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未知の鳥類がやってくるまで
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未知の鳥類がやってくるまで

西崎憲(著者)

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未知の鳥類がやってくるまで

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2020/03/27
JAN 9784480804945

未知の鳥類がやってくるまで

¥1,870

商品レビュー

3.5

8件のお客様レビュー

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2024/05/17

朱入りの原稿を紛失した校正係があてどなく町を彷徨う表題作ほか、日常と地続きな常温の幻想を描く短篇集。 西崎さんの小説は『世界の果ての庭』『蕃東国年代記』『本の幽霊』を読んできたが、どれも好みにハマる一歩手前でチューニングが合わないという感想だった。 だが、今回はフィクションを...

朱入りの原稿を紛失した校正係があてどなく町を彷徨う表題作ほか、日常と地続きな常温の幻想を描く短篇集。 西崎さんの小説は『世界の果ての庭』『蕃東国年代記』『本の幽霊』を読んできたが、どれも好みにハマる一歩手前でチューニングが合わないという感想だった。 だが、今回はフィクションを読む気が起きないけれどフィクションを読みたい気がするというこちら側のふあふあしたコンディションがちょうどよかったのか、本書の収録作は馴染むというか、気分にしっくりきて浸透してくる感じがあった。 なんというか、散歩をしているような感じだ。他愛ないものを凝視してみたり、一瞬通り過ぎたものを追いかけても何も見つけられなかったり、ボーッと見た景色のなかに啓示を見つけてみたり。こういう「考えながら町を歩いているときの気分」を再生してくれるような本は好きだし、今求めていたものだったと思う。 以下、気に入った作品の感想。 ◆「行列」 青空を横切っていく異形のものたちを見上げているだけの話。まさに散歩している気分になる小説だと思う。行列をなすものたちは黄道十二宮と対応しているわけではないが、獣帯という呼び方を思いだすような面々だ。「誰も見ていない」というわりに気付いた人間は何人もいて、けれど大パニックになったりはしない。日常はそれほどに強固で、人は啓示に気づかぬふりをする。 ◆「おまえ知ってるか、東京の紀伊國屋を大きい順に結ぶと北斗七星になるって」 タイトルが一番素敵だ。舞台は首都直下型地震が起きたあとの東京だけど、ポストアポカリプスってほどじゃない。足穂オマージュ? 魔術師のヒムカくんは飛ぶ力を持っているのに、紀伊國屋の北斗七星の先にある北極星へは電車で行く。コーマック・マッカーシーの『ザ・ロード』には、語り手が廃墟化した図書館で本が価値を失ったと悟るシーンがあったなぁなどと思いつつ。 ◆「箱」 これは個人的に澁澤龍彦「箱の中の虫について」を連想せずにいられない。ただ、あの官能的な秘密の共有感はないので、あくまでホラー寄りの幻想小説って感じ。虫が嫌いなので本当にゾッとした。鈴木其一の屏風絵を思いだしたり。 ◆「未知の鳥類がやってくるまで」 これ!これが素晴らしい。校正係の彷徨と啓示の物語。「間違いを正す」校正の仕事と語り手の頑なさがリンクして、酷い目にあっていながら体調より原稿を優先させてしまうあたりの悲しさとおかしさがクラリッセ・リスペクトルの『星の時』みたいでもある。レストランもカフェも幻想的な空間として描かれているわけではないのだが、必要としているときに押し付けがましくないかたちでそこにあってくれる、ということが一つの奇跡だと感じる日はある。 ◆「スターマン」 語り手とスターマンの関係性がなんかよかった。 ◆「一生に二度」 『世界の果ての庭』タイプの話。西崎さんにとって本を読むってこういう体験なんだろうな。

Posted by ブクログ

2021/06/25

幻想小説または奇想小説というべきか。不思議な世界を描いた短編集。既視感がある文体やストーリー展開と感じたのだが、何が原因だろうか。大きなカタルシスを感じることがなく、とはいえもう少しで気持ちがいい領域に行きそうなところまでは感じた。私にとっては苦手な部類に入る作品である。だが、も...

幻想小説または奇想小説というべきか。不思議な世界を描いた短編集。既視感がある文体やストーリー展開と感じたのだが、何が原因だろうか。大きなカタルシスを感じることがなく、とはいえもう少しで気持ちがいい領域に行きそうなところまでは感じた。私にとっては苦手な部類に入る作品である。だが、もう少し読んでいけば癖になる可能性もある。好みだったのは、「行列」と「箱」。「行列」には美しさを感じたし、「箱」では田舎で代々伝わる習わしのような怖さを感じた。

Posted by ブクログ

2021/05/14

何の情報もなく読み始めたので(恥ずかしながら著者のお名前さえも知らなかった)、まだ発見されていない鳥の話だと思っていた。 わたしは鳥が大好きなのだ。 でもこの本は違う。 最初の『行列』を読んだとき「あぁ、こういう感じか」と思った。とても感覚的な文章。ストーリーではなく、言葉の美...

何の情報もなく読み始めたので(恥ずかしながら著者のお名前さえも知らなかった)、まだ発見されていない鳥の話だと思っていた。 わたしは鳥が大好きなのだ。 でもこの本は違う。 最初の『行列』を読んだとき「あぁ、こういう感じか」と思った。とても感覚的な文章。ストーリーではなく、言葉の美しさや行間の静けさ、ここから受け取ったイメージを自分の心に投影して、それを眺めるような。 わたしには難解過ぎるのではないだろうかと思ったが、読み進めてみるとなかなか面白く、『箱』『東京の鈴木』『開閉式』「一生に二度」など楽しく読めた。 とはいえ、ストーリー性を重視する傾向が強い最近のわたしには、少し不向きな短編集だったかなと思う。

Posted by ブクログ

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