商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2020/03/26 |
JAN | 9784087717020 |
- 書籍
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ホテル・アルカディア
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ホテル・アルカディア
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商品レビュー
3.5
11件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
面白かった…だんだんとお話たちが幻想小説味を帯びてくるのがたいへん好みの短編集でした。 一応、「滞在してるホテル・アルカディアの引きこもりの娘さんのために芸術家たちが作って勝手に朗読してる話」という体ではあるものの、内容は性愛から神話世界、架空の都市の歴史まで様々でした。 海外文学っぽいものから、「ゾンビのすすめ」「時の暴君」など日本っぽいものもありました。 特に、「No.121393」「恥辱」「激流」、『都市のアトラス』『時のアトラス』『世界のアトラス』が好みです。 究極の蒐集欲を描いた「No.121393」、展示されてる蒐集家ワインマン氏とラストの蒐集品の間にタイトルのナンバーがあるので、このナンバーの蒐集品は一体…と想像が膨らみます。 そういえば「代理戦争」もアダルト系だけどブラックで好き。主人公の嫉妬心が強いからこびと軍隊の軍事力が高いんだろうか…? 「ゴドーを待ちながら」のパスティーシュも面白かった。 分厚さに怯みましたがなんのその。良いものでした。ポールとレノン。
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[1]引きこもったプルデンシアに読み聞かせようと彼女が好きだという『デカメロン』的な不思議で小さな物語の集積に、七人の芸術家たちが夢中になった。それがこの本になった。 [2]最初のうち、どこか神経を逆なでするような話が多く、さて、あなたはどこまで読むことができるでしょうという感じ...
[1]引きこもったプルデンシアに読み聞かせようと彼女が好きだという『デカメロン』的な不思議で小さな物語の集積に、七人の芸術家たちが夢中になった。それがこの本になった。 [2]最初のうち、どこか神経を逆なでするような話が多く、さて、あなたはどこまで読むことができるでしょうという感じやったけど、だんだんクセになって最後まであっさり読めてしまった。 [3]ごく最近読んだオルガ・トカルチェフの『逃亡派』を思い出した。文中にオルガの名前があったりしたのでいくらか意識はしているのかも? ■簡単なメモ プルテンシア像の構成要素をかき集めだしたのである。(p.013) ある夜、本の挿絵がやってきた。(p.059) いまも変わってはいるけれど変わるのが当たり前だったからつまりは変わっていない。(p.097) 「そう。彼にとっては、この世界を理解可能な範囲におさめるための儀式みたいなものなのよ」(p.099) あのときのエミリは「恋愛ってたいてい興味を持つことから始まるじゃない」と言っていた。「だからへんちくりんな人ほど惹きつけられちゃうのよ」(p.101) 「A、轢く、B、轢かないって。わたしはその二者択一でずっとBを選択し続けて、みんなの命を救ってるの。でも、ほかのひとは結果的にBを選択しているだけで、選択肢を持ってない。その差は大きいと思うわ」(p.180) 静寂はいつだって完璧にはなれない。(p.191) 言葉が増えれば増えるだけ世界が広がっていく(p.193) 「壊れる余地があるだけましだよ。まだ壊れてないってことだからね」(p.195) なぜ掌編なのか。その答えは専門家によりけりで、長編を書く根気がないから、心の大きさがその程度だから、世の物語全般のほうがくどくど長ったらしいのだ、云々。(p.210) 人はみずから運命の糸のほうに寄っていくのではないか(p.253) 「わたしはあらゆるエピローグの総体であり、ここから出たとたんあらゆる物語は終わりを見ます」(p.337)
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短編集でもあるが、大きな流れとして見れば長編小説でもある。石川宗生の前作「半分世界」の短編とは違って、扱う短編の数も多いし、内容の振り幅がでかい。結末の受け止め方は読書次第としているところが良い。なによりも装丁が素晴らしい。
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