商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | ラグーナ出版 |
| 発売年月日 | 2020/03/16 |
| JAN | 9784904380925 |
- 書籍
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統合失調症の過去・現在・未来
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統合失調症の過去・現在・未来
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ひとはわからないものを怖がるものである。かつて精神分裂病と呼ばれてきた統合失調症についても、そういった感覚を抱くひとはいるのではないだろうか。一度破れたガラスが決して元には戻らないように、私たちはこの病のことをどこか別世界の出来事として受けてしまうこともあるかもしれない。しかし...
ひとはわからないものを怖がるものである。かつて精神分裂病と呼ばれてきた統合失調症についても、そういった感覚を抱くひとはいるのではないだろうか。一度破れたガラスが決して元には戻らないように、私たちはこの病のことをどこか別世界の出来事として受けてしまうこともあるかもしれない。しかしそれは私たちが統合失調症のことを知らないから起こる認識なのだと思う。むしろ私たちのちょっとした声かけで、身近な人を追い詰めたり、あるいは救うことになるかもしれない、そういう生身の人間の人生に関わるものなのだという認識を一人一人が持たなければならないのであろう。本書を読んで初めてそのことを認識した。 著者である中井久夫氏は稀代の精神科医である。その業績は広く知られていることと思うが、著者の本は目の前の事象やテーマに密着して掘り下げていくのが大半である。なかなか俯瞰した総合的あるいは体系的な叙述をなされないことは、『治療文化論』のあとがきにも書かれているとおりである。本書は講演録ということもあり、長年の統合失調症治療に携わってきた著者にしか書きえない言葉が詰まった一冊である。しかも、著者のことをよく知るかつての同僚や友人が注をつけていることもあり、著者が踏み込んだ発言をしている箇所が明示され、稀有な中井久夫入門ともなっている。さらにそれを補強するように実際に統合失調症の治療の体験談や具体的な質問への現場からの応答を通して当事者から見た寛解への手がかりなども提示され、書名にふさわしく統合失調症の過去と現在と未来とが凝縮された一冊である。 私たちは時に、わからないものから目を避けてしまう。しかし中井久夫氏のスタンスはわからないからこそ関わり続け、理解することを努めようとする。病を通して描かれるその日常はひょっとしたら私たちの一人ひとりが経験していたかもしれない何ら変わることのないものなのである。中井氏の講演の中で語られる言葉には対岸に病を見据えて診断する医療の姿とは違ったものが広がっている。実際の臨床において実効性のある方法を一つひとつ選びながら患者とともに歩む著者の姿が目に浮かぶようである。私たちに求められているのは、一人ひとりが何をどのように感じ、知・情動・意志のバランスをとっているのかをよく理解することなのではないだろうか。それがまさに統合失調症という病名に込められた意味なのである。
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