人類と病 の商品レビュー
人類の健康をめぐる苦闘の歴史を解説した本。 歴史を見ると、新たな病を抑えても一時すると、新種の病が人類に襲っているのがわかります。本書は人類と病の終わらない戦いの歴史を知り、人類は病に対してどう対抗すべきを考えるきっかけになります。
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国際政治の動きという観点から、人類がどのように病と闘ってきたのかを論じている本。 何となく、世界史の副読本を読んでいるような感じだった。内容的には、なるほどと思わせるようなことが多い。 結局のところ、 「病に関する国際的な取り組みは、しばしば政治状況に左右される」 という点に...
国際政治の動きという観点から、人類がどのように病と闘ってきたのかを論じている本。 何となく、世界史の副読本を読んでいるような感じだった。内容的には、なるほどと思わせるようなことが多い。 結局のところ、 「病に関する国際的な取り組みは、しばしば政治状況に左右される」 という点に集約されるのかな、と思う。 世界から天然痘が根絶されたのは、感染者が比較的分かりやすいという病気の特徴であったり、ワクチンが比較的作りやすかったという要因もあるが、マラリア対策で国際的なイニシアチブを取っていたアメリカに対し、ソ連が天然痘根絶プログラムを提唱したという要因も大きかった。そしてベトナム戦争で国際的信用が失墜したアメリカがそのプログラムに賛同したことで、根絶に向けた動きが加速したのである。 或いは、生活習慣病や喫煙への対策についても、砂糖業界やたばこ業界などのアクターから圧力を受けるという話は、よく聞かれる。 医薬品アクセスについても、特許との関わりによって発展途上国では十分にアクセスできない問題があったり、先進国では注目されない「顧みられない熱帯病」といった病気への対策も、その時々の政治状況によって、動きが緩慢になる。 新型コロナウイルスの初動対応を巡ったWHOへの批判についても、そもそもこうした保健機関も政治のアクターの一つである以上、避けられない事態ではあるのだろう。逆に、そうした状況への理解・関心こそ重要なのだろう。
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【琉球大学附属図書館OPACリンク】 https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB30261944
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2021/5/26読了。BS報道番組で『ワクチン格差』が阻むパンデミックの終焉。をテーマに政治家、感染症専門家、国際政治学者を交えての議論を大変興味深く拝聴した。そこに登場した筆者の発言と学問としての立ち位置に関心を持ち本書を手にしたわけだ。この新型コロナ感染症が発生して1年半が...
2021/5/26読了。BS報道番組で『ワクチン格差』が阻むパンデミックの終焉。をテーマに政治家、感染症専門家、国際政治学者を交えての議論を大変興味深く拝聴した。そこに登場した筆者の発言と学問としての立ち位置に関心を持ち本書を手にしたわけだ。この新型コロナ感染症が発生して1年半が経過するが、減少傾向は見られるものの新たな変異株が 出現して、再拡大の不安も増大している。しかし、 西洋先進国特にイギリス、アメリカにおいては感染拡大と併せていち早くワクチン開発に着手?し大混乱を経てワクチン接種を開始して拡大の収まりを見せ始めている。しかし、一方で手に入るものと入らないものとの格差が目立ち始め、そこにも国家間や企業の思わくが絡み複雑なパワーバランスが浮き彫りにされて来た。人類の歴史は、まさに病(感染症)との戦いの歴史でもあった。本書を読みながら、改めてそこに立ちはだかる課題や解決(国際協力)の取り組みを知ることが出来た。非常にわかり易く納得出来た良書だ。追)重要なこととして、国際的な感染症と人類の健康問題に取組む国際機関WHOの存在も忘れてはならない。
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なんとなく知ってるような知らないような伝染病のことが一通りわかる。旅行先でけねんとなるマラリヤやチフスよく聞くけどなんのことかわからないスペイン風邪のことなど。 地域を跨いで感染することや、そもそも戦争行為により感染地域が非常に拡大すること、皮肉にも前後して国際的な防疫の取り組み...
なんとなく知ってるような知らないような伝染病のことが一通りわかる。旅行先でけねんとなるマラリヤやチフスよく聞くけどなんのことかわからないスペイン風邪のことなど。 地域を跨いで感染することや、そもそも戦争行為により感染地域が非常に拡大すること、皮肉にも前後して国際的な防疫の取り組みがなされること、などがよくわかる。2021年にもなって、何世紀も前と変わらないことやってるんだな、て絶望感も。
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21/05/02読了 ペストに始まり生活習慣病にいたるまで、健康をめぐる国際政治の流れをまとめたもの。 配られたカードでたたかう、てことを改めて思わされた
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2021年4月現在、新型コロナウイルス感染が確認され1年半が過ぎ、第4波のまっただ中。本書は、2015年に企画が始まり、著者のワークライフバランスもあり、新型コロナウイルス感染第1波の渦中に発売された。 国際政治を専攻する筆者が、国際保険分野の専門家との交流を通じて、感染症の...
