書が書かれた後に見られた、新型コロナの感染拡大から見ても明らかである。そのような特性を鑑みると、疾病への国際協調においても、理念だけではなく現実の政治力学を踏まえながら各国の協力を引き出していくことの重要性は理解できるし、本書の主張は説得力があると思う。 新型コロナの流行がある程度落ち着いた今だからこそ、市民ひとりひとりが歴史を振り返り、その成果と反省点を明らかにすることが必要だと考える。その上でも疾病に対する国際協調の歴史を平易にまとめた本書は、WHOをめぐる今日の議論を歴史的な文脈から理解する上でも価値のある一冊だと思う。

Posted by ブクログ

2024/04/29

人類の健康をめぐる苦闘の歴史を解説した本。 歴史を見ると、新たな病を抑えても一時すると、新種の病が人類に襲っているのがわかります。本書は人類と病の終わらない戦いの歴史を知り、人類は病に対してどう対抗すべきを考えるきっかけになります。

Posted by ブクログ

2023/01/28

国際政治の動きという観点から、人類がどのように病と闘ってきたのかを論じている本。 何となく、世界史の副読本を読んでいるような感じだった。内容的には、なるほどと思わせるようなことが多い。 結局のところ、 「病に関する国際的な取り組みは、しばしば政治状況に左右される」 という点に...

国際政治の動きという観点から、人類がどのように病と闘ってきたのかを論じている本。 何となく、世界史の副読本を読んでいるような感じだった。内容的には、なるほどと思わせるようなことが多い。 結局のところ、 「病に関する国際的な取り組みは、しばしば政治状況に左右される」 という点に集約されるのかな、と思う。 世界から天然痘が根絶されたのは、感染者が比較的分かりやすいという病気の特徴であったり、ワクチンが比較的作りやすかったという要因もあるが、マラリア対策で国際的なイニシアチブを取っていたアメリカに対し、ソ連が天然痘根絶プログラムを提唱したという要因も大きかった。そしてベトナム戦争で国際的信用が失墜したアメリカがそのプログラムに賛同したことで、根絶に向けた動きが加速したのである。 或いは、生活習慣病や喫煙への対策についても、砂糖業界やたばこ業界などのアクターから圧力を受けるという話は、よく聞かれる。 医薬品アクセスについても、特許との関わりによって発展途上国では十分にアクセスできない問題があったり、先進国では注目されない「顧みられない熱帯病」といった病気への対策も、その時々の政治状況によって、動きが緩慢になる。 新型コロナウイルスの初動対応を巡ったWHOへの批判についても、そもそもこうした保健機関も政治のアクターの一つである以上、避けられない事態ではあるのだろう。逆に、そうした状況への理解・関心こそ重要なのだろう。

Posted by ブクログ

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