2021年4月現在、新型コロナウイルス感染が確認され1年半が過ぎ、第4波のまっただ中。本書は、2015年に企画が始まり、著者のワークライフバランスもあり、新型コロナウイルス感染第1波の渦中に発売された。 国際政治を専攻する筆者が、国際保険分野の専門家との交流を通じて、感染症の歴史を国際政治学の視点を加えて検証します。ペストと隔離、コレラと公衆衛生や赤十字社の設立を紐解きます。2度の世界大戦と感染症との関係では、マラリアやスペイン風邪に対する国際政治の背景を解説。そして、第二次世界大戦後のWHOの設立、天然痘の根絶、ポリオ根絶への道、一方でマラリアとの苦悩などの経過を追います。近年の、エイズの撲滅、サーズの恐怖、エボラ出血熱の教訓、そして新型コロナウイルスと国際政治を概観します。一方で、感染症と生活習慣病対策、自由と健康のせめぎ合いの中で、喫煙の問題にも踏み込みます。最後に、健康への権利をめぐる闘いとして、アクセスと注目の格差に焦点をあて、発展途上国を中心とした、未だに顧みられない熱帯病への研究、資金援助の問題提起をします。健康権、感染症、貧困と格差など、あらためて国際協調が重要であることを強調します。
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人類の歴史は病との戦いである。本書はペストやコレラなど感染症の脅威に対し、人類がどのように対峙してきたかを国際政治の視点から検証する。 パンデミックといわれるような人類全体の脅威には、国境を越える国際保健協力が必要になる。だが、その過程で国家間の利害や思惑が作用し、これまで数々の...
人類の歴史は病との戦いである。本書はペストやコレラなど感染症の脅威に対し、人類がどのように対峙してきたかを国際政治の視点から検証する。 パンデミックといわれるような人類全体の脅威には、国境を越える国際保健協力が必要になる。だが、その過程で国家間の利害や思惑が作用し、これまで数々の挫折と失敗が繰り返されてきた。 WHOの設立については、アメリカがスペイン風邪を教訓にイニシアティブを発揮して進めたが、加盟国をどうするかについてのイギリスと対立や、組織構成や本部の位置についてソ連とのせめぎ合いなど様々な駆け引きや妥協があった。 だが、天然痘は根絶、ポリオに関しても、生ワクチン実用化に向け米ソが協力した。 新型コロナウイルス危機で、国際的な協力の重要性があらためて再認識されている現代、WHOを中心とする国際協力の原点に立ち返ることが必要だと著者は訴える。 このほか、いまだ根絶できないマラリアとの苦闘、エイズ、SARS、エボラ出血熱など新たな脅威、喫煙や糖分の取りすぎによる生活習慣病対策、途上国の健康への権利を巡ってトリップス協定による医薬品の特許保護に柔軟性を持たせることなど国際協力を問う様々な要素が盛り込まれている。
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コロナ禍以降、感染症関連の書籍や記事をいくつか読んできた。それらの多くは、感染症の歴史を俯瞰したタテの視点を提供してくれた。本書は、グローバル化社会にあって重要な国際関係、ヨコの視点を提供してくれる。 本書が扱うのは、ペスト、コレラ、マラリア、エイズ、新型コロナ等の感染症に加え...
コロナ禍以降、感染症関連の書籍や記事をいくつか読んできた。それらの多くは、感染症の歴史を俯瞰したタテの視点を提供してくれた。本書は、グローバル化社会にあって重要な国際関係、ヨコの視点を提供してくれる。 本書が扱うのは、ペスト、コレラ、マラリア、エイズ、新型コロナ等の感染症に加えて、タバコ問題、糖尿病等の生活習慣病、そして国力の違いがもたらす健康格差と幅が広い。本書を読むと第一次大戦後、いかに国際社会が協調して健康問題にあたってきたか、はたまた逆に、国同士のパワーバランスがいかに健康問題の解決を遅らせてしまったかがよくわかる。 かつては英国と米国、ソ連が、今は米国と中国が世界のトッププレイヤーだろう。WHO設立の立役者である米国が自国主義を掲げて、そのWHOからの脱退を表明したことも、中国が情報を隠蔽し、国際協調を軽視して自国のプロパガンダに走ることも、百害あって一利なしであることが示される。 実は日本も両国を笑う立場にはない。タバコ問題にあっては足を引っ張る側にあると国際的に指摘されているという。もちろんそれらの影には経済的な利得が見え隠れする。 WHOの定義では、健康とは「身体的・精神的、社会的複利のことで、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」とされる。すなわち、健康とは守られるべき基本的人権なのである。 病は国境を容易に越える。コロナ関連の本では、今、本書は一番読まれるべきものかもしれない。
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社会学者女性やジェンダー論女性の書いた情感豊かな文章ばかり読んでいただめ、大変失礼ながら、あとがきで筆者が女性であったことを知り驚いた。
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